大坪和史・第23〜24期球聖位

広島が誇る当代随一のトップアマ、初の防衛に成功し、在位2期目に

2015年5月

 

昨年、喜島安広(埼玉)との死闘を制して

自身6年ぶり2度目の球聖位に就いた

大坪和史(広島)。

 

あれから1年経った2015年5月、

 

大坪は、

本拠地『ビリヤード みゆき』に

 

挑戦者・中野雅之

(東日本代表・東京)を迎えて、

「球聖位決定戦」を戦った。

 

結果は、セットカウント5-3での

防衛成功。

 

大坪は以前、

『名人戦と球聖戦でそれぞれ一度、

本拠地での防衛を逃した過去がある。

 

約14年越しの本拠地勝利。

 

既に多くのタイトルと賞が刻まれていた

彼の戦歴に、

遂に「防衛」の2文字が加わった。


 

写真協力:タカタアキラ

写真・文:B.D.

 

…………

 

Kazufumi Otsubo

 

生年月日/1972年12月21日

ビリヤード歴/約21年

出身・在住/広島県

所属/ビリヤードみゆき

日本玉台中国産業

1999年全日本ローテーション優勝

2000年全日本アマナイン優勝

2000年第40期名人位

2001年西日本プロツアー優勝

2008年第17期球聖位

2014年~2015年第23~24期球聖位

2006年2014年マスターズ優勝、

などタイトル多数

 

使用プレーキューはMUSASHI(ADAM JAPAN

ノーマルシャフト使用

ブレイクキューもADAM JAPAN

ジャンプキューは日本玉台中国産業オリジナル

 

※昨年の球聖位獲得時のインタビューはこちら

※本大会前の談話はこちら

 

今回は結果だけにこだわっていました


 

――初防衛おめでとうございます。


「今回は本当に嬉しいですね。地元(広島)だけでなく、山口からもたくさんの人が応援に来てくださって、皆が防衛を喜んでくれました。本当に良かったです」


――試合は約12時間。今年もロングゲームになりました。疲れはありましたか?


「やっぱり疲れましたね。試合中、第2セットぐらいからもう疲れてました(笑)。昨年以上に疲れが出るのが早かったです。そんな先が見えない状況で撞いてたんですが、今回は何も考えず、疲れも気にしないようにして、ただただ淡々と流れに身を任せていました。ぼーっとしていたような感じと言えば良いでしょうか」


――勝利を確信した瞬間は?


「なかったです。最後までずっとわからないまま。最終セット(第8セット)は結果的に7-0でしたが、最後の9番を撞く時もまだ『勝った』なんて思わなかったです」


――ご自身のプレー内容はいかがでしたか?


「全然ダメだったと思います。内容はよく覚えてないんですが、ちゃんと撞けてなかったことはわかっています。でも、今回は結果だけにこだわっていました。なんとか勝ちたいと思っていたんで、その部分では満足です」


――第1セットを先に中野選手に取られて、緊張感や焦りは?


「それはなかったですね」


――第2セットを取り、そこから徐々に状態が良くなったように見えました。


「そこら辺を覚えてないんです(苦笑)。少なくとも自分では徐々に上がって行った感覚は全然なかった。どこまで行っても、一球入れるのが難しくて難しくて。最後まで上向いていく感じはなく終わりました。今回はブレイクが全然当たらなかったんで、余計に上がっていくイメージを持てなかったですね」


――勝負の分かれ目になったセットやラックは?


「それも……覚えてないですね。最後の方以外はどうやって点を取っていたのか、ほとんどわからないままです」


――今回は、普段あまり撞いていないテーブルを使用したとのことですが、実際に本番で撞いてみてどんなコンディションでしたか?


「テーブルコンディションは最後まで掴めなかったですね。というのも、今大会ではニューボールをおろして使ったんですが、そのせいか、感覚がずっと合わないままでした」


――対応しきれた訳ではなかったんですね。

 

「ええ。前日(土曜)の夜にニューボールで撞く時間があったんですが、使い慣れたボールより大きくて重いせいか、それまで以上に転がるようになった印象でした。平(ラシャ)が転がる感じで、クッションもちょっと出るし、球も入りにくくなっていて。その変化に対応できないまま本番を迎えて、不安なまま撞いてました。結局最後までコンディションに対応できたとは言えないですね。なんとなく撞いてただけというか」

 

周りの皆に助けられて、本当に撞きやすかったです



――試合前の談話では、「"諦める"とか"切れる"とかいうことはないように戦いたい」と語っていました。それは守れましたか?


「はい。それは大丈夫でした」


――大坪選手と中野選手はリズムもスタイルも大きく違います。やりにくさなどはなかったですか?


「過去の対戦で中野選手のリズムはわかっていましたので、気にせずプレーできましたね。待つ時はただ淡々と待って、撞く時は普段の自分のペースで行こうと。少なくとも、中野選手のペースに合わせるのは止めようとは思っていました」


――球聖位決定戦で初めて導入された45秒のタイムルールについては?


「自分が撞く時は大丈夫でした。ほとんど気になりませんでした。むしろ待ってる時の方がドキドキしましたね」


――それは中野選手の時間の使い方を見て?


「はい。中野選手は残り5秒のカウントダウンの中で撞くことも度々あったでしょう。『本当に撞くのかな』とドキドキしたんですが、そこに意識が向いてしまうのも嫌だったのであまり気にしないようにしていました(笑)。

 

 自分のことで言うと……今回はブレイクの後、良い配置になることが少なかったので、プッシュアウトも含めて考えることが多くなりますよね。だから、ブレイク直後だけ時間が気になることがありました。エクステンション(時間延長。45秒)をそこで使うかどうかを含めて、考えることが多かったです。後で難しい球が来た時のためにエクステンションは取っておきたいんですけど、『どうしようかな』と」


――タイマーのデジタル表示とデジタル音は気になりませんでしたか? 


「ああ、それは全然問題なかったです。構えた時に視界の中にモニターが入る方がむしろ楽でしたね。チラッと見るだけで残り時間が確認できるので。あのシステムはすごく良かったと思います」


――さて、これで来年も『みゆき』に挑戦者を迎えて戦うことが確定しました。


「正直言えば、これだけのロングゲームは自分的にはかなりしんどいです。でも、防衛できれば周りの方々がすごく喜んでくれるので、来年もできる限りのことをやりたいです」


――最後に応援してくれた方へ一言いただけましたら。

 

「今回は本当に皆に助けられました。セットの合間の休憩の時に、励ましてくれたり持ち上げてくれたりしたことがとてもありがたかったです。また、皆、僕がテンポよく撞くスタイルだということを知っているので、気を遣ってくれて、撞いている時の声掛けはほとんどなかった。おかげで本当に撞きやすかったです。感謝しています」

 

 

※「聞いてみた!」の他のインタビューはこちら