〈BD〉プレー環境・居心地抜群なビリヤードルームができるまで。小西邦生さん・美穂さん宅【後編】

 

12月16日に紹介した、

 

小西邦生さん・美穂さん夫妻

(美穂さんは試合には旧姓の倉田美穂で出場)の

ビリヤードルーム。

→ その記事はこちら

 

後編となる今回は、

小西夫妻がどうして

ビリヤードテーブルのある家を

建てることにしたのか。

そこにどんなこだわりや苦労があったのか。

インタビュー形式でお届けします。

 

…………

 

● 小西邦生さん・美穂さん夫妻宅

 

着工:2021年10月  

完成:2022年2月

 

建物:木造注文住宅 2階建て

所在地:埼玉県所沢市

 

ビリヤードスペースの広さ:

プレースペース19畳+リラックススペース8畳(計27畳)

 

→ 前編記事はこちら

 

…………

 

 

――まるでホテルのロビーやカフェのような、開放感と落ち着きを感じる空間です。

 

小西邦生さん(以下、小西):そう感じていただけて嬉しいです。一言で言うと、ナチュラルモダンな雰囲気をテーマにコーディネートしています。僕ら2人とも木の自然なぬくもりが好きなので、1Fのビリヤードスペースも2Fの住居スペースも本物の木材を多く取り入れています。ビリヤードスペースは主役であるビリヤードテーブルのウォールナットカラーに合わせて、床やリビングテーブルなどにブラックウォールナットの無垢材を選んでいます。

 

――この床もソファセットも本当にいいですね。

 

小西:カーペットやフロアタイルも少し考えましたが、スリッパではなく普通に靴を履いて撞くようにしたかったので、それなら木の床でいいんじゃないかと。時が経つとブラックウォールナットがだんだんと色付いていくはずなのでそれも楽しみです。

 

小西美穂さん(以下、美穂):ソファは前に住んでいた家で使っていたものを持って来ました。事前にレイアウトを計算していた通り、色合い的にもスペース的にも馴染んでくれて良かったです。

 

――ビリヤード仲間が4、5人来てもくつろげますね。

 

美穂:もうたくさんの方が遊びに来てくれていますが、プレーしている人が2人いて、ソファーに3人、ベンチシートに2人座っても余裕があります。「こういう風に仲間とビリヤードを楽しめたらいいな」とイメージしていた通りの使い方をしています。

 

――来客がない時は?

 

小西:だいたい毎日撞いています。忙しい日でもちょっとだけ転がしたり、自然とキューを握ってます。それぞれ一人練習をしたり、夫婦で相撞きもします。妻の大会が近付いて来たら、試合の種目やフォーマットに合わせてセットマッチもしています。そして、大会が終わったらその日のうちにここで反省会をしています。

 

美穂:それがすごく助かってます。球の知識や技術は主人の方が上なので、私が試合で迷った球やミスした球とかを再現してどうすべきだったのかを話し合ったりしています。

 

 

――まさに「撞きたい時に撞ける環境」ですね。

 

美穂:仕事が忙しい時期はほとんど撞けないんですけど、ちょっとだけでも練習できるのは助かります。でも、もう大会で「仕事が忙しくて練習できてなくて……」という言い訳は使えなくなりました(笑)。

 

小西:そうだね(笑)。実際はそんなことないんですが、家にテーブルがあると四六時中撞いてると周りの人は思いますよね。どちらかと言うと、たくさん撞けること以上に時間のロスが減るのがテーブルを所有するメリットだと思います。今までは仕事を終えてからビリヤード場に出掛けて夜遅く帰って来て、みたいな生活でしたが、その移動時間も積み重なるとかなりのものになります。ビリヤードに限らず物事の上達には環境と時間を作ることが欠かせないと思いますが、ある意味その両方を買った感覚です。

 

美穂:それと、私は相撞きが好きなんですけど、自分から他の方に「お願いします」と声を掛けるのはちょっと苦手で、ビリヤード場に行っても夫婦で撞くことがよくありました。なので、家で2人で撞くのは自然なことだし、2人ともAクラスなので気を使わず普通に勝負ができます。たまに「家にテーブルを置いたけど結局一人で撞くのがつまらなくて使わなくなった」みたいなことを聞きますよね。でも、私達はそうならないと思います。2人で一緒に撞くし、それぞれで練習もするので。

 

――ビリヤード仲間が来た時はどんな楽しみ方を?

 

美穂:休日のお昼頃にここに集まって総当たり戦をしたりしています。撞いてない人はソファでお喋りしたり、映像を見たりしています。プレーが終わって2Fに上がると、主人がご飯の準備をしてくれているので皆でいただきます。

 

小西:妻が撞く担当で、私がおもてなし担当みたいな感じですね(笑)。プロやトップアマの方も来られるので、妻にとってはまたとない上達の機会になっています。都心から少し離れていますし、ここまで来ていただいて妻と真剣に撞いてもらえるのは本当にありがたいので、せめて食事ぐらいはうちで召し上がってくださいという気持ちで準備しています。

 

 

――さかのぼってお聞きします。もともとどうしてビリヤードテーブルを持とうと思ったのでしょうか。

 

小西:今まで僕らはビリヤード場の近くで賃貸物件を探して住んでいました。昨年(2021年)マンションを購入しよう思い、3月頃から探していました。

 

美穂:広めのマンションを見ていたら「もしかしてビリヤードテーブルが置けるんじゃないか」と思ってしまって(笑)。

 

小西:実際にテーブルを置くつもりでリフォームの相談をしたり、ボールを2つ持って物件を見に行って、ボールをカンカン叩いて音の響きを調べたりもしました(笑)。ただマンションだと広いスペースを作るのに限度がありましたし、その工事が出来るとしてもだいぶお金がかかります。同じお金をかけるならいっそのことテーブルが置ける大きさの一戸建てを建てるのはどうだろうと。

 

美穂:予算的には大変だったんですけど、ビリヤードが好きでこれからも競技として続けていきたかったので、「好きな時に好きなだけ撞ける空間」はとても魅力的でした。

 

――ビリヤードテーブルありきで建てる家。ハウスメーカーにとっても珍しい例だと思います。

 

小西:勤め先からの紹介で信頼できるハウスメーカーや担当者と繋いでもらえたことが大きな後押しになりました。たまたまですが、担当者が一級建築士でかつビリヤードの経験者だということで、打ち合わせは楽しく進められました。その方が契約前に見せてくれた図案が良かったので正式に契約しました。それが2021年の5月です。そこから毎週のように何時間かの打ち合わせがありました。注文住宅はあらゆる部分を自分達で決められるので、ビリヤードスペースの設計図面も検討案だけで何十枚もの数になりました。これは経験して初めて知ることで、とても大変でした。

 

 

――設計時に苦労した部分とは?

 

小西:1Fに柱のない広大なビリヤードスペースを作りつつ、2Fもちゃんと住める家にしたい。それを2階建て以上の木造建築で実現するとなると、耐震性が重要で構造計算がシビアです。ハウスメーカーによっては「それは厳しい」と言われたりもしました。僕らの担当者は一級建築士なので、すぐ構造計算をしながら図面を修正してくれて、結果的に梁や壁や柱などが太くて強いものになりました。後で現場の職人さんに「木造建築の一戸建てでこんな太い材料は見たことがない」と言われたぐらいです。また、ビリヤードテーブルの床下には計算された位置に鋼製束という支えを大量に入れていてとても強い床下になっています。

 

――2Fは2Fで妥協なく居住空間が作られていますね。

 

小西:ビリヤード関係なく住み心地の良い家にしたかったので、2Fにも僕らの要望を詰め込みました。

 

美穂:バルコニーを作ったり、バスルームの脱衣所と洗面台を分けたり、書斎を作ったり……スペースと予算の範囲内で出来る限りのことはやったので満足感は高いです。

 

――ビリヤードテーブルのあるお宅に何度か取材に行っていますが、1フロアのほぼ全てをビリヤードにあてたお宅はあまり見たことがありません。

 

美穂:最初は1Fにはテーブルだけ置いてリラックススペースは2Fに持って行こうかとか、中2階を作ろうかという話もありましたけど、結局この形に落ち着きました。

 

小西:プレーする場所とくつろぐ場所はやっぱり分けられなかったです。テーブルの近くで休んだり、他の人が撞くのを見たり、映像を見たり……皆が思い思いに過ごせるように1Fに大きくリラックススペースを作るしかないなと。本物のビリヤード場とまでは行かないまでも、それに近い雰囲気にしたかったですね。

 

――照明にもこだわっていますね。

 

美穂:こんなにこだわるお客さんは珍しいですって言われました(笑)。

 

小西:担当者と専属のインテリアコーディネーターに相談して、彼らの経験から導き出した照明のプランを出してもらいました。最終的にはダウンライトとコーブ照明を組み合わせて光量や色味を細かく調整出来るようにしています。コーブ照明を入れたのは大正解でした。白い壁面と合わせて使うと明るくきれいで、雰囲気もすごく良くなります。

 

 

――テーブルはブランズウィック『ゴールドクラウン 6』。

 

小西:いわゆる「トーナメントエディション」(ポケット幅がやや狭い)テーブルが欲しかったのでゴールドクラウンの『5』か『6』を考えていて、新品在庫のあった『6』にしました。落ち着いた色合いと圧迫感のないすっきりしたデザインが気に入っています。設置作業は、僕ら夫婦がお世話になっている『side』(東京・桜台)の栗原信祐プロの紹介で、淡路亭の職人さんにお願いしました。丁寧に良い仕事をしてくださいました。

 

――防音対策はしていますか?

 

小西:特別な対策はしていませんが、壁厚をしっかり取っていて気密性も高く、窓は最低限しか作ってないので、音は外に漏れてないです。球の音は建てる前に懸案事項としてありましたが、担当者に「問題ないと思いますし、もしもの時は後からでも工事は出来ますので」と言われました。今のところ全く問題ありません。

 

――去年の10月に着工して今年2月に完成。どんな心境で完成を待っていたのでしょう。

 

小西:僕らもたまに見に来ていましたが、現場監督さんがすごくいい人でいつもきちんと現場の写真と進捗レポートを送ってくれたので安心してお任せしていました。着工してからは基本的には楽しみでしかなかったですね。それまでが大変すぎたので(笑)。

 

――竣工(完成)~引き渡しの後、ビリヤードテーブルが入った時のお気持ちは?

 

小西:感動しましたね。設計から完成まで1年近い時間がかかっていたので喜びはひとしおでした。テーブルが入った後にハウスメーカーの担当者と現場監督さんに来てもらってお披露目をして記念撮影もしました。僕らの理想を形にしてくれた人達と一緒に「テーブルを置いた完成形」を見ることができて嬉しかったです。

 

美穂:本当に良い担当者だったので、ビリヤードテーブルのある家を建てたいって人がいたら紹介したいぐらいです。

 

 

――最後に月並みな質問ですが、マイテーブルを持って満足していらっしゃいますか?

 

小西&美穂:100%満足です。

 

小西:テーブルを家に置いたら必ず上手くなれるかと言ったらそんなことはないと思うんですけど、思い立ったらすぐ撞ける環境は僕ら夫婦にとっては100点満点です。ビリヤードは反復が大事なので、毎日少しでも球に触れられることは大きいと思います。そしてなにより、思い描いていた通りにここで球仲間や友人と楽しくビリヤードができることが嬉しいですし、来てくれた人達もこのビリヤードスペースを気に入ってくれているので満足です。

 

美穂:私たち夫婦は日本各地に友達やお世話になっている方がいるんですけど、コロナ禍ということもあってまだ地方の方々はそんなにうちに来られてないので、早くここで一緒にビリヤードをしたいですね。

 

(後編 了)

 

※ 前編はこちら

 

 

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