プール(ポケットビリヤード)界には、
WPA(世界連盟)と
WNT.(ワールドナインボールツアー)の
2つの「世界ランキング」があります。
(※女子の世界ランキングは
WPAランキングのみ。
WPBAツアーランキングが
それに続く大きな指標です)
なので、メディアが
ワールドトッププロ達を紹介する時、
「WPAでは◯位でWNT.では◆位」
と、2つのランキングを並べることもあります。
正直、統一されている方が楽でいいです。
そこで、団体関係なく選手の実績を
横断的に見たい時、何かと参考になるのが、
アメリカのビリヤードサイト
『AZBilliards』(エージービリヤード)が
長年継続している
『AZB Money Leaderboard』
(マネーリーダーボード=賞金額ランキング)です。
ここでは団体・男女の別なく、
単純に獲得総賞金額の多い順に
選手を並べています
(※男子だけ、女子だけで見ることもできます)。
WPA、WNT.の
「世界選手権」「メジャー大会」はもちろん、
両団体の「ランキング対象試合」や、
「ダブルス、インビテーションなどのイベント」、
「地域・国内の選手権」、
「(主にアメリカの)大きな地方大会」
など、“賞金が事前に明示されている
公式大会・定例大会”は
かなりの精度で網羅されています。
反対に、AZBilliardsが調べられないような
アメリカ国外の大会・イベント、
中小の大会・イベントは漏れています。
とはいえ、ワールドトッププレイヤーたちは、
大きな国際大会(とその前哨戦)を
中心にツアーをしているので、
AZBilliardsがだいたい捕捉しています。
マネーリーダーボードの数字が
大きく外れることはありません。
今年の上位15名(男女混合)は以下の通り。
1:C・ビアド(フィリピン) $323,000(約5,057万円)
『9ボール世界選手権』優勝など
2:A・ヤップ(シンガポール) $301,450
『USオープン』『UKオープン』『フロリダオープン』『インターナショナルオープン』優勝など
3:F・ゴースト(アメリカ) $284,220
『ダービーシティー バンク』『同 ワンポケット』『同 マスターオブザテーブル』優勝、『9ボール世界選手権』『USオープン』準優勝など
4:J・フィラー(ドイツ) $274,116
『ダービーシティー 9ボール』『ヨーロピアンオープン』『ジャクソンビルオープン』優勝など
5:S・バンボーニング(アメリカ) $179,775
『10ボール USオープン』『テキサスオープン』優勝など
6:M・ノイハウゼン(ドイツ) $178,838
『プレミアリーグプール』『ペリオープン』優勝など
7:A・カザキス(ギリシャ) $142,891
『10ボール世界選手権』『8ボール世界選手権』準優勝など
8:P・ラブティス(リトアニア) $140,750
『ハノイオープン』優勝など
9:柯秉中(台湾) $136,000
『10ボール世界選手権』優勝など
10:F・サンチェスルイス(スペイン) $135,700
『スペインガンディアオープン』優勝など
11:ソソア(韓国) $122,170
『9ボール世界選手権』『インドネシア国際オープン』『スペインガンディアオープン』優勝など
12:J・ショウ(イギリス) $112,800
今年は個人戦で決勝戦進出なし
13:A・オーシャン(オーストリア) $107,901
『8ボール世界選手権』優勝など
14:J・マグパンタイ(フィリピン) $106,750
『カタールワールドカップ10ボール』優勝など
15:J・オーシャン(オーストリア) $106,336
『アイアンシティオープン』『女子8ボール世界選手権』優勝など
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Top 50に入っている日本選手は2名。
34:大井直幸 $72,640
『ヨーロピアンオープン』準優勝など
45:河原千尋 $54,422
『チャイナオープン』優勝など
ーーーーーー
1位のC・ビアド(フィリピン)は、
高額賞金で知られる『9ボール世界選手権』
(優勝25万ドル=約4千万円)優勝の一撃で
リーダーボード首位が決まったような
ものだと思います。
今年他に個人タイトルはありません。
『女子9ボール世界選手権』覇者の
ソソア(韓国)が11位に。
女性プレイヤーの最高位です。
また、2025年はこれといった
タイトルのないA・カザキス(ギリシャ)が
7位にいるのは、
アベレージの高さを象徴しています。
同じくタイトルのないJ・ショウ(イギリス)が
12位にいるのは、
『レイズカップ』『モスコーニカップ』
という2つのビッグな
WNT.招待制チームイベントの“出場給”の
大きさを示しているように思えます。
全体を俯瞰すると、
ひと昔前(10年〜20年ぐらい前)に比べて
プール(ポケットビリヤード)界の
賞金額はだいぶ上がりましたし、
国際大会の開催数が3~4倍ぐらいに
なっている印象です。
つまり、前よりも稼げる環境に
なってきてはいます。
ですが、参加者数が増え、
中欧、中東、アジア、南米など、
これまで強豪選手が少なかった国々からも
有力プレイヤーが多数出ているので、
競争は激しくなっています。
加えて、開催地が「全世界」なので、
遠征経費(交通宿泊費・エントリーフィー)も
かなりなものになります。
行きやすい台湾なら切り詰めて15万円、
ヨーロッパの地方都市や中南米で60万円
ぐらいになるでしょうか。
そして、多くの大会がそうですが、
予選ラウンドを勝ち抜けて、
決勝トーナメント
(全出場者の上位1/2〜1/3)に
入れないと賞金がありません。
つまりハイコストハイリターンな状況。
それでもなお、海外挑戦を続け、
このマネーリーダーボードの
上位に名を連ねる日本選手が
今以上に多く出てくることを願っています。
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