〈BD〉早川工房の新シャフト『Torrefied Maple』(トリファイド・メイプル)、発売開始! 特徴と誕生秘話を聞いてみた

 

オリジナルカスタムキュー製作、

シャフト製作、リペア、糸・革巻き……と

キューの修理全般と製作を行っている

早川工房』(滋賀県)。

 

その早川工房が、この4月に

新シャフト、『Torrefied Maple』

(トリファイド・メイプル)の

販売を開始しました。

 

→ 早川工房公式サイト・シャフトページ

 

一般発売に先駆けて

一部のプロ・アマが使い始めており、

口コミでその評判が広がっていました。

 

見た目からも明らかなように、

一般的なシャフトは異なる

コンセプトと製作法から生まれた

トリファイド・メイプルシャフト。

 

工房代表の早川徹氏のコメントも

交えながら紹介します。

 

…………

 

 

まず、商品名の「Torrefied」

(トリファイド)という言葉ですが、

 

これはもともと

「あぶる・ローストする」という

意味を持つ言葉、「torrefy」から来ていて、

 

木工の世界では、

「半炭化させた・燻製させた」という

意味があります。

 

「トリファイド加工は、

特殊な熱処理を施して

木材の細胞構造を変化させることにより、

その性質を強く安定させています。

気候による膨張・収縮を軽減させる為に

研究されてきた科学的な手法です」

(早川氏)

 

早川工房の

トリファイド・メイプルシャフトは、

良質なシャフト材選びの段階から

早川氏が携わり、

 

国内で独自のトリファイド加工

【圧縮&熱処理の重ね技】を行って

生産しています。

 

…………

 

 

商品ラインナップは大きく分けると、

 

「High Roast Type」

(ハイローストタイプ。黒っぽい方)

「Low Roast Type」

(ローローストタイプ。飴色の方)

の2つ。

 

それぞれ、シャフト材は

「ハードメイプル」か

「カーリーメイプル」かを選べます。

 

いずれのシャフトも、

「中空加工」と「ウエイト調整加工」

(ウエイトボルトセット付き)が

標準で施されています。

 

ポケット用(プレーキュー)だけでなく、

キャロム用、ブレイクキュー用も製作可。

 

そして、

こちらの「作成依頼フォーム」の通り、

 

● ジョイント(ネジ)

● リング

● テーパー

● 長さ

● 先角

● 座

● タップ

 

といった各パーツや仕様もセレクト出来るので、

ユーザーが所有するバットの

仕様・デザインに合った

トリファイド・メイプルシャフトを

作ることができます。

 

 

では具体的に、

トリファイド加工で作られたシャフトは

どんな性質・性能を持っているのか。

 

早川工房公式サイトに

簡潔にまとめられていますので

そのまま引用します。

 

◆ 早川工房 Torrefied Maple シャフトの特長とは:

 

● 本来永年撞き込む事により得られていた育て上げたシャフト特有の芯の通ったコーンと小気味よい打感を享受できます。

 

● 木材の細胞構造の強化・安定させることによりパワーの享受とディフレクション(トビ)の軽減を両立させました。

 

● 近年発売されているカーボンシャフトの良さ(パワーとトビの軽減)と使い込まれた木製シャフトの良さと加工の多様対応(テーパー・先角材選択など)が可能な、いわゆる【良いとこ取り】シャフトとなります。

 

こういった特長は、

アマ競技界で長年トップレベルで

活躍している早川氏自身だけでなく、

すでにトリファイド・メイプルシャフトを

使用している国内外のプロ・アマ達の

多くが口を揃えています。

 

また、「High Roast」(黒っぽい方)と

「Low Roast」(飴色の方)の

違いについてですが、

 

「熱処理の温度が異なります。

『High』の方がより高温処理がなされていますが、

性能面での違いは見た目ほどはありません。

今のところ『High』の方が

生産本数は多いです」(早川氏)

 

とのことです。

 

…………

 

写真提供:早川工房
写真提供:早川工房

 

最後に、早川氏から、

トリファイド・メイプルシャフトの

誕生ストーリーをお聞きしました。

 

早川氏・談:

 

「3年前にアメリカのビリヤードエキスポに行った時に、あるキューメーカーのブースで色の濃いシャフトを見たのが最初でした。興味が湧いて丸棒を買って持ち帰って、工房で何本かシャフトを試作してみたら結構評判が良くて。秘密が熱処理にあるとわかったのがここ1、2年の話です。

 

ただ、熱処理済みの材料を海外から仕入れるとかなりコストが高くつくので、なんとか国内で加工出来ないかと考えて、色々と調べたり動いたりしてました。やっと生産体制が整ったので、この春に一般発売を始めたという流れです。

 

『トリファイド加工』は以前から木工の世界にある科学的な手法で、熱処理をして木材の水分を飛ばすことで、簡単に言えば強く安定した性質になります。例えば楽器にも以前から使われていて、何十年物・何百年物の高級な楽器と遜色ない音色が、圧縮+熱処理を施すことで実現できます。その手法でシャフトを作ってみたところ、初めの試作品から良い手応えがありました。撞いてみて『これや!』と。

 

僕自身も使ってますけど、パワー・キレがあり、トビは少なくて、打感が良いですね。少し専門的な話をすると、うちの『中空加工+ボロンフレーム内蔵』シャフトは、フレームを入れて根本を硬くして先端部のバイブレーション(しなり・振動)を細かく速くするという構造でトビ軽減とパワー増加を実現しています。一方、トリファイドは圧縮+熱処理を施すことで、ボロンフレーム要らずで、根本の硬さ+細かく速い先端部バイブレーションを実現出来ていますし、品質の均一性も高いです。つまり、カーボンシャフトに似た方向性と言えると思います。

 

加工をしている分ちょっと値段は高いですが、木が安定しているので曲がりにくいし、長く使えることも特長です。自分の所の商品だから言う訳じゃないですけど、プレイヤーとして長く付き合って行けるシャフトです。それと職人目線で考えると、製作時に普通のシャフト材よりロスが出にくいのはありがたいです(笑)。

 

昨年末、あるアメリカのプロプレイヤーがうちの工房に遊びに来てくれた時に、トリファイドを試してすごく気に入ってくれました。彼はアメリカのメーカーのトリファイド加工シャフト(※「キールウッドシャフト」とも言う)も撞いたことがあるんですが、『断然ハヤカワの方がいい』と。現在、彼の繋がりもあってアメリカにもうちのトリファイドが少しずつ入ってます。

 

他、他社さんとのコラボレーションということで言うと、『ブルーインパクトカスタムキュー』(ナビゲーター)は、今後標準でうちのトリファイドが選択できます。それと『GORINA』さんとのコラボで韓国向けのトリファイドのキャロムシャフトの製作も進んでいます。こちらはご希望あれば日本の方向けにも製作できます」

 

(了)

 

早川工房の

トリファイド・メイプルシャフトについて

詳しくは、公式サイトもご覧ください。

 

→ 早川工房公式サイト・シャフトページ

 

 

………… 

 

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