検証!  "スリーポイントルール"でイリーガルにならないブレイクショットは何kmなのか?

ナインボールのスリーポイントルール対策を考える

2015年6月

劉莎莎(中国) ※写真はイメージです
劉莎莎(中国) ※写真はイメージです

スリーポイントルールとは? イリーガルを回避するには?

 

近年、国際試合でも、国内の公式戦でも、

『スリーポイントルール』を採用する

試合が増えてきました。


これは一言で言えば、

「弱いブレイクショット」を抑止する

ルールです。


ビリヲカさんに用語解説あり。こちら


性能の良いブレイクキューの存在もそうですが、

特に「ラックシート」が誕生してこのかた、


ナインボールやテンボールのラックは、

飛躍的に「毎回安定して」

「綺麗に」割れるようになりました。


ハードブレイクをする必要がなくなるほどに。


同じ厚み、同じ力加減、同じ撞点で

ブレイクを打ち続けることができれば

繰り返し同じような配置を作ることもできます。


そうすると当然、

「ソフトブレイク」

(「パターンブレイク」、

「コントロールブレイク」とも)で、

十分じゃないかという考えが出てきます。


強く打ってバラツキが出たり、

スクラッチするより、

弱く打って同じ形を作った方が、

取り切りやすく勝ちやすいのは自明の理。


かくして、ハードブレイクが激減したのです。


ソフトブレイクの是非はともかく、


大会主催側により、

ソフトブレイクを封じるための

措置の一つとして講じられたのが

この「スリーポイントルール」です。


このルールの条件を満たす

「グッド」(セーフ)なブレイクを記すと、


ブレイクをした際に、


●1 的球が3個以上イン


●2 的球が2個インし、

1個以上がヘッドライン(ブレイクライン)を通過


●3 的球が1個インし、

2個以上がヘッドライン(ブレイクライン)を通過


……すればOKで、

ブレイクしたプレイヤーが

従来通り普通にプレーを続行することができます。

 

 

上記を満たさないと

「イリーガル」(illegal。条件不適合)となり、

 

相手に撞き番が回ってしまいますので、

「パワー不足」に気を付けなければいけません。


(的球がノーインの場合は、

ラインを越えたボールの数は関係なく、

 

 「ノーイン」として、相手に撞き番が移ります)


…………


しかし。


BDが見てきた限りでは、


このスリーポイントルールに

引っかからない程度の

「そこそこ強めのブレイク」というのは、


ある程度以上、

ビリヤードに習熟した成人男性なら

おおかたクリアできると思いますが、


体力・筋力に乏しい人、

すなわち、ジュニア、シニア、レディースには

なかなか難しいものがあります。


また、まだビリヤード経験が浅く、

ブレイクが上手くない人にとっても

厳しい条件です。


そうはいっても、

先日の『関東レディースオープン』のように

女子の試合でも採用されるケースが

増えてきているので、

備えておいた方が良いでしょう。


…………


そこで思ったのが、


「スリーポイントルールをクリアできる

ブレイクは果たして時速何kmなのか?」


ということ。


そして、この思い付きから30分後、


BDは東京・神保町『ブラザー』にいて、


先日、ブレイク記事をBDに寄稿してくださった

"ブレイク馬鹿"なアマチュア選手、

 

「鈴木さん」を捕まえて、主旨を説明。


「スリーポイントルールをクリアできる

ぎりぎりの力加減で10発ぐらいブレイク」


していただき、

スピードを計ってみることにしました。


…………


●テスター・鈴木さんのスペック


鈴木さんちの球日記」主宰者

ブレイクショットとドローショットを

愛するAクラスプレイヤー

普段の平均的なブレイクスピードは32km~33km

最高スピードは43km

JPAなどでビギナー、下級者、女子選手に

ブレイクを教えることもよくある


…………

 

●テーブルのスペック


 

ブランズウィック『Ⅳ』テーブル

穴幅はボール2個分弱

ラシャは『ブリエ』

(※特別速くも遅くもなく標準的な転がり)

ラシャ交換から約3ヶ月経過

お店特製のラックシート使用

ボールは水拭きのみ

実験日の天候は晴れ。気温24.5℃、湿度40%

 

…………


●計測機器


アンドロイドスマホアプリ

Break Speed

 

※iPhone版もあり。


このアプリの信頼度について

鈴木さんによれば、


「以前、同じアプリを入れた別のスマホ1台と、

一般的なスピードガンと、

合計3台で同時に計測したことがあり、


3台の誤差が1km以内ぐらいに

収まっていたので、

大体は合っていると思います」


とのこと。


…………

 

さあ、テスト準備は整った。

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