〈BD〉「無心でした」――全日本バンド選手権優勝・森雄介に聞く54点ランの背景とバンドゲームの魅力

森雄介
森雄介

 

日曜日に大阪で行われた

 

キャロムビリヤードの、

「ワンクッション競技」の公式戦、

 

『全日本バンド選手権』。

 

優勝した20歳のルーキープロ(JPBF)、

森雄介の談話を以下に。

 

他、決勝戦の対戦相手である

小林英明プロなど数名の談話もあります。

 

…………

 

昨日、談話を掲載した栗林達プロと同じく、

 

森プロも「無心で撞いていた」と語っていて

その符合が興味深いです。

 

ただ、恐らく栗林プロは

無心になれる状況を自ら作り出して

没入していったのに対して、

 

森プロは

前半当てられなくて一旦切れた後、

開き直った先に無心の境地が開けていた、

という違いがあるでしょうか。

 

しかし、開き直ってからとはいえ、

 

公式戦のファイナルで

「54点ラン撞き切り逆転勝利」を決められる

力量と「星」を持った撞き手は

そうはいないでしょう。

 

ポケットビリヤードしかやらないという方も、

ぜひこの森雄介という20歳の

ルーキープロにご注目下さい。

 

スリークッションでも

ファイナルを撞くのが当たり前の時代が

もうすぐやってくることでしょう。

 

…………

 

Yusuke Mori

JPBF最年少プロ 

1993年10月15日生・O型・天秤座

アマ時代戦績:

2012年全日本アマ3C準優勝

2012年全関東アマ優勝 

世界ジュニア3C・7回出場(最高位はベスト8)

 

プロ戦績

2014年全関東バンド選手権優勝

2014年全関東スリークッション3位

2014年全日本バンド選手権優勝

 

※全日本バンド選手権は2度目の出場

(昨年は5位)

 

 

――全日本バンド、初優勝です。

 

「嬉しいです。

 

正直、途中はあまり当たらなくて

腐りかけていましたし、

結構イライラしてました(笑)」

 

――最後は54点ランで逆転撞き切りでした。

 

「途中から無心になってましたね。

気付いたら『ファイブモア』でした(笑)。

 

来た配置を当てていただけというか。

中には、『よく当たったな』という

球もありました」

 

――公式戦での50オーバーのランは?

 

「初めてです。

練習では80ぐらいありますけど」

 

――優勝への思いは強かった?

 

「強かったです!

 

リーグ戦を終えた段階

(決勝シングルトーナメントへの

進出者・4名が決まった段階)で、

 

『これは勝ちたい!』と思いました。

 

今年、バンドの世界選手権が

開催される予定になっていて、

 

この全日本バンドで勝てば、

出られる可能性が高まるので。

 

世界のレベルはとんでもなく高いけど、

やっぱり肌で感じてみたいですから」

 

――ファイナルの相手は

小林英明プロかお父さんか(森陽一郎)、

という状況でした。

 

「父さんではなくヒデさんで良かったです。

 

父さんが相手だったら結構やりづらいので、

あのランは生まれてなかったと思います(笑)」

 

――プロ1年目で全関東と全日本、

2つのバンドタイトルを手にしました。

次に目指すはやはりスリークッションの

タイトルでしょうか?

 

「そうですね。

 

バンドは良い感じで2つ穫れたので、

次はスリークッション、欲しいです。

 

それと今年はスリークッションの

『世界ジュニア』に出られる最後の年なので、

それも意識しています」

 

――森プロにとってバンドゲームの面白さは

どんなところにあるのでしょうか?

 

「手球・的球・的球という3つの球を

同時にコントロールするところですね。

 

どんな配置の時でも次にどのような配置に

したいかを考えて撞くんですが、

 

イメージ通りの配置になったりすると

とても嬉しくて楽しいです」

 

――バンドゲームをやったことのない人に

一言で言うならば、どんな種目ですか?

 

「ゴルフで言うところのパットだと思います。

 

見ていて『こんなの外れないでしょ』

と思う配置でも、

実際にやってみると結構外れるんですよ。

 

まあそこがイライラするところでもあり、

楽しいところでもあるんですけどね(笑)」

 

…………

 

小林英明
小林英明

 

100点先取の決勝戦、83-46の状況から

森プロのビッグプレーで逆転され

 

自身2度目の優勝を逃してしまった小林プロ。

 

しかし、小林プロは

若き後輩の勝利を笑顔と拍手で讃えていました。

 

「雄介が良くやった。それだけです。

 

 僕が外して彼にターンを回してしまったから

こうなったので、少し悔しさはあるけれど、

 

あの撞き切りは見事としか言えないですよ。

 

今回、森陽一郎プロと町田正プロのどちらも

ファイナルにいなかった。

 

これは大会22回の歴史で初めてのこと。

 

準決勝で、雄介が町田正プロに勝って

先にファイナル行きを決めたでしょう?

 

それを見て『絶対俺もファイナルに行く!』と

思ったし、相当力が入りました。

 

ファイナルはむしろリラックスしてましたね。

 

そして、今の日本には1年間で3つ、

バンドゲームのタイトルがあるけれど

 

雄介が『全関東全日本を持っていて、

僕が『プロバンド』を持っている。

 

つまり、森陽一郎プロと町田正プロが

どのタイトルも持っていない。

 

こんな状況はこの10何年で初めてです。

 

時代が変わる兆しが見えてきたのかな、と。

そのことが嬉しいです。

 

僕は全然上手くないもプレイヤーだけど、

この先も雄介を困らせられる存在では

いたいですね」

 

…………

 

森陽一郎
森陽一郎

 

息子・雄介の全日本タイトル奪取に

目を細める、父・陽一郎のコメント。

 

「自分が優勝するのと同じぐらい

嬉しいですね。

 

でも、この先も

自分が少しでもお手本になれる部分があると

思って精進したいです。

 

親父として、先輩プロとして、

少しでも意地を張りたいですから(笑)」

 

…………

 

田中忍
田中忍

 

試合会場となった

大阪・京橋『みやこビリヤード』の

田中忍プロと佐々木浩プロの共通見解。

 

「今回の雄介くんの優勝は、

 

2005年の小林英明プロの初優勝の時の

光景と重なりますね。

 

あの時、

終盤までヒデちゃんは当てあぐねていて、

 

確か森陽一郎プロが2モアになってから

途端にスイッチが入って、

 

20何点撞き切ったんですよ。

 

難しい球も当て倒してね(笑)。

 

あれが、バンドゲームにおける

町田・森の二大体制に

風穴を開けた出来事でした。

 

あれから9年経って、

今回の雄介くんの優勝。

 

試合展開も似ていたし、

新チャンピオン誕生が意味するものも

あの時と近いものがあります。

 

また一歩、バンド界が変わりましたね。

 

やっぱり若い人が

活躍するのを観るのは良いですなぁ(笑)」

 

…………

 

さて。

 

BDも少しお邪魔させてもらいましたが、

 

祝勝会は朝まで続いたそうです。

 

「頭が痛いです……」(翌日の森プロ)

 

本当の決勝戦はここからだからなと

言わんばかりに、

 

2位の人がチャンピオンを困らせている

姿が目に浮かぶようです。

 

…………

 

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