〈BD〉「昔よりは強くなってますよ、確実に」――グランプリウエスト第2戦 in 広島優勝・大井直幸の談話

 

6/25(日)の

『グランプリウエスト第2戦 in 広島』(GPW-2)で

優勝した大井直幸プロの談話をお届けします。

 

ステージ1を突破した『チャイナオープン』や

5位タイで終えた『ワールドカップオブプール』

ことも聞いてみました。

 

…………

 

Naoyuki Oi

 

JPBA40期生

1983年1月10日生 東京都出身・大阪府在住

JPBA年間ランキング1位・4回('06年、'12年、'14年、'15年)

2012年『ナインボール世界選手権』3位

2014年『全日本選手権』準優勝1回

『関西オープン』優勝1回

『全日本ローテーション』優勝3回

『北陸オープン』優勝5回

『北海道オープン』優勝3回

『東海ナインボールグランプリ』優勝3回

『グランプリウエスト』(GPW)では通算15勝

『ワールドカップオブプール』3位・2回

他、優勝・入賞多数

使用プレーキューはEXCEED

FLANNELマグスミノエ(大阪)所属 

 

 

…………

 

――GPW-2優勝。

今回の自己評価はいかがでしょうか。

よく撞けたと言えますか?

 

「うーん、最近『よく撞けた』というのが

どういう状態を指すのかわからなくなってきました。

 

特に海外では、

よく撞けても勝てないことばっかりなんで、

何をどう評価していいかわからない(笑)。

 

結局よく撞けたかどうかって自己満足の世界でしょう。

僕は自己満足はしないからね。

 

でもまあ、昔よりは強くなってますよ、確実に。

今回勝てたのもそれが出たからでしょう。

 

体調やモチベーションがどうであろうと

勝てるというのはそういうことなのかなと。

 

もちろん今回もラッキーはあったし、

それで勝たせてもらってる試合が

多いっていうのはわかってますけどね」

 

――GPWで通算15勝で、

JPBAランキングポイント対象試合では通算30勝。

節目と言えば節目です。

意識してないとは思いますが。

 

「ふふふふ。

全く意識してないんでわからないです(笑)。

 

えーっと、ってことは年間3勝ペース?

それが多いのか少ないのかもわからない」

 

――いや、今プロ12年目なんで……。

 

「え、うそ。そんなにやってるの。

じゃ、3勝切ってる? 少ないやん(笑)。

 

まあ、国内のトーナメントに出ることも

減ってきてるから、特に気にしてないです」

 

――今回は通常の9ボールの7ラック先取でした。

ショートゲームで大事にしていることはありますか?

 

「大事にしてること?

 

そもそも僕はどんなフォーマットでも、

勝てると思って撞いてはいないです。

 

ただ、海外の試合の方が

『勝とうと思って撞いている』

というのは言えるかな。

向こうの方がもっとシビアなんで。

 

日本の試合でも同じような気持ちでやりたいから、

その精神力を出したいし、出そうとするんですけど、

そうするとすごくしんどくなる。

 

なんて言えばいいんでしょうね、この感じ。

自分でもよくわからないけど、国内の試合は

気持ちのコントロールが難しいのは確かです」

 

――自らをそこまで追い込まないというか、

追い込めないというか。

 

「うん、まあ、そうなるのかな。

 

海外に行くと日本代表選手としてやるので、

自然と追い込めてる部分はありますよね。

 

国内でも昔から同じように撞きたいと思ってるんだけど、

どうしてもそうは撞けてない。

 

一試合一試合の重さが違うという訳じゃないんだけど、

単純にレベルは違いますからね。

 

だからもうね、わかった。

きっとたぶんこの先も同じようには撞けない(笑)。

 

ただ、お客さんが会場にもっといっぱいいて、

もっと応援してくださったら、

絶対もっといいパフォーマンスを

お見せできる自信はあります」

 

――チャイナオープンは

ステージ1(現地での直前予選)を突破し、

最終的には17位タイ(ベスト32)で終了しました。

 

「チャイナオープンのステージ1が

どれだけ過酷かというのは、

たぶんほとんどの方は知らないし、

想像もつかないと思います。

 

僕は今回、そこを初日に勝ち抜けてやろうと思って

その通りにできたんで、作戦通りですよ。

ふふふふ(笑)。

 

初日に通ることによって、

周りからの評価が高くなるということを

わかっていたんで、それを完全に狙ってました」

 

――そんな狙いがあったとは全く知りませんでした。

 

「それを見据えて半年間調整してきたからね。

 

例えば、今はエクステンションを外して撞いてるけど、

それもチャイナに向けてのことだったし。

 

絶対ホンマに初日に通りたかったんですよ。

初日に強い奴らに当たってそいつら倒して通り抜ける。

 

そういうの、

僕もあちこちのステージ1で何年も見てきてるし、

強いヤツほど初日に通れないと死んじゃう

(=残り数日、勝ち抜けられなくなる)

というのもわかってたんでね。

 

今年、僕にやられたJ・チュアは案の定死んだしね。

 

以前、チュアとJ・イグナシオ

(ともにフィリピンの若手トップ選手)が

初日に通って、僕は通られへんくて。

 

そこが”差”だったんですよ。

僕と彼らの間にはちょっと差があったんですけど、

少しずつはその差は埋められてきているのかと。

 

僕が彼らより上だとは一切思わないけど、

今回に関しては彼らより上に行けた訳だから、

そこはトーナメントプロとしては良かったなと」

 

――ワールドカップオブプールは3回戦(ベスト8)で

台湾に破れて5位タイでした。

 

「パートナーに助けられたところが多々ありました。

土方隼斗プロはやっぱりよう入れてくれますね。

 

台湾に負けた試合は……どう言ったらいいかな。

 

チームとして考えて、

一番機能しやすいシステムでいけたと思うけど、

台湾相手にはそれでもダメだったということですかね。

 

あのトーナメントに関しては、

僕も何度か出てますけど、

日本が真剣に優勝を狙うなら、

コーチなり監督が必要でしょうね。

色々な面でね。

 

例えば、戦術を決めて、

それを選手に共有・徹底させるとかね」

 

――戦術ですか。

 

「そう。もちろん前提として、個々の能力が

高いレベルで揃ってなければいけないんですけど、

 

実は戦術のウェイトがかなりでかい試合なんで、

その辺をもっと追求しなければ、

狙って勝ちにはいけないというか。

 

コーチなり監督なりの存在があれば、

コンビ間の連携とか戦術の共有が

もっとスムーズになると思います。

 

台湾にしても優勝したオーストリアにしても、

その辺の重要性をわかっていると感じました。

 

台湾戦に関しては、

相手の出来が良かったのはもちろんですけど、

相手の出来が良くなかったら

それは”世界”じゃないからね。

 

あの相手に勝つかどうかなんです、結局。

あの場で相手にあの内容を撞かれても、

こっちが何点取って行けるのか、

追い付けるのか、

追い付いたらどんな流れになるのか。

 

そこがポケットビリヤードの

国際トーナメントっていうもんでしょう。

 

来年は誰と誰が組んで行くかはわかりませんけど、

もしまた僕が行くことがあれば、

日本の国旗を一番上に掲げたいですよね」

 

――今やすっかり

『マッチルームスポーツ発の人気者』

になっている訳ですが、あのマスターズ以来の

マッチルームスポーツのイベントということで、

また注目されたのでは?

 

「(笑)人気者って。

もう大変でしたよ。お仕事が増えてしまって。

昔インタビューなんてなかったのに(笑)。

というか、他の人もなかったんですよ。

 

でもね。やりたいとかやりたくないとかじゃなくて

僕はプロとしてあそこに行ってるんで、

あれはやらなきゃいけないからやるし、

結果出さなければただのアホになるんで、

もちろんビリヤードはしっかりやるし。

 

ただ、外国の人はちゃんと

ビリヤードを見てくれてるなと思うので、

それは嬉しいですよ。

 

『お前のあのショット、良かったな』

とか話しかけてきますから。

それは結構あるんです」

 

――次の試合は『ジャパンオープン』です。

開催日程の重なる『WPS第3戦』は

出ないということですね。

 

「出ないですね。

WPSの状況を見ながら色々と考えて、

今回は止めることにしました。

 

だから、ジャパンオープン、

ワールドゲームズ(ポーランド)、

それから、韓国の試合の予定です。

 

今はもっと行きたい気分ですね、海外に。

中国のプロツアーも本当は行きたいし。

 

こないだカーくんが優勝したでしょ

(※『CBSA9ボール第2戦』で柯乗逸が優勝)。

 

昔はなんとも思わなかったけど、

今はちょっと羨ましいという感情が出てきてるから。

 

『俺も出とったら、わからへんで』と

思いたいじゃないないですか」

 

――ますます意欲的で熱いですね。

 

「熱いですよ。

たぶん今海外に行く頻度が増えたからやろうね。

トーナメントプロとして、

やらなきゃいけないことも見えてきてるんで。

 

……ちょっとはプロっぽくなってきたかな」

 

――だいぶです。

 

「ふふふ、やっとね(笑)。

 

結果が出る・出ないはわからないけど、

ああいう場(世界)にもっと当たり前のように

いなければならないっていうのはありますよね。

 

それは僕だけじゃなく、

日本の選手、皆がそうでしょ。

 

こういう世界があるっていうのを、

本当の意味で皆が理解したら、

もっと日本のビリヤードは面白くなると思う。

 

今それを皆に気付かせたり見せたりするのは

僕がやることだろうって思ってるし。

 

特にマスターズやワールドカップは、

いくらお金を積んでも出られないし、

すごく楽しい試合だからね。

そこを体験させてもらってるだけに

余計にそう思います。

 

最近は海外がますます楽しくなってるから、

行けるものはどんどん出たいって思う。

そんな風にやり続けられているのは

奥さん(大井由希子プロ)や

スポンサーさんのおかげなので、

感謝しています。

 

今また海外でどんどん強くなれてる瞬間があるから、

なおさら外に行きたいんだよね。

 

うん、まあ、そんな感じ(笑)」

 

(了)

 

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