〈BD〉「“スネない・諦めない”の精神でこらえました」――GPW-2優勝・北谷好宏の談話

 

3日(日)に開催された

『GPW-2 in 佐賀セッション』

優勝した、北谷好宏プロの談話を

お届けします。

 

大会翌日に話を聞きました。

 

○ GPW-2公式サイト(トーナメント表など)

 

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Yoshihiro Kitatani

1975年12月19日生

JPBA34期生・福岡県在住

2003年&2019年『東海グランプリ』優勝

2013年『北陸オープン』優勝、

グランプリウエスト(GPW)では優勝8回

(『西日本男子プロツアー』時代含む)

他、入賞多数

『淡路』(福岡)所属

使用キュー:『AWJ』

使用タップ:ブランズウィックブルー(自分で締めたもの)

スポンサー:セッション

 

…………

 

――激闘を制しての優勝です。

 

北谷:優勝ってやっぱり嬉しいですね(笑)。4試合全て苦しくて体力的にもキツかったけど、いつも以上に嬉しく感じます。それに、今回は会場の『セッション』さんのスポンサーシードをいただいてベスト16から撞いたんですが、セッション代表の中村信一さんの目の前で勝てたし、中村さんがめっちゃ喜んでくれて本当に良かったです。

 

――スポンサーシードで出るのは今回が初めてだったとのこと。普段とは違う気持ちでしたか?

 

北谷:違ってました。僕ら兄弟(北谷好宏・北谷英貴)はセッションの中村さんに長いことお世話になっていますけど、常に活躍を見てもらいたいという気持ちでいます。でも、僕のダメなところなんですけど、上手くもないのに試合ですぐスネたり諦めたりするところがあって、中村さんもそれを知ってるから「最後まで諦めず撞いてくれよ」って言われてました。本当にそれだけは何があっても貫こうと思ってました。

 

――ベスト16から準決勝までの3試合のご自身のプレーは?

 

北谷:良くはなかったですね。まずベスト16(vs 稲川雄一)が苦しかった。初め僕がリードしてたんだけど、稲川プロがよく球を入れててガッツで展開を作られて、逆転でリーチをかけられた。追い付いてからの最終ラックは、最後の10番以外1球もネキストが出ないまま気持ちだけで取り切りました。ベスト8(vs 浅野正人)も5-1まで行ったのに、自分のファウルで流れを悪くして苦しみました。浅野プロには昨年の『GPW-1』で負けてるし、嫌な流れだったけど「スネない・諦めない」の精神でこらえました。

 

――準決勝では福岡の赤司哲雄アマと対戦。

 

北谷:僕はあまりトーナメント表を見てなかったんですけど、ベスト8が終わった後、川端聡プロと運営のプロの方々がちょっと神妙な顔をしてたんです。改めてトーナメント表を見たら準決勝2つともプロ・アマ対決だったので、「そういうことか」と。『GPW-1』で神箸アマが優勝してたんで、2戦連続アマに優勝される訳にはいかんという雰囲気を感じました。準決勝は初めは僕が良くてマスワリ4発ぐらい出たのかな。それで6-0にしたんですけど、1球飛ばしたら一気に流れが悪くなって赤司選手に追い上げられました。そんな時に横を見たら川端プロ vs 重田アマ戦は川端プロの負けで先に終わっていたので、さすがに「大丈夫か?」と(苦笑)。もちろん諦めないでやってましたけど、最後は相手の9番ミスに救われたという試合でした。

 

――そして大激戦になったあの決勝戦。相手の重田寛之アマは『淡路』(北谷一家が小倉で営むビリヤード場)の長年の常連選手でもあります。気持ちを作るのは難しかったのでは?

 

北谷:難しかった(苦笑)。普段よく一緒に撞いてますから。こっちとしては試合前に相手にプレッシャーかける訳にもいかんし、気持ち良くプレーしてもらいたいなと思ってたんで、試合前は近寄らなかったし、バンキングの時の「よろしくお願いします」以外は喋りませんでした。

 

――重田アマは準決勝の川端プロ戦に続き、ハイレベルなプレーを展開していました。

 

北谷:あれがいつもの重田選手です。見ての通り、よう入れるし、手球の加減が上手いし、クッションがものすごく上手い。そして、ああいうサラっぽいテーブルが得意です。さらに、体力と集中力が半端じゃなくてずっとあの感じで撞けるんです。相手としては本当に厄介です(笑)。

 

――北谷プロはブレイクがあまり当たっていませんでした。

 

北谷:ブレイクは佐賀に行くまでにもっと決め込んでおくべきだったなと思います。微妙に違和感のあるまま「向こうで10ショット練習の時に決めよう」ぐらいの考えだったのは良くなかった。こないだの東のグランプリ(『GPE-3』)で優勝した土方隼斗プロが、パワー抑え目のいいブレイクをしてたじゃないですか。あれを取り入れたブレイクを初めのうちはやってたんですけど、なかなか良い配置にならなくて途中から強く割ってました。準決勝はそれがいい感じにハマってたんですけど、決勝戦では良くなかったですね。

 

――決勝戦の展開は、まるでヒルヒルになることが決まっていたかのような運命的なものを感じました。

 

北谷:自分がところどころ失敗しているのは間違いないんだけど、頑張っても頑張っても苦しい流れは変わらなくて、ヒルヒルまで行ってしまって「なんなん?」とは思いました(笑)。それでも絶対スネないと決めてたんで「先球は絶対に入れるぞ」と。

 

ゲームボールとなった2-10コンビ
ゲームボールとなった2-10コンビ

 

――最後は重田選手の1番ミスの後、北谷プロが1番インから2-10コンビ。これがゲームボールでした。

 

北谷:1番から取り切ろうと思ってテーブルを見たら、2番を入れられるポケットがなくて。遠いコーナーと片一方のサイドポケットには通ってるんだけど、1番のフリ的にそこには手球が出せない。10番に手球を当てて2番をサイドに……とも思ったけど、それで失敗したら寒いなと。「これはもう2-10しかない」と思いました。昨日は結構コンビがよく決まってたのもあります。

 

――2-10コンビに対して真っ直ぐではなくフリを付けて出してましたが、あれは意図的なもの?

 

北谷:そうです。2-10のラインに対して真っ直ぐやかなり厚めに出していたら、かえって狙うのに迷いが出たと思います。あれだけしっかりフリが付いてた方がコンビの厚みが取りやすい。自分ではめっちゃいい所に出せたと思ってます。

 

――コンビアンドセーフは考えてなかったように映りました。

 

北谷:抜けセー撞いたら入ることないなと思ったし、その後また重田選手にセーフティされて詰んでしまうことまで想像出来たから、「入れ一本で勝負だ」と。でも、撞いた瞬間は「お願い」って思ってました(笑)。10番がポケットに向かって真っ直ぐ走って行くのを見て本当に嬉しかったですね。あんなガッツポーズすることないもんね。

 

――「スネない・諦めない」をやり通した末での優勝でしたが、他に良かったところとは?

 

北谷:「泥臭くてもいいから勝つ」「どんなに内容がダメでも勝ちは勝ちだ」という気持ちで試合に臨めたことかな。コロナ禍前はそう思いながらやってたんですよ。でも、コロナで試合間隔が空いて、自分がどんな感じで試合してたのかという感覚がどんどん薄れていって、ホームでばっかり撞いてる間に別の気持ちが強くなってきて。

 

――別の気持ち……?

 

北谷:公式戦が再開されたら、「綺麗に勝たなきゃいけない」「めっちゃ入れてマスワリいっぱい出して」「ノーミスで勝つ」とか、上手くもないくせに自分を良く見せようとしてました。それで『関東オープン』や『GPW-1』のベスト16~32あたりで負けてスネたりしてね。それは勘違いだし、慢心だったなっていうことに、6月の『九州オープン』の準決勝で負けてはっきり気付きました。ドロドロになろうが調子悪かろうが応援してくれる人達がいるっていうのに、そういう風にカッコつけるのって余計にカッコ悪いよなと思って反省しました。今回も『えっ』と思う球があったり、予想すらしないような失敗もありましたけど、「やっぱり下手ですね」と思いながら、「入れればまだ次撞けるし」って思って1球1球やり抜きました。

 

――2019年『東海グランプリ』以来、3年ぶりの優勝です。

 

北谷:すごく嬉しいです。試合が減って「もしかしたらこのまま優勝できんってこともありえるよね」とも思ってたし、『関東オープン』や『GPW-1』は身体が全く言うこと聞いてくれんかったしね。

 

――2022年も半年が過ぎました。最後に今年後半戦の抱負を。

 

北谷:どんな試合でも今日みたいに諦めず、スネず、「そんな上手くないよお前は」って自分に言い聞かせながら撞きたいです。そうすれば新しい自分に会えるんじゃないかなと思います。今、若い選手もいっぱい出て来てるし、息子もちょっとずつビリヤードをやってるんで、若い世代に簡単に負けないようにやっていきたいし、かっこいいと思ってもらえる父ちゃんでありたいです。最後になりますが、中村さんはじめセッションの皆様、GPWを開催してくださったことと長年のサポートにとても感謝しています。そして、日頃から応援してくださっている皆様や、調子悪くてもずっと支えて応援してくれてる奥さんにも感謝しています。また来月(8月)もう一度セッションでGPWがあります(『GPW-3』)。チャンピオンシードに恥じないプレーをしたいと思います。

 

(了)

 

…………

 

2022 GPW:

 

5月 GPW-1 in 愛知ダマデノッチェ(神箸渓心アマ/竹中寛)

7月 GPW-2 in 佐賀セッション(北谷好宏/重田寛之アマ)

 

 

 

 

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