〈BD〉「自分自身をコントロールできるようになってきた」――アロイシウス・ヤップ インタビュー

 

明日(22日)から始まる

全日本選手権』ステージ2に登場。

 

今月上旬の

インターナショナルオープン』で優勝し、

マッチルームのナインボールワールド

ランキング10位に入った

アロイシウス・ヤップ(シンガポール)は、

ワールドトップへの階段を着実に登っています。

 

2021年にも契約キューブランドの

MEZZを通じてインタビューをしていますが、

それからの2年でより一層逞しく、

そして頼もしくなっています。

 

そんなヤップを

プエルトリコのトーナメント会場

(『プエルトリコオープン

世界チーム選手権』)で、

 

小さな動きの楽しさ: ビリヤードのメンタルゲームをマスターする

訳者のK. MORI氏がキャッチ。

 

ビリヤードとの出会い、最近の躍進の秘密、

今後の展望について語ってもらいました。

 

…………

 

写真・聞き手:K. MORI

語り手:Aloysius Yapp(以下AY)

 

 

――ビリヤードを始めたきっかけは?

 

AY:子供の頃サッカーが大好きで、ある日学校から帰ってサッカーを見ようとテレビをつけたら、たまたまビリヤードの試合が映っていたんです。ボールの色や音になんとなく惹かれました。母にビリヤードというゲームだと教えてもらい、その後おもちゃのテーブルも買ってもらいました。それに熱中しているのを見た母が、レッスンが受けられる所を探してくれて、実際に始めてみてさらに情熱に火が付きました。

 

――プロになろうと思ったきっかけは?

 

AY:2008年、12歳の頃に初めて『世界ジュニア選手権』(9ボール)に出ました。とても素晴らしい経験になり、その時に見たトッププロの集中力、パフォーマンスに感動し、ビリヤードに対する情熱がさらに沸き上がり、プロになりたいと思いました。

 

――学校を中退してまでプロになったと聞きました。お母さんにはどう話したのですか?

 

AY:中国の広州で行われた『ビリヤードエキスポ』にコーチの勧めで行ったんですが、そこである女子プロと数ラックプレーする機会がありました。その時のプロフィール紹介で、そのプロはかなり小さい頃、母親が学校を辞めさせてビリヤードに専念するようにしたと言っていたんです。そして彼女は世界チャンピオンになった。その話が僕の心に響きました。母親に学校を辞めてビリヤードに専念したいと話したところ、初めは反対されましたが、「まじめに専念して、必ず大きく成功するからやらせてくれ」と頼み込みました。

 

――一昨年昨年とかなりコンスタントに上位に食い込んではいましたが、マッチルームの試合(WNT.対象イベント)では優勝はありませんでした。つい最近、『バトルオブザブル』と『インターナショナルオープン』の2つ続けて優勝しましたね。何かが変わったのでしょうか?

 

AY:自分のことを信じられるようになってきて、自信が付いてきましたね。去年は本当にあと一歩という試合が多かった。自分でもわかっていたけど、もう少しというところで自分を信じられなくなったり、状況に飲まれたりしてしまいました。今ではかなり克服できていて、自分自身をコントロールできるようになっています。試合の難しい状況でも冷静でいられるようになりました。

 

――スポーツ心理学者からアドバイスを受けたりしていますか?

 

AY:シンガポールのビリヤード協会、スポーツ心理学の先生、そしてコーチからも心理的なアドバイスをもらっています。

 

――具体的にはどのようなことをされているのですか?

 

AY:ネガティブな思考が沸き起こった時にそれに気付くことや、思考のコントロール、セルフトークなどです。

 

――技術的な面はどう変化しました?

 

AY:まだまだほとんどの部分が不十分だと思っています。基礎的な部分でさえ満足していません。

 

――それは謙遜でしょう、非常に高いレベルで安定した技術を持っていると思いますよ。

 

AY:いや、本当にまだまだです。大勢のエリートプレイヤー達が高いプレッシャーのシチュエーションで素晴らしいパフォーマンスを見せています。それを見ていると自分はもっと上達しないといけないと思いますよ。ブレイクやセーフティ、普通のショットの時でさえ体が動いてしまう場合があるからね。もっと練習しないと。

 

――最近キューを変更したと耳にしたのですが。

 

AY:はい、以前はMEZZのACE-806というモデルを使っていたのですが、今はACE-2187を使っています。最近の試合はラシャのコンディションが以前より重い場合が多く、試合によってはボールのクリーニングがきちんとされていなかったりで、手球を長い距離走らせるのが難しく感じていて。それで以前のバットより硬いエボニー材のキューに変更しました。

 

――重さは?

 

AY:割とよく変えていますが、今は20.1オンス。重い方が良いですね。

 

――シャフトとタップは?

 

AY:MEZZ WX700をしばらくの間使っています。来年はWX-Σ(シグマ)に変更する予定です。タップは斬(Zan)のハイブリッドマックス。最高のタップです。

 

――『モスコー二カップ』(欧米対抗チーム戦)のアジア版の噂がありますが、もしあなたがアジアチームに入り、あと4人のチームメイトを選べるとしたら誰を選びますか?

 

AY:実現したら素晴らしいですよね。まず柯兄弟(柯秉逸&柯秉中)、そして……アジアにはすごくたくさん良いプレーヤーがいるから選べません。ヨーロッパとアメリカ、どちらと戦うにしてもアジアチームにアドバンテージがあると思います(笑)。

 

――来年の目標は?

 

AY:あまり先のことは考えないようにしていますが、いくつかのトーナメントで勝ちたいのはもちろんだけど、どこの国のトーナメントに行っても自分のベストなプレーが出来るように、というのが一番ですね。

 

――トーナメントでは勝つことよりもベストプレーを目指しているということですか?

 

AY:そう、試合では勝つことも負けることもあるから。毎回テーブルについた時に出来ることを最大限やるのが目標です。

 

――言うのは簡単ですが、なかなか難しいですよね。そのことをアマチュアプレイヤーにアドバイスするとしたら?

 

AY:たくさんの経験の積み重ねが必要な部分でもあるから難しいけど、練習の時から大切な試合に出る時と同じような緊張感を持って出来るような工夫をすること、ですかね。自分自身にプレッシャーをかけるとか。

 

――WPAとマッチルームの問題ですが、来年3月以降どうするか決めました?

 

AY:出来れば両方でプレーしたいけど、僕の場合、自分でどうこうは考えてないんです。というのもシンガポールのビリヤード協会の力が強いので、彼らの指示に従う形になると思います。シンガポールのプレイヤーはすでにACBS(Asia Confederation of Billiard Sports)から、BAN(参加禁止処分)されているので、シンガポール協会がどうするかまだ分からないですね。

 

――『全日本選手権』には出場予定ですよね?

 

AY:僕だけね。他のシンガポールプレイヤーは出られなかったみたいです。色々複雑な事情があるみたいで、僕自身よくわからない事も多いんだけど、全てのプロプレイヤーに影響が出てしまう訳だし、生活するのがやっとというプレイヤーも多い。BANされてトーナメントに出られなければスポンサーだって困るだろうし……。

 

――あなたはシンガポールビリヤード協会からかなりの補助を受けているのですか?

 

AY:協会から給料と旅費をカバーしてもらっています。というのもビリヤードプレイヤーでは僕だけシンガポールのスポーツ奨学金プログラムの対象者になっていて、補助金みたいなものが給付されています。バドミントンや水泳など他のスポーツのトッププレイヤーが同じように補助を受けています。

 

――他のスポーツと同じようにビリヤードが認識されているというのは素晴らしい事ですね。全日本での活躍も期待しています。日本のファンもあなたに会えることを楽しみにしていると思います。

 

AY:本当に久しぶりの日本が楽しみで待ちきれません。日本の食べ物も大好きだし(笑)。

 

――ありがとうございました!

 

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※同時期に森氏が取材した

F・サンチェスルイスインタビューはこちら

 

 

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