〈BD〉モスコーニカップに見るボーニングのショット力

S・V・ボーニング 2012年全日本選手権にて
S・V・ボーニング 2012年全日本選手権にて

 

先週行われ、

ヨーロッパの5連覇という結果を

もって閉幕した、


ヨーロッパvsアメリカの団体戦(ナインボール)、

『モスコーニカップ』。

 

 

アメリカは5年連続敗退という

屈辱的な結果になり、


しかも、エースとして期待された

S・V・ボーニングがまさかの1勝6敗で

大ブレーキになってしまいました。


(※ブログ『球バカ日誌』に欧米両チーム、

全10名の個人成績有り。こちらから)


しかし、BD個人的には、

今大会のベストショットは、


敗れたアメリカのボーニングの

以下のショットだったんじゃないかな!?

と思います。


場面は、大会2日目の第5試合(最終試合)。


試合前のスコアは、

トータルポイント:ヨーロッパ6-3アメリカ。


アメリカとしては、これ以上、

トータルポイントで差を付けられたくない状況。


この第5試合はダブルスで、


ヨーロッパのメンバーは、

D・アプルトン&M・グレイ。


アメリカは、

S・V・ボーニング&C・デュエル。


5点先取のこの試合、

アメリカが先に4-2でリーチをかけるものの、


ヨーロッパが追い付いて4-4のヒルヒル。


迎えた最終第9ラック。


ヨーロッパが出しミスをしてしまい、

④以降を取り切れず、


アメリカにこんな配置を回しました。

 

 

この④、トッププロなら

入れるのは入れるでしょうが、

 

⑤に良い形で出すのはとても難しい。

 

手球がクッション際にあり、

撞点もあまり選べません。


そーっと転がして入れると、

手球は⑤から遠ざかってしまうし、


しっかり押す(押し球を撞く)と、

手球が⑦に当ってしまうので、

行方が読み切れない。


そんな悩ましい球です。


しかし、アメリカとしては、

ヨーロッパに傾きかけている流れを

断ち切って勝利すべく、


なんとかここから取り切りたいところ。


ボーニングは、

エクステンション(タイム延長)も使って、

熟考し、間合いを計ります。


で、放ったショットがこれ。

 

 

④イン&押し球当て出し2クッション。

 

手球、⑤にピタリ。


完璧すぎる…………。


恐らく、手球を⑦の右側に当てることまで

計算していると思います。

 

少しキューを立てているのは、

寝かして撞くと、

強い加減で撞くためにキューミスしてしまう

危険性があるからかもしれません。


このショット力、

一か八かの局面での強心臓、

 

さらにガムを噛みながら任務遂行する

アメリカンヒーロー度……。

 

うーん、惚れます。


10年前だったら、

相方のデュエルが率先して決めて

ドヤ顔してそうなショットですね。

 

もちろん、この後、

アメリカは残り球を取り切って、

この試合に勝利し、

ポイント差を縮めることに成功しました。


でも、終わってみれば、

こんなショットを決める男でも1勝6敗。

 

トータルでも5-11で負けしまったアメリカ。


なぜそうなるのでしょうか。


ヨーロッパの方が経験豊富な選手が揃っている

という、チーム力の違いは否めませんが、


こう毎年のように負けている姿を観ていると、

プレースタイルの違いもあるのかな、と

BDは思います。


すなわち、


「難しい球を決めるアメリカ」

「簡単な球をミスしないヨーロッパ」。


ゲーム際の難球など、

いざという時のアメリカトップ選手達の

集中力とショット力はすごいものがあります

 

(※歴代のトップ選手達の、派手な

成功ショットの印象が強いせいもあるかも)。


一方、欧州プール選手のスタイルは、

 

確率とセオリー重視で、

一か八かのショットはあまり選ばず、


その代わり、易~中の難易度の球を

取りこぼすことが少ない。

 

難球ではきっちりセーフティ。

 

そんなイメージです。


そんな特徴を持つ両チームが、

 

4日間のロングマッチ(16本勝負)で

戦ったら…………勝率が高いのは……、

 

という話なのではないかと思います。

 

また、主催が『マッチルームスポーツ』という、

イギリスのプロモーター/イベンター

であることも大きいかもしれません。


テーブルコンディションなど、

「欧州基準」でセットすることも

できるでしょうから。


……と、そんなことを思った

今年のモスコーニカップでした。


さて、題材となったこの配置、

ヨーロッパ選手だったらどうしたでしょうか。

 

 

攻めることはせず、

こんなセーフティを選んだかもしれませんね。

 

欧州選手とのプレー経験豊富な方、

教えてください。

 

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