〈BD〉「調査命令! シラフで第3回FMCCを探れ!」――Detective “K” season 4 Inside Story 1

 

オレの名は「K」。探偵屋だ。

 

だから皆オレのことを

Detective "K"と呼んでいる。

 

ビリヤードの道具、

キューの調査なら任せてくれ。

 

平成から令和に代わった、

歴史的な黄金週間。

 

行楽地の雑踏を避けて、

玉屋に通い詰めたプレイヤーも多かろう。

 

今オレは、長年の玉竿友、

酔爺(ようじぃ)と呑んだくれている。

 

酒の肴はスリーからポケットまで、

あるいはザンボッティから

プレデターREVOまで、幅広い。

 

リンリンリン!

 

おお、BDからの凸電だ。

もしもーし、ヒック。

 

『Fan Meeting of Custom Cuesが、

今年も池袋で開催されるんですが、

探ってもらえますか?』

 

ファミチキ串焼き……?

 

『相当酔ってますね?』

 

うぃー、図星だ、BD。

酔爺と呑んでいてヘベレケだぜ。

 

『”Fan Meeting of Custom Cues”、

略して”FMCC”。

 

池袋の”ビリヤード・ロサ”で

内垣建一プロが主催する、

カスタムキューオーナーが

集まるイベントです。』

 

今回で3回目のFMCCだ、知っているぜ。

 

『とりあえず受けてくれて安心です。』

 

キューマニアがオレを呼んでいるからな。

さぼるわけがないぜ。

 

『調査しっかり頼みますよ。』

 

オレはキュー探偵。

引き受けるぜ、その依頼。

 

ハイボール、ワンモア!

 

*****

 

 

5月6日(月)。

オレは愛車のホンダを飛ばして

池袋に向かった。

 

空は曇天、首都高池袋線は

ゴールデンウィーク渋滞とは無縁。

午前11時半到着。

 

入り口が分かりづらい『ロサ会館』の

地下駐車場は池袋の穴場。

確実に停められる。

 

進入すると、

怪しげなニッサンの黒塗りセダンが、

エンジンをかけたまま停車中。

 

野生のカンで、キューを積んだ関係者だと

直感したオレは、背後から近付いた。

 

UKコーポレーション代表、

大原秀夫氏だった(汗)。

どんな展示をするのか、期待が高まる。

 

オレは、大容量キューケースを担ぎ、

エレベータで5Fに上がり、

開催場所のVIPルームに向かう。

 

すでに本イベント主催者の内垣プロ、

『ビリヤード・ロサ』所属の

松村浩道プロをはじめ、

数人が会場設営で忙しく働いている。

 

持ち込まれるキューとケースを預かり、

全て管理するため、

VIPルームのセキュリティは万全。

キューの価値を考えれば当然だ。

 

*****

 

今回で3回目となる『FMCC』は、

非営利イベント。

 

しかし今回から、展示キューの他、

コレクターが売却を希望するキューを

別途並べるエリアが設けられた。

 

 

売買ができないのは寂しいという

意見が昨年出たための対応だ。

 

ただし、商談は会場外かつ

後日という条件付き。

FMCC自体は取引に一切かかわらない。

 

アメリカン・キューメーカーの

作品であれば、誰でも1本から展示できる。

 

集まったキューはおよそ100本。

 

今回のFMCC指定テーマは、

「1980年代ジョス・ショーン・メウチ」

「ジナキュー」「ジョスウェスト」。

 

1980年代の香り漂うメウチ、ジョス、ショーンの数々
1980年代の香り漂うメウチ、ジョス、ショーンの数々
1980年代から2000年代にかけて製作されたジョスウェスト
1980年代から2000年代にかけて製作されたジョスウェスト
『ハスラー2』ブームの頃憧れた、ショーンが集結
『ハスラー2』ブームの頃憧れた、ショーンが集結
1972年までの第一世代、1989年以降の第二世代が集まったジナキュー
1972年までの第一世代、1989年以降の第二世代が集まったジナキュー

 

1980年代から1990年代にかけて、

多くのプレイヤーが手にし、

かつ憧れの的だったメーカーをフィーチャー。

 

この時代のキューに思い入れを持つ

コレクターは多いのだ。

 

*****

 

更に、コレクター独自のテーマでの展示。

 

 

★眞子大亮氏と酒巻博行氏による「スニーキーピート」

 

カスタムキューメーカーが、

アメリカの玉屋に置かれた

ワンピースのシバキューに似せて作った、

別名「ハスラーキュー」のコレクションだ。

 

地味な外観とは裏腹に、

撞き味や特性はカスタムキューそのもの。

「羊の皮をかぶった狼」として、

根強い需要があるスタイルだ。

 

*****

 

 

★大原秀夫氏による「兄弟キュー」

 

あえて「夫婦キュー」と呼びたいところだが、

同じデザインで材料を変えたものや、

同じ材料でデザインを変えた、

いわゆるペアのキュー。

 

コグノセンティ、タッド、ピート・トンキン、

ビル・シックというセレクションはさすがだ。

 

*****

 

★コレクター有志による「ティム・パジェット」

 

カリフォルニア州在住の

ティム・パジェットは、1980年代から

知る人ぞ知るキューメーカー。

 

実物を見ることすら稀なのに、

6本も揃って展示された。

その場限りのコレクションを形成する、

FMCCならではの企画だ。

 

*****

 

正午から午後6時まで、普段滅多に

見ることが出来ないキューを見て、

コレクターやプレイヤーと親交を深める。

 

入場料は1000円。

収益ゼロどころか、大赤字だ。

 

いいのか、内垣プロ。

いいのか、ビリヤード・ロサ。

漢(おとこ)だぜ!

 

*****

 

 

正午に開場、展示キュー持参の参加者は、

受付後、ディスプレイ台に並べる。

 

テーマに縛られず

持ち込まれたキューも展示大歓迎だ。

 

キューメーカーは、

オレが確認しただけでも、

 

ガス・ザンボッティ、バリー・ザンボッティ、カーセンブロック、サウスウェスト、ジナ、タッド、ジョスウェスト、コグノセンティ、ピート・トンキン、パット・ディヴィニー、ジョシュ・トレッドウェイ、アンディ・ギルバート、リチャード・ブラック、ポール・モッティ、ビル・マクダニエル、ビル・シック、ティム・スクラグス、エド・プルーイット、ショーン、ジョス、マクダモット、ショーマン、マンジーノ、メウチ、ジョー・ポーパー、ケニー・マレル、パーマー、ティム・パジェット(順不同)

 

……ざっとこんなもんだ。

 

*****

 

 

今回は新たな試みとして、

各キューメーカーの作品を

レクチャーする時間が設けられた。

 

内垣プロや大原氏の、豊富な経験に

裏打ちされた話は実に興味深い。

 

オレも軽妙なトークを展開した……

と言いたいところだが、

ギャグがスベリ気味で、

来場者ドン引きだった。

今後の反省材料だ(汗)。

 

 

さらに、サプライズゲストとして、

比類なきジナキューコレクションで

その名を知られた、

日暮里のバー『アクアリウム』オーナー、

岸澤修二氏も来場。

 

残念ながら、コレクションの大半は

売却済みとの事だが、1990年代、

シカゴの伝説的キューディーラー、

ジョン・ライトから岸澤氏が定期的に

受け取っていた在庫写真の束を公開。

 

キュー売買にまつわる、

様々なエピソードも聞かせてくれた。

 

カスタムキューに関する貴重な知識や情報を、

失われないよう記録に残し、シェアする

ことが重要になるとオレは実感した。

 

*****

 

 

そして、これだけカスタムキューが揃うと、

誰でも撞きたくなるもの。

 

9ボール1先の、勝者がテーブルに残る

チャレンジゲームも行われた。

 

スポンサーは、1980年代の

ショーンやリチャード・ブラックを

こよなく愛する平本一穂氏。

 

なぜか負けないと貰えない、

新品DVDが多数用意され(笑)、

異様な盛り上がりを見せた。

 

カスタムキューは展示だけでなく、

やはり撞いて味わうものなのだ。

 

気が付くと午後6時の閉会時刻。

 

10連休の最終日ゆえ、

来場者は昨年より少なかったが、

まずは成功と言えるのではないか、

とオレは感じた。

 

*****

 

第4回『FMCC』は、

開催するとすれば2020年。

イベント詳細は未定、今後検討との事だ。

 

またなにかあったら調べるぜ。

よろしくな、BD!

 

(to be continued……)

 

Detective “K”についてはこちら

 

 

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