大坪和史・第23〜25期球聖

2度目の防衛に成功。連続3期、通算4度目の「球聖位」に

2016年5月

Kazufumi Otsubo photo :  Akira TAKATA
Kazufumi Otsubo photo : Akira TAKATA

 

ナインボールらしい

スピーディーでスリリングなゲーム。

 

……の果てに、

 

大坪和史が2度目の防衛に成功し、

3期連続の球聖位(通算4回目)となった。

 

飄々と颯爽と

ハイレベルなプレーで

観るものを唸らせていた

広島の異能の球人は、

 

しかし、

 

「う〜ん、良くはなかったですね」

と穏やかに語り始めた。

 

防衛成功翌日の談話をここで。

 

写真提供:Akira Takata

取材・文:BD

 

…………

 

Kazufumi Otsubo

 

生年月日/1972年12月21日

ビリヤード歴/約22年

出身・在住/広島県

所属/ビリヤードみゆき

日本玉台中国産業

1999年全日本ローテーション優勝

2000年全日本アマナイン優勝

2000年第40期名人位

2001年西日本プロツアー優勝

2008年第17期球聖位

2014年~2016年第23~25期球聖位

2006年2014年マスターズ優勝、

などタイトル多数

使用プレーキューはMUSASHI(ADAM JAPAN

ノーマルシャフト使用

ブレイクキューもADAM JAPAN

ジャンプキューは日本玉台中国産業オリジナル

 

※2014年の球聖位獲得時のインタビューはこちら

※2015年の初防衛成功時のインタビューはこちら

 

始めの2セットが終わった時点で疲れを感じてました


 

――2度目の防衛に成功。感想をいただけますか。

 

「そうですね……。気持ち的には去年と変わらないですかね」

 

――去年は「あまり良く撞けなかった」と。

 

「あ、一緒ですね、やっぱり。今年も結果は出せたし、周りの人達が喜んでくれてたので良かったんですが、自分としてはまず内容がなぁという感じです。ペース良く撞けたのは撞けたけれど、それだけだったような。昨年より良く出来たという部分もほとんどなくて、あまり満足感はないですね」

 

――昨年は「テーブルやボールに対応できなかった」とも語っておられました。今年は?

 

「今年はそこは大丈夫でした。去年とは違うテーブルコンディションで自分には合ってました。去年はクッションの出が少し遅くて、ヒネリが噛みにくかった。でも、今年はクッションが早く出てヒネリが多少噛みやすいように調整してありました。自分としては今年の方がイメージに合っていたんですが、それでも難しいのは難しかった。イメージは悪くないんだけど、手球のコントロールが出来てなかったですね」

 

――試合前や試合中の心身のコンディションは?

 

「ずっと良かったんですけど、1週間ぐらい前にぎっくり腰っぽいものになってしまい、病院にも行きました。幸いなことに本番のプレーにはほとんど影響がなく、当日は痛みもなかったんで良かったです。でも、気を付けながら撞いてはいました。体を伸ばして撞く時とか、ラックを組むためにボールを取る時とかは一応慎重に」

 

――セットカウント5-1。夕方に終わるという早い決着でした。体力や集中力が切れることはなかったですか?

 

「始めの2セット(W-4、W-4)が終わった時点でだいぶ疲れを感じてました(笑)。試合にあまり出てないせいか、始まるとすごく緊張感が出てきてしまう。その中で撞くと一気に疲れますね。疲労を自覚しながら撞いてました。3セット目は気持ちも一旦切れたような状態になっていて、相手に取られてしまった(6-W)。でも、ちょうどそこで長めの休憩があって気持ちを切り替えられたんで、なんとかなりましたね」

 

――鏡園選手との対戦は?

 

「『西日本都市対抗』で当たったことがあると思います。プレーは以前から見ていますが、ナインボールを見たのは今回が初めてだったのかな。今回は序盤からコントロール重視のブレイクをしていたと思うんですけど、それがあまり上手くいってないように見えました。でも、終盤は結構ハードに割っていて、良い形になってすんなりランアウト、次もランアウト……という流れが出来ていたので、もし始めからブレイクが合っていたら僕にとってかなり厳しい展開になってたんじゃないかと思います」

 

――両者ともリズミカルなプレーでした。テンポ的には波長が合っていたのでは?

 

「やりやすかったですね。早く撞く方は、僕は合います」

 

今回も結果だけは出た。それで勘弁してください(笑)


 

――自身のプレー内容が良くなかったということですが、具体的には?

 

「簡単に撞いてポジションをミスしたことが結構ありました。手球が転がりすぎてしまい、自分で難しくしてしまった。もっとちゃんと考えて撞けていたら、そうはならなかったはずです」

 

――本題から逸れますが、大坪選手は昔からずっと眼鏡なんですか?

 

「はい、球を始めた時から眼鏡です」

 

――あの黒縁の眼鏡はビリヤード用にあつらえたものですか?

 

「いや、特別にビリヤード用に作ったという訳ではないんですが、あれをかけるのはビリヤードの時だけ。度数もビリヤードをする時用に合わせています」

 

――プレー中と表彰式で眼鏡が違うなと思いまして。

 

「ええ、そうなんです(笑)。プレー中にかけていた黒い方は、普段使っている眼鏡より度数を落としてあります。だから、黒い方だと日常生活ではちょっと物が見えにくいんです」

 

――コンタクトレンズを試したことは?

 

「ないです。コンタクトをしてるプレイヤーの話を聞くと、よく見えるけどエアコンがきついと目が乾いてしんどいとか、長時間撞いてると目が疲れるとか言うじゃないですか。僕はずっと昔から眼鏡で不便に思うこともないので、一度もコンタクトを試すこともなく今に至ります」

 

――度数を弱めているメガネでも、球の厚みとかは問題なく見られるんですか?

 

「ええ、見えてます。自分の中で決めている度数というのがあって、1~2年に1回、レンズを替えたりして、そこに合うように調整しています」

 

――プレー時は毎回同じ黒眼鏡なのは何か秘密があるのかなと、つい興味本位で聞いてしまいました。

 

「特に秘密というほどのものはないですが、今言ったような理由でビリヤードの時はこれです。そして、なんとなくもう変えにくくなってきましたね。変えたら何か言われるかなとか(笑)」

 

――わかりました。最後に応援していた方々にメッセージをお願いします。

 

「今回もまた『みゆき』のお客さんやHPBCのクラブ員の皆さんにたくさん応援してもらいましたし、運営や手伝いとか、全てやってもらってあの試合ができたことを大変ありがたく思っています。今回も結果だけは出たんで、とりあえずそれで勘弁してくださいということで(笑)。また次回、頑張ります」

 

(了)

 

※「聞いてみた!」の他のインタビューはこちら