『球バカ日誌』主宰・「鮫」さん

2015年2月

 

個人ビリヤードブログとして

トップクラスの人気を誇る

『球バカ日誌』

 

主宰する「鮫」さんは、

話題の動画や人物を丹念に深く掘り下げて、

 

優しく丁寧な筆致で届けてくれる。


しかし、そんな球バカ日誌も、

立ち上げ当初からしばらくは、

「ビリヤードは数あるネタの一つという

ただの日記」だったという。

 

現在の形になるまでの変遷と

日頃の記事の作り方までを聞いてみた。

 

取材・写真・文/B.D.

 

…………

 

「鮫」さん

青森県出身・神奈川県在住

40代前半・会社員

ビリヤード歴:28年(実質16年)・

Aクラス・月1プレイヤー

球バカ日誌開始日:2003年3月頃

(さかのぼれる最古の記事は2005年1月)

更新頻度:週2回ほど

 

 

『球バカ日誌』
『球バカ日誌』

 

――早速おうかがいしますが、球バカ日誌を立ち上げた経緯は?


「元々2001年に『魔法のiらんど』(携帯電話向け無料HPサービス)で日記を書き始めたんです。その時のタイトルが既に『球バカ日誌』でした。名付けたのは当時の仲間です。内容はビリヤードとは関係ないただの日記で、仲間内に向けたものでした」


――その仲間はビリヤードの仲間ですか?


「いえ、違います。でも、僕がビリヤードをやることは知っていたので、『じゃ、球バカ日誌でいいんじゃない?』みたいなノリだったと思います。その後、2003年にブログに移りました」


――ブログに移ってもまだビリヤードネタは少なかったんですか?


「月2回くらいでしたね。試合の感想などを気が向いた時に。それ以外は変な文章を書いてたと思います(笑)。2009年ぐらいまでテーマや方針みたいなものがない状況でした」


――では、現在のビリヤード中心のスタイルになってからはまだ5年ぐらい?


「よく覚えてないんですが、多分そうです。特に理由や転機があった訳でもなく、書き続ける内にどんどんビリヤードのことを知りたくなってきて、動画や情報を集め始めたという。だから、『こういうブログが作りたい!』と意気込んで始めたんじゃないんですよ。なんとなく、自然と(笑)」


――動画を紹介し始めた初期の頃で、思い出深い記事などありますか?


「有名なE・レイズの『N字ショット』ですかね。これは2006年の記事なんですが、自分でも『ビリヤード動画、すごいな』と思い、こういう動画を定期的に紹介していこうと思ったきっかけになりました」


――一番読まれた記事は?


「恐らく一番PV数が多いのは、実はビリヤードの記事じゃなくて、2010年に書いた、クツのかかと修理の記事(ここここ)だと思います(笑)」


――えっ!

 

「当時、熱心にウォーキングをしていたんですが、スニーカーのかかとが減ってくるので、ソールを補修するアイテムを紹介して、やり方を書いたんです。つまり、補修材のインプレッション記事ですね。これはNAVERまとめにもなりましたし、検索からも入ってきますし、今でも読まれています」

 

愛キューはこのアダム(シャフトはMEZZ)の他、カスタムキューも数本所有する
愛キューはこのアダム(シャフトはMEZZ)の他、カスタムキューも数本所有する

 

――まさかクツが一番とは(笑)。ビリヤードのヒット記事は?


「正確に調べてはいないですが、理解不能な引き球の動画を紹介した『リアル・リバースショット』の記事(2013年)。これはコメント欄で推理が盛り上がりました。それからブレイクキュー『BK3』のインプレッション記事(2012年。ここここ)でしょうか」

 

――よく読まれる記事の傾向とは?


「単純に見やすいものですね。30~40分かかってしまう試合映像より、パッと引きつける短い動画が入ってるもの。例えば、スーパーショット集などがそうです」


――昔から発信することや表現することがお好きでしたか?


「いや、書いているうちに好きになりました。でも、本を読むのは昔から好きでしたね。ビリヤード誌のCUE'Sやスポーツ誌のNUMBERとかを、『こうやって書くんだ』という目で見ていたこともあります」


――1本の記事にかける時間は?


「集中すれば1時間くらい。でも、書き始める前の下調べの段階は長いです。普段、日中は働いているんですが、夕方くらいに時間ができることがあるんで、候補動画をざっとチェックしたり、Twitterで備忘録的につぶやいておいたりします。その段階では動画はちゃんと観ていないです。帰宅してから丸ごと観て、使うかどうか決めて、使うとなったら色々と下調べをするという感じですね」


――ビリヤード動画の情報源を聞いても良いですか?

 

「youtubeで探すことが多いんですが、プールならこの人、キャロムはこの人、スヌーカーならこの人、というように、注目動画を頻繁にアップしている人をチャンネル登録してあるので、彼らの動画をチェックします。『genipool14』『Billar Mania』『Tequila』という人達です。それ以外にも、youtubeで関連動画を巡っていく内に面白いものが見付かることもあります」

 

 

――伝説の名手や現在のスター選手など、特定の人物を掘り下げた記事もありますよね。あれもやはり色々と調べて?


「そうですね。興味がある人のことをネットで調べたり、動画を探したり、古い雑誌とかで調べたり。最近、ある方のご好意でビーマガ(ワールドビリヤードマガジン。現在は休刊)がまとめて入手できたので、宝の宝庫です(笑)」


――たまに出てくる体験記も面白いですね。スヌーカーをやったり。


「人見知りする方なんですが、外に出て体験するのは好きですね。一回行ってしまえばもう大丈夫(笑)。スヌーカーに関しては、『スヌーカークラブ』の方からお誘いを頂いたんです。それまで未体験で興味もあったので、『よし、行こう!』と」


――不躾な質問ですけど、アフリエイトを貼ってますよね。どのぐらい売上があるんですか?


「1回の呑み代くらいにはなりますね。これは多分、さっき言ったクツの補修材から入った方が多いと思います。ビリヤード関連ではそんなに……という感じです」


――PV数は気にしていますか?


「いえ、全く。自分がいいなと思ったことを書いているだけなので、それが読まれても読まれなくても気になりません」


――漠然とした質問ですけど、ブログを続けて良かった点とは?


「色んな人に出会えたことですね。ブログがあったからスヌーカーにも挑戦出来た訳ですし、ブログが元で声を掛けていただくことが増えました。『読んでます』と言われることがこの2年ぐらいで急に増えたと思います。そんな状況は元々全く想定してなかったですし、今でもピンと来てないです(笑)」


――自分から身分を明かすことはないですか? 「球バカ日誌の鮫です」と言ったことは?


「ないです。単純に恥ずかしくて(笑)。だから、『僕』が特定できてしまうマイキューなどの私物はあまり写真に出さないようにしていました。でも、最近は『別にいいかな』という感じです。ちょっと自意識過剰だったかなとも思ったので」


――今後どう運営していきたいとお考えですか?

 

「今のペースで続けられればそれで良いです。負担にならない範囲で、自分が面白いと思うことを発信できればそれで十分ですね」

 

(了)