〈BD〉「わかってました、私がこの8番を決めて勝つんだなって」――東海レディースグランプリ優勝・丸岡文子の談話

 

18日~19日(土―日)の

東海レディースグランプリ』で優勝を飾った

丸岡文子の談話です。

大会翌々日に話を聞きました。

 

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――4年ぶりの優勝です。

 

丸岡:前回(2022年『全日本女子プロツアー第1戦 in 京都POOL BLOW』)から4年越しでしたし、よく「優勝1回はまぐれ」って言ったりもするじゃないですか。だから、早く2勝目が欲しかったので勝てて嬉しかったです。それに、特設会場の大会で優勝することは夢だったので最高の気分でした。

 

――「早く2勝目を」と思っていたのですね。

 

丸岡:はい。この丸3年、練習と研究を続け、シャフトを変えたりしながら自分なりに頑張ってましたけど、なかなか結果が出なくて。でも、去年から何度か海外に行っていて、それが良い経験になり自信も付いてきました。海外経験が今回の結果に繋がったという実感もあったので、その嬉しさもあります。

 

――決勝日(ベスト8~)は、岐阜市の『カラフルタウン』特設会場で撞きました。会場の雰囲気や環境は?

 

丸岡:とにかく素晴らしかったです。私は見られながら撞くのは全然OKで、見てくれる人がいるだけで楽しくなってきます。それに、台間が広くて自分のペースで撞けましたし、テーブルコンディションも良かったです。運営スタッフやテーブルスタッフにも先日の『BLUEROSE OPEN 中部大会』でお会いした方が多くいて、リラックス出来ていました。

 

――2日間で7試合しました。ご自身の評価は?

 

丸岡:出来が良かった試合と悪かった試合の差がだいぶあったかなと思います。でも、自分は「かなりダメだったな」と感じていた試合でも、周りの人は「いや、良かったよ」と言ってくれたりして。後で動画を見たら「意外とミスは少なかったんだ」と思ったりもしたので、良いと感じた試合の自己評価が高すぎたのかもしれません。全体を客観的に見たら、もうちょっと自分を褒めてあげてもいいのかなと思います。

 

――上手く撞けたなと思うショットは?

 

丸岡:セーフティは意識的にいつもより多めにしていて、それが大きかったのかもしれません。それは海外での経験があったからです。やっぱり海外の台はボールがヨレやすかったり、コンディションに不安を感じることがあるから、すごく薄い球、スロウが出そうな球、カーブが出るか出ないかわからない球とかを攻めるのはリスクが大きい。それに、今回はクロック(チェスクロックとショットクロック)があったので、時間の使い方を考えて早めに守りを選ぶ場面も多かったです。でも、逃げのセーフティではなく、出来る限り「攻めのセーフティ」、簡単に当て返されなさそうなセーフティを意識してました。

 

――決勝戦(vs 梶谷景美)直前の心境や決勝戦のテーマとは?

 

丸岡:すごくバカみたいですし、怒られるかもしれませんが、もともと決勝日(ベスト8)に残った瞬間に「あ、行けるな」って思ってたんです(笑)。決勝日は朝から最後までポジティブマインドでした。「2日目に残ったら勝つ」と思ってたし、表彰台に上がる気持ちでいたから、相手が誰々だ、準決勝だ、決勝戦だ……とかは一切なかった。周りの人にも「勝ちに行きます」って言ってましたし、決勝戦も全然緊張せずに入りました。ただもちろん、楽に勝てるとは全く思ってなかったです。絶対梶谷プロもバチバチでマスワリを出しまくってきて、ヒルヒルになるだろうなとイメージしてました。

 

――決勝戦の第1ラックは丸岡プロの9番ミスで失いました。

 

丸岡:あの9番は雑に「えいっ!」って撞いてのミスじゃなくて、ちゃんと狙い切って外したものだったので、「もう仕方ない」と思えました。落ち込むことはなかったです。それと、普段私は「9番を外したら相手に3ラック行かれる」っていうイメージを持ってます。でも、今回は交互ブレイクだったので少なくとも座りっぱなしはない。「必ずブレイク番は回って来るから」とポジティブな気持ちでいられました。

 

――第2ラック以降、丸岡プロが試合を優位に進めて行きましたが、優勝を意識する瞬間はありましたか?

 

丸岡:ないですないです。もうそういうのは止めました。目の前の一つの球に集中することにしたんです。決勝日に残った時点で「優勝することがわかっていた」ので、悔いのない球を撞くだけという感覚でした。

 

――相手も展開も場も意識しない境地にいた。

 

丸岡:はい。むしろ「相手」に関しては考えが逆というか、梶谷プロもそうですし、河原(千尋)プロや栗林プロ(美幸)など、明らかに自分よりもランクが上の方々と試合する方が私はやりやすいんです。向って行けるから。反対にアマ選手との対戦は苦手です(苦笑)。

 

 

――決勝戦の最後、第9ラックは、5番と8番でセーフティを挟みつつ、梶谷プロの8番縦バンクミスの残り球から丸岡プロが2球を取って勝ちました。8番はイヤな厚みと距離だったかなと思います。

 

丸岡:そうですね。でもまず、梶谷プロは8番縦バンクを決めるだろうと思ってました。というか、私は相手がミスすることを期待すると自分のメンタルが厳しくなるので、「きっと入れて来る。でも、もし回ってきたらラッキー、全力で入れに行く」という心境でした。そして、8番が回って来た時にもうわかってました、「私がこれを決めて勝つんだな」って。8番は少し薄くて難しい球でしたけど、とにかく自分にとって一番入れやすい撞点と加減で行こうと。あれは順下(右下)を撞いてます。

 

――9番へのポジションは意識してましたか?

 

丸岡:入れたら手球は自然に9番に出るなと思ってました、というか、別にどこに出ても良かったので、まず一番入れが硬い撞き方を考えました。その選択が、たまたま綺麗に9番に出る撞き方だったという感じです。

 

――ゲームボールを入れた瞬間の気持ちは?

 

丸岡:「やっと勝てた。4年もかかったよ」でしたね。自分がやってきたことは合ってたんだなという気持ち半分、もし専任のコーチがいたとしたらもっと早くここに来られたのかなという気持ち半分です。

 

――たしかにプール(ポケットビリヤード)強国の多くで、プロを指導するコーチがいますね。

 

丸岡:そうですね。コーチがいたら30分で教われるものを、日本では自分自身で半年とか1年かけて一生懸命考えながら習得しているような気はします。そこは感覚的な部分もあるので、何が正解かは難しいですけど。

 

――改めて今回の勝因とは? さっきも言っていたように海外での経験が大きいですか?

 

丸岡:間違いないですね。テーブルコンディション一つとってもそう。私は新ラシャ(さらラシャ)が苦手なんですけど、海外の大会は基本的にいつも新ラシャで行われていて、使うボールもワックスぶりぶりだったりします。それを経験すると、今回の決勝日の特設会場のコンディションに対応しやすくて、「ああ、経験ってこういうことなんだな」と思いました。

 

――去年から今年にかけて何度か海外の大会に出て、現地で海外トッププレイヤー達を見てきたと思いますが、彼女達のどんなところが参考になりますか?

 

丸岡:もうかじりついて見てましたね(笑)。参考になったのは……「弱すぎるショットは選ばない」ですかね。やっぱり弱いショットはヨレやすい。海外に比べると日本はヨレなさすぎなぐらいです。今回予選日(ビリヤード場開催)で一度、どうしても9番をスローで撞かないといけない形になりました。結果9番は決まったんですが、あれは台が良かったからたまたま入ったとしか思えなかったです。でも、特設会場のテーブルは設置して間もないから落ち着いてないですよね(ヨレるリスクがある)。だから、決勝日はスローショットは選ばなかった。それも良かったのかもしれません。まあ、強すぎて失敗したのはありましたけど(苦笑)。

 

――2026年後半の目標は?

 

丸岡:また海外に行きたいですけど、お店(神奈川『アロウズ』。夫の丸岡良輔・元プロと営んでいる)の営業もあって、いつでも行けるという状況ではありません。もちろんタイミングが合えばすごく行きたいですし、海外でもっと上の結果を出したいですね。国内では『ジャパンオープン』や『全日本選手権』というG1、SG1クラスの大会で上に行きたい。私は来日海外勢とか全然知らない相手と撞くのは得意なんです。自分から向かって行けるから。

 

――反対に、日本勢との試合はやりにくいですか? 普段国内の女子プロ大会ではだいたい知っている人と当たりますね。

 

丸岡:そうですね。でも、今回の優勝を機にそのあたりも見つめ直せる気がしています。

 

――今回は自分の球だけに集中してのびのび、堂々と撞いているように感じられました。

 

丸岡:そう見えていたなら嬉しいです。今回はポジティブな気持ちで撞き続けられましたし、そのまま優勝出来たことでなにかこう2、3枚皮が剥けたような感覚もあります。それが勘違いかもしれないってことはわかってます。でも、勘違いも大切ですからね、ビリヤードは。

 

――最後に、応援してくれてる方々に一言メッセージを。

 

丸岡:いつも応援してくださっているファンの方々、お店(アロウズ)の皆様、スポンサーの皆様、そして、お店の営業を頑張ってくれて試合へ快く送り出してくれる旦那と、私が遠征に出ていて寂しいはずなのに寂しいって言わない娘――帰って来たら真っ先にギュッと抱きしめてます――本当にありがとうございます。これからも感謝の気持ちを忘れずに活動していきます。今後とも応援よろしくお願いします。

 

(了)

 

Ayako Maruoka

生年月日:1983年10月1日

出身・在住:神奈川県

JPBA55期生(2021年プロ入り)

所属店:『ARROWS』(神奈川県横浜市)

プレーキュー:早川工房(シャフトは早川工房 先端中空boron frame/SAIGEN、タップはOCT BLUE紺碧M)

キューケース:3seconds

チョークケース:リネアカンパニー

アマ時代タイトル:

2018年~2019年第10期~第11期女流球聖位

プロタイトル:

2022年『全日本女子プロツアー第1戦 in 京都POOL BLOW』優勝

2026年『東海レディースグランプリ』優勝

スポンサー:早川工房、OCT BLUE、BLUEROSE、Robot Consulting、リネアカンパニー、(株)anything、Green國(株)、ディーゼルマイスター、くにたこ酒場、げんば、BERRY PARKいずみの、SPORTS STRIPES

 

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