〈BD〉カスタムの輝き・「コグノセンティ」編その3

 

カスタムキューを多数取り扱っている

UK Corporation

 

その代表、大原秀夫氏が所蔵している

キューを見ていく本企画。

 

(※過去記事はこちら

 

今回紹介するのは、

 

1989年からシカゴで製作開始。

 

エボニー(黒檀)をバット材に使うことが多く、

そこにグラフィカルで華麗なインレイを

施したモデルを数多くリリース。

 

モノトーンスタイルで

日本でも一世を風靡した

『Cognoscenti』(コグノセンティ)です。

 

代表を務めるのはジョー・ゴールド。

※数年前にキュー製作を終了したと

報じられています。

 

参考記事:

※カスタムの輝き・「コグノセンティ」編

※カスタムの輝き・「コグノセンティ」編その2

 

…………

 

今回ご紹介するのは、

2000年代前半に作られた1本で、

 

ココボロをベースに

長短6剣が入れられたモデル。

 

コグノセンティの中ではそこまで複雑な

インレイデザインではないですが、

剣の内側にエボニーを入れたり、

シルバーのラインとドットを

各所にあしらったりと、

立体的で高級感漂うモデルです。

 

リングはシルバーのバー(タテ棒)の

上下にシルバーラインが入った

『ファンシーリング』。

 

また、ジョイントピンには軽くて硬い

『G10エポキシ樹脂』を採用しています。

 

 

大原氏・談:

 

「これは私がプレーキューの一つとして

使っていたキューです。

売り物ではありません。

 

たしか15年ぐらい前に『SBE

(アメリカのSuper Billiards Expo)で

購入しました。

 

コグノセンティ代表のジョー・ゴールドの

ビジネスパートナーだった

キース・ウォルトンという人が

SBEで大きなブースを構えていて、

試し撞き用にこのキューを置いていました。

 

撞いた皆が絶賛するぐらい音が良くて、

周囲の人も振り向くほど。

 

性能も申し分なくて、

たしかヴィヴィアン・ヴィラレルだったと

思いますが、アメリカの女子プロが

本気で交渉していたけど、

結局折り合いがつかず、

エキスポの最終日まで残っていました。

 

私もサウンドと撞き味に惹かれていたので、

価格交渉をして、少し割り引いて

もらって購入しました。

 

それ以降、私が国内でキューの

展示即売会などをやる時には、

このコグノセンティを持って行きました。

 

皆が音の良さに驚き、『売ってほしい』と

言われることもよくありましたが、

私自身気に入っていたのでお断りしていました。

 

私がこれまで扱ったキューの中でも

トップクラスに澄んだ良い音がします。

 

ジナやTADなど、音の良さにも定評がある

著名メーカーがいくつかありますが、

このキューもそこに並べていいでしょう。

 

同じデザインの別のキューでは

ここまで良い音はしなかったので、

この個体が特別良いものなのだと思います。

 

最近は張り合わせや特殊加工の

バットやシャフトが増えてますから、

良い音のするキューは珍しくなりました。

 

使用材料やパーツが増えると、

より多くの接着剤が使われますので、

音が接着剤に吸収されてしまいますね。

時代の流れを痛感します。

 

また、このキューは

性能的にもとても扱いやすく、

ちょっとぐらい撞き方をミスしても

手球は落ち着いてくれるし、

的球も入ってくれます。

許容範囲の広いキューだと思います。

 

代表のジョー・ゴールド自身、

かなりの腕を持つハスラーなので、

キューを作る上で、プレーアビリティの

追求は譲れないところだったのでしょう。

 

私は曲球など派手な球を撞く時はTADを使い、

勝ちに行く時はこちらを使ってました。

 

このデザインは、私の目には、

ベンダー系のデザインを進化させた

スタイルに見えます。

 

知っての通り、コグノセンティは

マーケティングが巧みで、

同じようなデザインをたくさん作って

販売していたので、

他メーカーやディーラーやコレクターに、

それを揶揄されることもありました。

 

一方で、型番やデザインが

リスト化・テンプレート化されていて、

お客さんはカタログとプライスリストを

見ながら買えるという

わかりやすさもありました。

 

価格が不思議なほど高騰したり、

私からすると年を経るごとに

プレーアビリティにバラつきが出てきたり

していたので、コグノセンティは

なかなか評価の難しいメーカーです。

 

ですが、初期の頃から完成された

デザインのスタイルがあり、

エボニーバットの軽量化や

G10ジョイントピンなど

新しいテクノロジーも導入し、

目の離せないメーカーだったことは

間違いありません。

 

ジョー・ゴールドは数年前に

キュー作りから引退してしまいましたが、

『一時代を築いた』『一世を風靡した』

という表現で良いのかなと思います」

 

(了)

 

 

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