大手ブランドから個人工房まで
多くのメーカーが多種多様なタップを
製作しているタップ王国、日本。
積層タップ全盛時代と言っていい現代、
ひと昔前を思わせる
「プレス済みの牛革単層タップ」で
注目を集めているタップが愛知にあります。
名前は『OCT BLUE』(オクトブルー)。
『BILLIARDS & DARTS OCTOPUS』
(愛知県西尾市)と
『AMUSEMENT PARK OCTOPUS』
(愛知県知多郡美浜町)を
運営する岩瀬賢吾プロ(JPBA)が、
自ら開発・製作・販売を手掛けている
ハンドメイドタップです。
オクトブルーの原型は10年ほど前に完成。
マイナーチェンジを繰り返して
今に至りますが、以前から希望者は
直接岩瀬プロから、あるいは
一部のビリヤードショップで
購入することができました。
口コミやSNSを中心に評判が広まり、
着実にユーザーを獲得。
使ったことがなくとも、
「名前は知っていた」
「岩瀬プロがタップを作っていることは聞いていた」
という人も多いと思います。
販売チャンネル(※通販アプリ・サイトの『BASE』)と
パッケージが整ったこのタイミングで
BDに初登場。
オクトブルー誕生ストーリーを
お聞きしました。
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◇ OCT BLUE(オクトブルー)
直径:14mm
素材:牛革
構造:単層
硬度バリエーション:3種類。S(2026年より順次)/M/H
価格:1,980円(税込)
販売サイト:https://octblue.base.shop/ ※通販アプリ・サイト『BASE』
オクトブルーは、
牛革単層のブルー系タップを加圧して作られた
「プレス済み単層」タップ。
岩瀬プロは、かつて国内で高い人気を誇った
『10t締めブルー』の生みの親、
氏橋武士氏に師事し、レシピを学びました。
その上で、
「ソリッドなフィーリング」
「手球をしっかり捉える食い付き」
「高く澄んだクリアなサウンド」を
実現するために独自の製法を追求し、
現代の“強い”シャフトにも合うように
アップデートして作られたのがオクトブルーです。
BDが数十時間試してみたところ、
昔の10t締めブルーよりも
硬め・しっかりめな印象ですが、
どのスピード域でショットしても
豊かなフィーリングを感じられました。
食い付きは申し分なく、
上下左右のスピンもよく入ります。
サイド(タップ側面)の膨らみもほぼなく、
天面の摩耗も最小限で、
カチコチにはなりにくいので
メンテンナンスに
神経質になる必要はなさそうです。
開発者・岩瀬プロのコメントをお届けします。
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語り手:岩瀬賢吾(OCT BLUE開発者)
聞き手:BD
――オクトブルー開発の動機は?
岩瀬:僕は以前から単層タップの打感や音などのフィーリングが好きで使っていたのですが、良いタップがどんどん世の中から無くなっていき、「これは困ったぞ」と。それなら「自分が使いたいタップを自分で作ろう!」と思い立ち、製作に取り掛かりました。
――いつ企画開発に取り掛かり、商品化までにどのぐらいの歳月がかかりましたか? 苦労したことは?
岩瀬:10年ほど前、『10t締め』の生みの親である氏橋さんに、自分の手持ちの古いブランズウィックタップを締めてもらうところから始まりました。
――あの「ブランズウィックブルータップ10トン締め」の氏橋さんですね。
岩瀬:はい。しかし、プレスの強弱やタップ自体の個体差もあり、なかなか安定したタップにはならなかったです。7~8年ほど前に「これはもう自分で作ってしまえ!」と思い、氏橋さんのところに行ってタッププレスについて学び、自分のお店のお客さんにも手伝ってもらい、タッププレスの機械を作りました。ですが、プレスの強さや時間、タップの選別、機械の調整など色々な課題があり、2~3年はとても苦労しました。タッププレスに関する情報がほとんど無いので、自分でデータを取りながらテストしたりと、真夜中一人で試行錯誤していたのを思い出します。ただ、静岡の秋本(真吾)選手が初期のオクトブルーを使ってくれ、『アマローテ』(2012年)で全国優勝した時はとても嬉しかったです。
――どんな性能を求めて開発していたのですか?
岩瀬:「当たりの単層タップ」のフィーリングにこだわっていました。具体的には【甲高く、乾いていて澄んだショット音】【しっかりしたフィードバックが伝わる打感】【手球をしっかり捉える食い付き】です。これらを追い求めた結果、積層タップに比べると同じ硬度でも比較的しっかりとした打感のタップになっています。
――ユーザーからはどんな評価・感想を耳にすることが多いですか?
岩瀬:今言ったことと重なりますけど、「打感が良い」「ショットの時の音がキレイで澄んでいる」「手球への食い付きが良い」という、自分が狙っているコンセプト通りの評価をもらってます。中には「もうこのタップじゃないとダメ!」という、製作者としては激萌えのコメントも何人かの方々からいただいております。嬉しいですね! また、アマチュア専属プレイヤーとして秋本真吾選手(静岡)、園山亮選手(神奈川)、田尻大悟選手(愛知)に使用してもらっています。トップアマプレイヤーである彼らからのフィードバックも製品作りに活かされています。
――オクトブルーはどんなプレイヤーにおすすめですか?
岩瀬:単層タップのフィーリングが好きな人はもちろん、ビリヤードを好きな人達全てです。ビリヤードってやはり感覚のスポーツ。オクトブルーはその感覚の部分にこだわって製作しているので、撞いたらビリヤードが楽しくなること間違いなしです。今まで積層タップしか使っていなかった方もぜひ一度試してみて欲しいと思います。先日ある方からこんな感想をいただきました。「オクトブルーを付けて約3ヶ月になりますが、付けた時から今もずっと最高です! なぜ長い間積層タップだけを使っていたのか考えてみましたが、自分でも理由がわからないです。本当にありがとうございます」。こういった声はよくいただいています。そして、ノーマルシャフトに合うのはもちろんですが、ハイテク系、特にカーボンシャフトとの相性もバッチリです。「カーボンシャフトはキレるしパワーあるけど、ちょっとデリケートで扱いにくい……」、そんな方にもおすすめです。
――使ってみたら良さを体感できる。そんなタップですね。
岩瀬:そうですね。最近とても嬉しい出来事がありました。今インドネシアにお住まいの伝説のプレイヤー・小杉純一さんが、ある日本人の方のキューに付いていたオクトブルーを撞いてとても気に入ってくださり、「今後インドネシアで販売していきたいけど可能ですか?」と連絡をいただきました。今まで全く面識がなかったにも関わらずこういう連絡をいただけるというのは、オクトブルーをそれだけ高く評価してくださったんだなと思っています。とても嬉しいですし、励みになります。
(了)
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