12日(日)の
優勝した土方隼斗プロの談話です。
大会の翌々日にコメントをいただきました。
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Hayato Hijikata
JPBA40期生
1989年3月16日生 東京都出身&在住
アマ時代の2005年『世界ジュニア』銀メダル
2005年、2013年、2019年、2020年『関東オープン』4勝
2007年『ルカシージュニアワールドテンボール』優勝
2008年、2019年『北海道オープン』2勝
2010年『エイトボールオープン』優勝
2013年&2016年『ジャパンオープン』優勝
2013年、2014年、2016年『関西オープン』3勝
2013年『東海グランプリ』優勝
2016年『全日本ローテーション』優勝
2016年『ハウステンボス九州オープン』優勝
2016年『北陸オープン』優勝
2018年『全日本14-1』優勝
『グランプリイースト』通算21勝、他、入賞多数
2013年&2016年JPBA男子年間ランキング1位
使用タップ:BIZEN
スポンサー:自遊空間、JUST DO IT、ココカラダ
YouTubeチャンネル:土方隼斗のビリヤードTV、あつまれ☆ビリヤード
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――優勝してから2日経ちました。
土方:珍しく今回は時間が経つほどに嬉しさを感じています。今回、球の調子はまだ万全ではなかったので、「優勝出来る」とか「絶対勝つぞ」という風には思ってませんでした。なので、勝った直後は「やった! よし!」と思うこともなく、時間の経過とともに「勝てたんだな」と思いましたし、周囲の方々からお祝いのメッセージなどをいただくたびにじんわりと「ああ、良かったな」と嬉しさが湧いてきました。
――2日間のプレーの自己評価は?
土方:やっている間はそんなに良いとは思ってなかったんですけど、振り返ると全体的にだいぶよく撞けた方だと思います。今持ってる力を出すことと丁寧にやることを心掛けてたんですが、そのおかげかメンタルのコントロールが出来ていて内容も付いてきたのかなと。ただ、難しい球がよく入ってたけど、凡ミスも結構してました。そこは今の状態を表しているのかなと思います。
――決勝戦(vs 羅立文)は?
土方:良かったと思います。印象に残るようなミスは1ラック目の4番ぐらいかな。あの時はまだクッションの速さを掴みきれてなくて、自分でもミスりそうな雰囲気がありました。「羅さん相手にこのミスはマズイぞ」と思ったんですが、その後すぐ良い感じに取り切りやマスワリが出せて、自分主導でゲームを運んで行けたと思います。
――ラスト2ラックは、1番からの取り切りとマスワリで上がりました(8-4)。あの辺りはさすがに強いプレッシャーがあったのでしょうか?
土方:いや、最後まで良い意味で「普通」のまま撞けたと思います。相手、スコア、展開……そういうのをほとんど意識してませんでした。最後のマスワリの途中で「行けそうだ」とは感じてましたけど、絶対そこに意識を置いちゃいけないんで、撞き方だけ気を付けてました。その上がり際を含めて、決勝戦は結構平常心を保てていたと思います。普段ならもうちょっと流れを意識したり、「強気で行くぞ」みたいな雰囲気を出したりするんですけど、今回は割と「無」だった気がします。あっ、リーチをかけるラック(決勝戦第11ラック)の9番サイドバンクだけは「入ってくれ!」と思いながら撞きました(苦笑)。7番8番9番と自分でポジションを苦しくしてしまった末のバンクでした。あれは僕らしかったかもしれない(笑)。
――ブレイクショットがだいぶ効いていたように思います。あの打ち方は新しいものですか? それともレパートリーにあったものですか?
土方:ここ1年でよくやっているブレイクです。今はハイパワー+コントロールでは打てないので、ほどほど強めのコントロールブレイクにしています。
――今回、決勝日にアマチュア4名・女子プロ1名が残り、プロvsアマという構図も注目を集めました。プロの立場としてプレッシャーはありましたか?
土方:いや、もともとそんなにプロ・アマ・女子プロという区分けは気にしてなくて、個人個人で見ているのであまり意識してなかったです。強い人は強いというだけです。今回の予選は(よりプロ向きの)10ボールの10ラック先取だったので、アマチュア選手と女子プロがそのフォーマットでそれだけ残るのはすごいなとは思いました。
――ともにMEZZプロ、BIZENプロであり、YouTubeでも一緒に活動している平口結貴プロと当たるとしたら決勝戦でしたね。
土方:もし平口プロとの決勝戦が実現したらそこだけは「絶対負けないぞ」と意識したでしょうね(笑)。平口プロはベスト8で敗れましたが、そこまで行くのもかなりすごいことです。今回は平口プロふくめ、杉山功起プロ、松川慎之介プロ、神箸渓心アマと20代のプレイヤーが決勝日に数多く残っていて新鮮な感じがしました。日本の競技ビリヤードにもほんの少し若返りというか世代交代の良い兆しが見えてきた気がします。スポーツの世界ではそうやって代替わりしていくのは絶対に大事なことだと思うので、若い世代は素直に応援したいです。もちろん当たったら負けませんけど(笑)。
――今回の優勝は昨年11月の『GPE-4』以来、約7ヶ月ぶりです。
土方:大会の数で言うと5大会ぐらいぶりですか。コロナ禍で開催数が減っていた昨年、そして今年と続けて優勝出来たことは嬉しいです。正直今年は優勝はどうだろう……と思ってたので、勝ててすごくホッとしました。
――昨年末に身体の状態が悪くなり(椎骨動脈解離)、球が撞けない期間もありました。プレースタイルも変わらざるを得なかったようですね。
土方:はい。撞き込んでたり、調子が良い時ってノリで行ける球は行っちゃいますし、それでも球は入るんですけど、それは一回捨てました。今は1球1球慎重に狙っています。今回見てくださった方も、これまでとは違う雰囲気というか、落ち着いたプレーだなと感じたと思います。ゆっくりプレーしたい訳じゃないですが、やっぱり丁寧にやると少し遅くなりますね。でも、今回の優勝で調子が良くない時でも丁寧に狙うという姿勢が良いプレーに繋がるんだなと再確認出来ましたし、自分自身そういうスタイルでも勝てるということは自信に繋がりました。
――身体面とビリヤード面、絶好調時を100とすると、今はそれぞれどのぐらいですか?
土方:身体面はもう100に近いと思います。練習量も少しずつ増やしていますが、違和感はありません。ただ首の中のことなので自分では判断出来ないですし、定期的に検査をして、お医者さんの言うことを守って、無理しないで過ごすしかありません。球の調子はどうですかね……70ぐらい行ってればいいかな、ぐらいです。調子が100の時は狙わなくても感覚で入れられることが多いのですが、今は狙わないと入らないし、入っても気持ちよく入れてるという感覚はあまりありません。感覚的なことですけど、その違いは大きいですよね。ただ、だからこそ今はノリでは撞かないし、ちゃんと狙えば入るんだなと感じられるぐらいまでは戻って来ています。
――フォームも作り直したりしたのでしょうか? 身体に負担がかかりにくい形を探したり……?
土方:結構してました。身体に無理がなさそうなもの、プラス、もっとプレーが安定する形を探していました。どちらかと言えば、純粋にビリヤードの向上に繋がりそうなものを探してました。撞き込んでる時や好調が持続している時って、わざわざフォームを変えようとは思わないですよね。でも、僕は一旦それがなくなったんで、今が変え時かなっていう。前に戻そうというんじゃなくて、「前よりもっと良く出来るんじゃないか」「今までやりたくても出来なかったことを試す時期が来たんじゃないか」、そんなポジティブな考えでいじってました。
――わかりました。今年ももう半分終わろうとしていますが、今後の展望は?
土方:例年通り、国内のプロ公式戦は全て出る予定です。海外にも行きたいのですが、今年前半は身体のこともあって様子を見ていました。秋(10月)の『USオープン』は申し込んでますが、エントリー時にマッチルーム(主催者)側の手違いがあってちゃんと出られるかどうかはまだわからないです。あまり身体のことを言うのも気持ちのいいものではないですが、今は身体もプレーも快方に向かっていますので、さらに状態を整えて、試合でもっと良いプレーをお見せしたいと思います。引き続き応援よろしくお願いします。
(了)
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