喜島安広アマ

球聖決定戦直前インタビュー

2013年3月

 

アマチュアポケットビリヤード

競技界の最高峰の大会、『球聖戦』。


2013年の球聖戦(第22期)も

『球聖位決定戦』を残すのみとなった。

 

'10年に球聖位に就き、'11年と'12年の

2度タイトル防衛を果たした喜島安広は、

大会最多タイ記録となる「3度防衛」を目指す。

 

決戦の舞台でもある彼の勤務地、

川崎を訪れた。

 

取材協力:MECCA、On the hill !

写真・文:B.D.

※2013.04.07 追記 喜島安広選手は4月7日、見事に球聖位を防衛しました。

※防衛達成後のインタビューはこちら

※取材時の模様はこちら

自分のスタイルを貫いて戦います


 

――さあ、もうすぐ4月。防衛戦です。

 

1年が早かったですね。僕は気が弱いので、「早く戦いたい」とかは全然思わないです。むしろやりたくないです(笑)。

 

――(笑)。先日、東西の球聖A級戦が終わりました。東日本が持永隼史選手、西日本が永井博明選手。喜島さんはこの2名の勝者と決定戦(防衛戦)を戦う訳ですが。

 

どちらが勝ち上がって来ても自分のスタイルを貫いて戦います。それを楽しみにしてくれる方、応援して下さる方がいますので。みんなにブレイクショットから気持良く見てもらえる試合にしたいですね。

 

――持永、永井の両選手と交流は?

 

永井選手とは交流はなく、プレースタイルとかもわからないです。持永選手とは'10年から喋るようになりました。『アマナイン』(全日本アマチュアナインボール選手権)の時に食事を一緒にする機会があって。

 

――'10年のアマナインって喜島さんが優勝した大会では?

 

そうです。実は食事をした翌日、彼と対戦して勝ち、それから優勝したという(笑)。でも、試合で当たったのはその一回だけです。

 

――年齢はどちらが上?

 

同学年です。

 

――そうでしたか。持永選手は'08年から4年間『名人位』に就いていたトップアマですが、ライバル心は?

 

これがないんですねぇ。「どっちが老けて見られるか!?」ぐらいですね(笑)。

 

――(笑)。それにしても。事前に東のA級戦の行方を喜島さんに占ってもらいましたけれども。

 

「東は、持永選手、青木聖選手、小川徳郎選手、青柳高士選手の4名の中の誰かが上がって来ると思う」と言いました。予想が当たりましたね。

 

昔はもっとイケイケだったんですけどね(笑)


 

――少し話が逸れますけど、喜島さんはテンポよくマスワリをする軽快なプレースタイルが持ち味ですね。

 

自分ではあまり意識してはいないですけど、見てる人のことをどこかで意識しているのかな? 昔から遅くはなかったとは思います。

 

――試合でも練習でも同じぐらいのスピードですか?

 

いや、例えば球聖戦の時と普段を比べたら、やっぱり球聖戦の方が撞くのが慎重になっていて遅いです。

 

――プロ(JPBA)の世界では、大井直幸プロが同様にスピーディなプレーで知られています。

 

大井プロは速すぎですよ!(笑) いや、あのプレースタイルは見てて面白いし理想なんですけどね。

 

――面識は?

 

'08年の『関東オープン』のベスト8で対戦しました。しゃべったのもその時が初めてです。向こうから話し掛けてくれて。大井プロも同学年なんですよ。

 

――あっ、そうでしたか。

 

結構いますよ、同学年。大井プロ、栗林達プロ、杉原匡プロ、村山博之プロ。持永アマ、それから、沖縄でもMECCAでも一緒の照屋勝司プロ……。

 

――その同学年の大井プロと、力の差はあるとお考えですか?

 

それはもう。ネコとトラぐらいは(笑)。でも、ビリヤードは確率の勝負だし、トーナメントは一発勝負だから、勝つこともあると思っています。

 

――プロ入りは考えていませんか?

 

うーん、これまで考えてきたこともありますけど、今はまだ……という感じです。検討中ですね。

 

――もし仮にですよ。仮に喜島さんがプロになった場合、結果を出すには何が必要だと思いますか?

 

技術、メンタル、それから普通に生活しながらビリヤードもしっかり練習できる環境を作る力ですかね。僕はまだどれも足りていないと思っています。

 

――そうですか。

 

特にメンタルは一番最初に問われる部分で、メンタルが良くないと出せる技術も出せないと思います。僕は気の弱さが先に出る時がある。それが欠点です。昔はもっとイケイケだったんですけどねぇ(笑)。

 

球聖戦は応援団がいなかったら勝てないですよ


 

――話を戻します。今回喜島さんが防衛に成功すれば、球聖戦の歴史上、高橋邦彦・現プロの持つ防衛回数最多記録「3回」に並びます。

 

(※高橋邦彦プロはアマ時代の'92年に戴冠し、'93年~'95年の3度防衛。この後プロに転向し、そして世界チャンピオンにもなった)

 

実は意識しています。それもあってだいぶナーバスになっているんですよね(苦笑)。去年もそうでしたけど、今年もまあまあきてます。「負けたらどうしよう」とか。確実に寿命縮まっていると思うんですよ(笑)。

 

――昨年の防衛から1年間、きっとさらに力を蓄えてこられたと思うのですが。

 

この1年は忙しくしていたこともあって、あまり全国大会に出られなかったんです。なので「進歩したか?」と問われても正直わからないです。

 

――今年1月の『東日本神奈川10ボール』はまだ調子が整っていないように見えました。

 

良くなかったですね。ちょうどあの頃からデリケートになってます。この何年か、球聖戦の要項が出る時期になるとダメなんですよ(笑)。

 

――そうは言っても今まで2度防衛しています。

 

好調の波が来てる時はすごく良いと自分でも思います。それと本番に強いタイプなのかもしれないです。

 

――本番と言えば、決定戦は川崎の『MECCA』の花台で行うんですよね?

 

そうです。昨年秋から僕はMECCAで勤務していますので。環境は変わりましたが、お陰様で練習はちゃんとできています。

 

――今、具体的にはどのような調整を?

 

本番と同じようなフォーマットでナインボールをやったりしてます。一人練習もしています。やっぱり今は練習量が増えてきていますね。

 

――本番ではどのように戦いたいと思っていますか?

 

長い試合なので体力的にも精神的にもしんどくなります。そうすると集中力が低下して気が緩む時があります。去年の決定戦でもそういう時間帯があったので、気を付けたいですね。

 

――球聖戦はトーナメントの一発勝負とは違いますか?

 

はい、ロングゲームのセットマッチですから、両者のその時点での実力の差は出ると思います。そういう意味ではこの決定戦は勝っても負けても納得できる試合です。

 

――今年も応援団は来てくれそうですか?

 

はい、SPA(埼玉ポケットビリヤード連盟)の面々が来てくれる予定ですし、MECCAのお客さんも見てくれると思います。群馬や長野からも来てくれるかも。僕、寂しがり屋なんで、いっぱいいると安心します。

 

――応援があるのとないのとでは大違い?

 

全く違います。応援団がいなかったら勝てないですよ。というか、球聖戦はほんとにみんなの試合なんです。僕を見守って支えてくれる周りの方々のお陰でこの経験ができています。だから、またみんなで喜びを分かち合いたいですね。

 

 

喜島安広さんはこんな人→

 

第19期~第21期球聖位、他全国公式タイトル3つ

1983年1月7日生まれ。A型・山羊座

埼玉(と神奈川)在住

MECCA(神奈川県川崎市)勤務

SPA(埼玉ポケットビリヤード連盟)所属

プレー歴は約15年

 

※4月7日、見事防衛達成! 試合後のインタビューはこちら