〈BD〉「スーパービリヤードエキスポ2025 もろもろグッズ後編」――Detective “K” season 9 episode 5

画像上段はジャコビー。下段左からジャネット・リー/毎年SBE公式Tシャツを売っているブース/ポスター、ステッカー、アパレルを扱うLiving Good Ball Club
画像上段はジャコビー。下段左からジャネット・リー/毎年SBE公式Tシャツを売っているブース/ポスター、ステッカー、アパレルを扱うLiving Good Ball Club

 

私の名はDetective K。

ビリヤードキューの調査を引き受ける探偵だ。

 

2025年4月10日~13日、

アメリカのフィラデルフィア州

オークスで開催された

『スーパービリヤードエキスポ』(以下SBE)。

 

4編目となる今回は、会場内で見かけた

もろもろグッズレポート後編。

さまざまなキューメーカーと、

会場内で感じた事を紹介する。

 

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◇ 2025 SBE キュー探偵Kレポート

 

① 4月12日「現地速報~コレがオレの生きる道~

② 4月26日「超絶キューコンテスト編

③ 5月4日「もろもろグッズ前編

今回→④ 5月9日「もろもろグッズ後編」

 

※酔爺(Yozy)のSBEキャロムレポートはこちら(5月1日)

 

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SBEと切っても切り離せない、

『アメリカン・キューメーカーズ・アソシエーション』(ACA)

加盟のキューメーカーたち。

 

彼らはSBEを、キューの販売や注文受付、

情報交換の場として活用してきた。

 

また、銘木やブランク

(荒削りしたバット素材)、

ジョイント等のパーツを扱うブースがあり、

少量生産メーカーにとっては

素材調達の場としても重要。

 

素材を直接チェックした上で

仕入れられるのは、

広大なアメリカでは得難い機会なのだ。

 

1枚目:銘木を販売するベル・フォレスト・プロダクツ(Bell Forest Products)のブース

2:ラウンスヴィル・ウッドワークス(Rounceville Woodworks)の高品質なフル・スプライスド・ブランク

 

 

オレとしては、キューデザインや素材の

トレンドを知るには便利なのだが、

一方で均一化が進んでいるとも思う。

 

限られた素材と情報しか得られず、

試行錯誤の末、個性的なキューが

生まれていた時代とは違うようだ。

 

******

 

何はともあれ、

ベテランのマクウォーターやジャコビー、

ニッティ、オリビエなどの新作を

定点観測するのがオレの役割だ。

 

1枚目:マクウォーター

2:ジャコビー

3:ニッティ

4:オリビエ

 

 

今年注目したのは、

ジョスが1980年~90年代に

製作していたモデルのリバイバル生産。

 

映画『ハスラー2』に

“バラブシュカ”として登場し、

定番化したデザイン以外にも

多くの優れたデザインがある、

というメッセージだ。

 

現代の水準から見れば大ぶりで

素朴であっても、プレーに使用されている

ときこそ目立つデザインは美しい。

 

今後、過去のデザインが再評価される

時代が来るかもしれないな。

 

ジョスのブースには昔懐かしいデザインの再生産モデルが並ぶ
ジョスのブースには昔懐かしいデザインの再生産モデルが並ぶ

 

******

 

新興キューメーカーにとってSBEは、

一般顧客から他メーカーと比較され、

評価が下される真剣勝負の場。

 

ACA新加盟で今回初めてブースを構えた、

これから伸びそうな

(これはオレの勘というヤツだ)

2つのメーカーを紹介する。

 

第一は、テキサス州の若手メーカー、

ロベルト・フランコ。

 

クオリティやデザインは荒削りだが、

キールウッドシャフトを純正で用意するなど、

トレンドをしっかり抑えている。

 

今後、一目見てフランコと分かる

デザインをいかに確立するかがカギだ。

 

ロベルト・フランコのブース。シャツの柄が怪しい(笑)
ロベルト・フランコのブース。シャツの柄が怪しい(笑)

 

第二にPKキューズ。

 

カンザス州在住の

コディ・キャッシュ(Cody L. Cash)と

テーラー・キャッシュ(Taelor Cash)の

夫妻が製作するキュー。

 

PKとは、息子のパーカー(Parker)の

愛称に由来する。

 

現代の少量生産メーカーらしさがにじむ、

剣ハギと繊細なインレイ、

アイディアあふれる飾りリングの

組み合わせが美しい。

 

PKキューズの作者、コディ・L(左)とテーラー(右)のキャッシュ夫妻

2:PKキューズ。ハギや飾りリングの完成度は高い

 

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ACA非加盟であっても、

それぞれの流儀に沿ったキューを

製作するメーカーも多い。

カール・ジウーリ

(Carl Giuli Custom Pool Cues)は、

ペンシルバニア州のキューメーカー。

 

1960年代から90年代を彷彿とさせる

デザインで、良心的な価格設定の

プレイヤー向けモデルを製作するメーカー。

 

「気軽なカスタムキュー」とも呼べる存在で、

このようなキューがまだ製作されているかと

思うと、ほっとする。

 

カール・ジウーリと彼のキュー。シンプルだがバランス良いデザイン
カール・ジウーリと彼のキュー。シンプルだがバランス良いデザイン

 

ボブ・トンプソン

(Bob Thompson Custom Cues)は

古き良き木工製品にこだわる

ウェスト・バージニア州のメーカー。

 

アコースティック・ギターを製作するかたわら、

キューも作り始めたという変わり種。

 

タケノコハギ主体の、

故デニス・ディックマンを彷彿とさせる

テイストとクオリティは今や貴重。

 

現代のトレンドなど気にもかけず

「わが道を行く」姿勢が魅力的だ。

 

寡黙で頑固な雰囲気を漂わせるボブ・トンプソンとキューとギター
寡黙で頑固な雰囲気を漂わせるボブ・トンプソンとキューとギター

 

アジアのメーカーでは、

ADAM JAPAN(アダムジャパン)と

早川工房、Cue Lee’s(キューリース)に

注目した。

 

それぞれのキュー製作やデザインに対する

コンセプトの違いが分かって興味深い。

 

海外メーカーの継続的な出展は、

アメリカでの認知度アップへ

粘り強く取り組む姿勢を感じる。

 

もっとも、アメリカの関税問題が

どうビリヤード用品の国際取引へ影響し、

現時点で来年どうなるのか、予想が付かない。

 

1枚目:ADAM JAPANと早川工房はキューを共同展示販売

2:Cue Lee’sのキュー。高価なモデルが並ぶ

 

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最後に2025年SBEのまとめとして、

会場内で感じたことを少々述べたい。

 

ジェイソン・ショウやフェダー・ゴースト、

女子プロのクリスティーナ・トゥカチたちの

活動を見ると、欧米のプロプレイヤーたちは、

ファンとの交流やスポンサー企業への

サポートこそが、自らの役割と考えているようだ。

 

1枚目:プレデターのブースで撞くクリスティーナ・トゥカチ

2:試合の合間にチャレマを行うジェイソン・ショウ

 

ジャネット・リーは体調を崩し、

長期療養せざるを得なかったが、

それでもサイン会では多くのファンが

順番待ちのため列を作っていた。

 

決して奢ることなくファンと接し、

「ブラック・ウィドウ」という

セルフイメージの維持に努めたからこそ、

一線を退いた現在でも「今」があるのだ。

 

サイン会で子供たちに笑顔で接するジャネット・リー
サイン会で子供たちに笑顔で接するジャネット・リー

 

「ファンあってのプロ」とまず自覚し、

ビリヤードの普及に努めた上で、

なお試合で結果を出すことで、

自らの価値向上を図るのが

現代のプロフェッショナルではないだろうか。

 

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1枚目:ジュニアプレイヤーに賞品のキューを提供した、コーリー・バーンハート(左)とジョスのステファン・ジェーンズ(右)

2:プレデターのジュニア向けキャラクターがぬいぐるみとして登場

3:ビリヤードの未来はこのような子の情熱にかかっている

 

 

また、主催者やプロプレイヤー、

物販ブースの出展者は、来場した子供たちへ

未来を託すためのサポートを惜しまない。

 

12歳以下、17際以下の

ジュニアトーナメント開催とその賞品提供、

プロによるチャレンジマッチやレッスンなど、

ビリヤードの楽しさを積極的に伝える

関係者の努力には頭が下がる。

 

「親子連れでも参加したくなるイベント」

という考えが共有され、

親から子供たちへ受け継がれるからこそ、

SBEは30年以上継続できているのだ。

 

SBEの意義は

「ビリヤードのすそ野を広げる」こと。

今さらだが、それに気付けたのが

今年の収穫だった。

 

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最後、オレらしくなく

シリアスに語ってしまった(照笑)。

 

2025年のSBEのレポートもこれで終了。

次回以降は通常営業だ。よろしくな、BD!

 

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◇ 2025 SBE キュー探偵Kレポート

 

① 4月12日「現地速報~コレがオレの生きる道~

② 4月26日「超絶キューコンテスト編

③ 5月4日「もろもろグッズ前編

今回→④ 5月9日「もろもろグッズ後編

 

※酔爺(Yozy)のSBEキャロムレポートはこちら(5月1日)

 

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