〈BD〉「パワー・弾力・食い付き・球持ち。牛革タップの良さがここにある」――肥田明プロが語る『BIZEN TIP Ⅲ』の魅力【前編】

 

日本の牛革積層タップブランド、

『BIZEN』(ビゼン)から

7月にリリースされた

キャロムキュー用タップ

『BIZEN TIP Ⅲ』(ビゼンスリー)。

 

発売直前の記事( ※こちら )では、

開発者・苫野裕氏と

監修者・鈴木剛プロ(JPBF)の

対談をお届けしました。

 

今回の第2弾記事では、

鈴木プロと同じく開発初期から

BIZENを使い、製作チームに

アドバイスとフィードバックを送っていた

肥田明プロ(JPBF)が登場

(※現在はBIZENエグゼクティブアドバイザー)。

 

プロキャリア44年。

3Cとアーティスティックで

様々なタイトルを獲得してきた肥田プロ。

 

若き肥田プロが腕を磨いていた

1970年~80年代は、タップと言えば

「牛革(一枚革)タップ」。

 

肥田プロも当時の牛革タップの本場、

フランス製の「名品」と呼ばれた

タップを様々なルートで入手し、

「育て」ながら使ってきました。

 

肥田プロが営む『ビリヤード キャノン』

(東京・東武練馬)には、

50年~60年ものの牛革タップが

当時の姿のまま保管されています。

 

肥田プロが所有するタップストックの一部。ほぼ全て50年以上前の牛革(一枚革)タップで「ほとんど今でも使える」とのこと。ユーリカ、トライアングル、プロフェッショナル、クラウン、コンプリメ、トライアンフなど、今でも入手出来るものもあるが「当時のものはとにかく革が分厚くて強い。同じ名前でも今のものとはかなり違いがある」と言う

 

 

その後、肥田プロは、

現代の主流である豚革積層タップの隆盛を

その黎明期から見守りつつ、

自身もしばらく使ってきました。

 

そして約3年前、牛革積層タップの

BIZENの試作品に出会いました。

 

『BIZEN TIP Ⅲ』
『BIZEN TIP Ⅲ』

 

「やっぱり牛革はいいね。

撞くのがまた楽しくなったよ」と

笑う肥田プロは、

タップの歴史と潮流の中で

『BIZEN TIP Ⅲ』をどのように

位置付けているのでしょうか。

 

…………

 

――肥田プロがBIZENを知ったのはいつでしたか?

 

肥田:3年ぐらい前かな。うちのお店(『キャノン』)に3Cを撞きに来るようになったお客さんのIさんが、実はBIZENチームの一人だということがしばらく経ってからわかってね。

 

BIZEN営業担当・I氏:肥田プロの前でタップ開発中だなんて恐れ多くて半年ぐらいは言えなかったです……。

 

肥田:Iさんと一緒に来ていた方がBIZENの試作品を使っていて、僕はメンテナンスで触らせてもらうことがあって、「これは牛革タップだね。どこのなの?」みたいな話から繋っていったんだよね。そこで初めてBIZENという名前や、作っている人達を認識したんだ。

 

――その後、BIZENから公式にサンプルが提供されるようになって。

 

肥田:使ってみたら「やっぱり牛革の感触はいいな」と。すぐ試合でも使い始めました。当時のBIZENは「ここはまだ追求出来るな」と感じる部分もあったけど、純粋に「良い商品が出来たらいいな」という気持ちで見守ってました。僕は昔牛革タップを使ってたし、タップに求められる感触とか性能はわかってるつもり。それと僕は様々なメーカーさんの商品開発に関わらせてもらったこともあるから、そういった経験も含めて、率直な感想をお伝えしてきました。

 

――少し脱線しますが、肥田プロのお住まいに『モーリ』(MOORI Tip)代表の毛利秀夫氏が居候していた時期もあったとか。

 

肥田:そう。そこにあるシート状の牛革(画像↓)は、毛利さんが手掛けた最初期のもので、豚革積層を開発する前のものだね。当時はフランスのタップ職人やタップ工房が作るのを辞めてしまって、優れた牛革のタップが世界的に急激に減っていた時期。毛利さんはまず牛革で試作を始めたんだよ。

 

40年ほど前、『モーリ』(MOORI Tip)代表の毛利秀夫氏が肥田家に居候しながらタップ開発をしていた頃の「牛革タップ」の試作の痕跡

 

 

BIZEN開発者・苫野裕氏:これは貴重な資料ですね。厚い牛の一枚革をプレスしたものだと思います。端がカットされてるから、ここを切り出してタップにしたんでしょうね。

 

――以前毛利さんから「まず牛革で試した」と聞いたことがありますが、これほど古い試作の痕跡は初めて見ました。

 

肥田:モーリも世界的なタップになる前はかなり長い試行錯誤の時期があったんだ。そして、僕はモーリ以外にも別のタップや他のビリヤード用品など、様々なメーカーさんの開発に関わらせていただいたことがある。うちのお客さんでゴムタップの開発をやっていた人もいるよ。

 

『クラウン』16mm(容れ物は純正品ではない)。タップストックの中でもひときわ厚くて大きくて目立っていた

 

――今日はタップのストックを見させていただいていますが、本当に面白いですね。この分厚くて直径の大きなタップは……?

 

肥田:ああ、これは『クラウン』の16mmだね。今でも使えるし、使ったらすごくいいってのはわかってるんだ。でも、もし大当たりを引いちゃうとその後が怖くて使えない(笑)。

 

――同じ商品でもバラツキ(個体差)が大きいからですか?

 

肥田:そう、取り替えるのが不安でしかないよ(笑)。その点、豚革積層タップは安定してるじゃない。性能はそこそこなんだけど、付け替えてもだいたい毎回同じ感触だから不安は少ない。だから、良い一枚革タップを使ってきた人達の多くは、性能面にはある程度目をつぶって豚革積層タップを使ってると思うんだけど、心のどこかで『本当に納得出来るタップが欲しいな』って思ってるんじゃないかな。僕自身がそうだったし、剛くん(BIZEN監修者の鈴木剛プロ〈JPBF〉)もきっとそういうタイミングでBIZENと出会ったんだと思う。

 

――鈴木プロもそういうお話をされていました。

 

肥田:当たりの牛革タップの感触を一度味わっちゃうと、ずっと身体に残るからね(笑)。僕はBIZENの試作品でその感触を思い出した。BIZENは積層だけどちゃんと牛革らしさがあって「これはいいな」と。今の若い世代の多くは豚革積層タップで球を覚えているから、そもそも牛革タップの感触や性能を知らないと思うけど、やっぱり食い付きや弾力が別物なんだよね。僕はBIZENに出会ってまた牛革しか使えなくなっちゃった(笑)。

 

(了)

 

~【後編】はこちら

 

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※BIZEN TIP公式サイトはこちら

 

※BIZEN TIP関連記事はこちら

 

 

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