〈BD〉対談:梅田竜二 × 川端聡【中編】。ドーハアジア大会から20年――金メダリストが語るあの日と現在地

Photo :  On the hill !
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2006年『第15回 アジア競技大会』

(カタール・ドーハ)の

ビリヤード競技で金メダルを獲得した

梅田竜二(キャロム・スリークッション)と

川端聡(プール・8ボール)。

 

金メダリスト2名の20周年特別対談が実現。

 

ドーハの思い出から現在の競技活動まで

たっぷり語ってもらいました。

 

昨日公開した【前編】に続き、

【中編】をお届けします。

 

Supported by ADAM JAPAN

画像提供:On the hill !

資料提供:BILLIARD WALKER

取材協力:ビリヤード ヤマニ

 

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【中編】君が代と金メダルの重み

 

 

――ドーハのテーブルについては、お2人とも「ひどかった」と直後の談話で語っていました。

 

川端:クッションレール上の「点」(ポイント)が見てわかるレベルで「あれ? ずれてる?」って。ポケットプレイヤーはそこまで点を見ないですけど、「これ、キャロムの人達、大丈夫なんかな」って思いました。たしかあの時初めてWiraka(ウィラカ)が自社製テーブルを出して、それが採用された大会だったと思います。

 

梅田:覚えてます。キャロムテーブルのポイントもずれてました(笑)。等間隔になってないし、クッションからの距離もまちまち。あと、クッションの高さが標準より2ミリぐらい高かったですね。クッションが手球の上の方に当たることになるので、動きが読めなかった。斜めからクッションに入ると噛みが多くてたくさん開くんですけど、クッションに対してほぼ垂直に入る時は全然開かずそのまま真っ直ぐ動く感じ。例えば、バタバタのラインが落ちないので、ずっと同じ所でバタバタしてました。あとは石板が薄くて球がよく跳ねるとか、ボールの表面がガサガサだったりとか、その動きに慣れないといけないという環境でした。だから、簡単なはずの球が二択のクイズになることもありました。

 

――と言いますと?

 

梅田:「これはクッションで伸びるのか詰まるのか。跳ねるのか跳ねないのか」みたいな。自分の答えが結構外れるんです(苦笑)。コンディションを読み続けるのも疲れるし、思ったように撞いても外れるし……精神的な戦いでしたね。でも、僕より相手の方がもっと疲れていたと思います。

 

――川端プロはどうでしたか? ポケットテーブルも石板やクッションのイレギュラーを感じましたか?

 

川端:9ボールではすごい感じたんですけど、8ボールではそこまでではなかったですね。なるべく手球を動かさないようにして取れる種目なので、クッションもそんなにたくさん使わなかったし、そこまで影響を受けなかったと思います。

 

――もう一つ、当時お2人が共通して話していたのは表彰式のことです。「君が代」が流れて感動したけれど、「アジアでは泣かない。世界で泣こう」と決めていたと。それでも「君が代」が流れた瞬間は誇らしい気分だったのではないかと思います。

 

梅田:もちろん。あれはいいですね。

 

川端:ちょうど僕が8ボールのベスト8を撞いている時に3Cの表彰式が始まって「君が代」が流れたんですよ。撞きながら鳥肌が立ちました。「梅田さん、すげぇなあ。自分も流したい。あと3回勝たんと」って。あれがなかったら僕は頑張れてなかったかもしれない。本当に震えましたね、梅田さんの「君が代」が会場に流れた時は。

 

――8ボールの表彰式で君が代を流してもらった時は?

 

川端:鳥肌立ちました。一緒に行ってたポケットチームの女子2人(栗林〈当時は福家姓〉美幸、大谷晃央)は大泣きしてました。でも、先に1回聞いてるんで、もちろん感動はしてましたけど、それ以上に表彰台の真ん中に立てたことが嬉しかったですね。

 

梅田:そう、国歌は真ん中に立っている優勝者のためだけに流れるんで、それが気持ちいいんですよ。

 

2枚目:キャロム・スリークッション。左から、銀:ズオンアインヴー(ベトナム)/金:梅田竜二/銅:金京律(韓国。キムキョンルー。2015年逝去)

3枚目:プール(ポケットビリヤード)・8ボール。左から、銀:アントニオ・ガビカ(フィリピン)/金:川端聡/銅:黄焜璋(台湾。ホアンクンチャン)

 

 

――ちなみに、梅田プロは今までに何回、表彰台の真ん中で「君が代」を聞きましたか?

 

梅田:そんなにないですよ。合計3回です。ドーハの他に『3C世界選手権』(2007年エクアドル・クエンカ)と『アジアインドア・マーシャルアーツゲームズ』(2013年韓国・仁川)です。

 

――世界選手権の「君が代」はより一層嬉しかったですか?

 

梅田:そうですね。やっぱりアジアだけでなく世界の強い人がいっぱいいて、そういう人達に勝っての優勝だったので。

 

――前編の冒頭でも少し出てきましたが、アジア大会で金メダルを獲ったことは、その後の人生に大きな影響を及ぼしたと思いますか?

 

川端:全然変わりますね。ポケットもスリークッションも『世界選手権』は毎年あるじゃないですか。でも、アジア大会は4年に1回だから、重みというか相手の受け止め方が違います。行政の方とのお話やお仕事のお話もすごくしやすいです。

 

梅田:そうですね。区から表彰されたりとかもありますし、全然違いますよね。例えば、「児童館にビリヤードテーブルを置きたい」というような普及活動の話もしやすいです。区長に直接連絡したり。金メダルを持って行けばだいたい大丈夫(笑)。

 

――アジア大会は「オリンピックゲーム」なので、そもそもビリヤード界の『世界選手権』などの大会とは性質が違いますね。

 

川端:そう、全く違う世界です。たくさんの競技種目の人がいて、選手村があって、他競技の選手と交流できたり、有名な選手が目の前にいたり……少なくともビリヤードだけの世界じゃないです。

 

梅田:僕はバレーボールの女子選手にサインをもらったことがあります(笑)。

 

川端:あと、金メダルを獲ると、選手村の中の大通りに写真と名前入りで「GOLD MEDALIST」の垂れ幕が掲示されるんですよ。それがめちゃくちゃ嬉しかった。「俺だ!!」って。あれ、持って帰りたかったな。

 

――アジア大会は試合方式(フォーマット)も『世界選手権』などとは違います。予選ラウンド(グループリーグやダブルイリミネーションステージ)はなくて、シングルトーナメント一発勝負。それはプレッシャーになりませんか?

 

梅田:一発勝負なのは試合前からわかっていることですし、精神的な部分は向こうに行った時にはクリアしていたと思います。それと、世界ランキングなのかアジアランキングなのかわからないですけど、ランキングで枠順が決められていて。日本・韓国・ベトナムの選手はシード選手扱いになっていて、1回戦は強くない国の選手と当たることが多かった。なので、特に1~2回戦あたりは結構練習のつもりで撞けました。

 

川端:ポケットもたぶんランキングで振り分けられてたと思います。僕も1~2回戦で台湾やフィリピンの選手とは当たらない枠に入ってました。ただ、梅田さんみたいに練習とかそんな余裕は全くなかったです。

 

――ドーハの時、梅田プロが38歳で川端プロが36歳。振り返ってみて当時は心技体が充実していた時でしょうか?

 

梅田:そうですね。一番良かった時だったと思います。

 

――ビリヤード選手は身体のどこかを痛める人も多いですが、当時のお2人は?

 

川端:なかったですね。

 

梅田:全然ないですね。体力もあるし精神的にも強かった。闘争心が今とは全然違います。「勝つんだ」「倒すんだ」って気持ちはあの頃が一番強かったと思います。

 

――今もそんな空気を感じますが。

 

梅田:いや、なかなか難しいですよ。「こいつを倒してやろう」とか「この試合で優勝しよう」と思うのは思うけど、あの頃の気持ちにはなかなかなれてないと思います。

 

川端:それは同じですね。ただ、ドーハの時の僕は、というかポケットチームは、キャロムに比べればそこまでメダルを期待されてなかったと思うんです。もちろん言葉ではメダルへの期待をかけられてましたけど、「皆本当はどう思ってはるんかな」と思うこともありました。

 

(了)

 

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梅田竜二×川端聡 2006ドーハ・アジア大会 金メダル20周年記念対談

・【前編

・【中編

・【後編

・【番外編

 

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◇ ADAM JAPAN関連記事はこちら

 

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