〈BD〉カスタムの輝き・「ポール・モッティ」編

 

カスタムキューを多数取り扱っている

UK Corporation

 

その代表、大原秀夫氏が所蔵している

キューを見ていく本企画。

(※過去記事はこちら

 

今回紹介するのは、

『Paul Mottey』(ポール・モッティ)です。

 

1983年からキューを製作していましたが、

2000年代半ばに引退しました。

製作拠点はペンシルベニア州ピッツバーグでした。

 

モッティキューは王道のクラシカルスタイル。

4剣・6剣・8剣などの剣ハギキューを

中心に作っていました。

 

名キューの誉れ高い『ザンボッティ』の

デザインの影響を受け、踏襲しているため、

ザンボッティフォロワーの

代表的メーカーとしても知られています。

 

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今回のキューは、

3本全て「8剣モッティ」の中古品。

大原氏が今年国内で入手しました。

 

いずれもメイプルベースにエボニー8剣。

剣の根本にはピーコックインレイが

入れられています。

 

製作時期はバラけていて、

トップ画像の一番奥が

「1990年頃かそれよりも前」。

 

バットキャップに「PM」という

銘を入れていた時代のもの。

 

グリップは糸巻き。

スリーブのインレイは、

カメオウィズプロペラ/フォースプリッテッドダイヤ/ドット。

リングはステッチ。

 

 

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トップ画像の中央が2009年製。

 

大原氏いわく

「このスリーブのインレイデザイン

(スピア/ドット/3ライン)は珍しい」とのこと。

 

グリップは革巻き。スリーブにリングはなし。

 

 

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トップ画像の手前が2004年製。

 

メイプルの虎目が見事な1本です。

グリップは革巻き。

 

スリーブのインレイは1本目と同じく、

カメオウィズプロペラ/フォースプリッテッドダイヤ/ドット。

ただ、こちらのリングワークは“Lazy Z”です。

 

 

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大原氏・談:

 

「オークションサイトで今年入手した

3本の8剣モッティです。

 

やっぱり彼の作る

ザンボッティトリビュート的な8剣モデルは、

写真で見ても『おっ、いいなぁ』と

惹きつけられますね。

 

完成されたタイムレスなデザイン。

精巧で美しい仕上がり。

つい手元に置きたくなる魅力があります。

3本全て『For Sale』です。

ご興味のある方はお問い合わせください。

 

『モッティはどれも似通っている』と

言われることもありますが、

こうやって製作時期の異なる3本を

並べてみると、同じ8剣モデルでも

材料、工作精度、インレイ・リングの造形など

あちこちに細かな違いがあり、

歴史の変遷も感じられて、

完全に同じものを作り続けていた訳では

なかったんだなということがわかります。

 

この企画でモッティを取り扱うのは

初めてなので少し紹介させていただくと、

彼はガス・ザンボッティと同郷

(ペンシルバニア州)で、

世代的には一回りぐらい下になります。

 

ガス・ザンボッティからの影響を隠さず……

というか、もろにコピーした作風に見えますが、

モッティはより良い工作機械と材料を用いて

高精度で品質的にもバラつきの少ない

クラシックキューを手掛けていました。

ガスの息子であるバリーが、モッティに

製作のアドバイスを求めたこともあります。

 

モッティはオープンで優しい人柄で

対面で話をしていても気のいい

クラフトマンという印象です。

私は以前直接キューをオーダーしたことが

ありますが、こちらの細かいリクエストにも

気持ちよく応じていただきました。

 

20年ぐらい前に引退していますが、

キューの評価や製作実績などを考えると

『トップカスタムキューメーカー』と

言っていい存在。

 

ただ、彼の場合はどうしても

『ザンボッティのスーパーコピーで有名になった人』

という評価も付いてくるので

そこをどう捉えるかですね。

 

実際には『クラシック』の範囲内で

色々なバリエーションを作っていましたし、

ガス・ザンボッティの時代のキューより、

精度や質を高めたものを提供していたので、

個人的には単なるコピーメーカーではないと

思っています。

 

現在はモッティのもとでキュー作りを学んだ

ジェームズ・ホワイトというメーカーが、

モッティのテイストを引き継ぎながら

より進化させた独自路線のキューを作っています。

 

ジェームズのキューも人気が高く

少量生産スタイルなので、

今はほとんど表に出て来ない状態。

熱心なコレクター/ディーラーと

直接取り引きしているようです。

 

私はアメリカのエキスポの時に

ジェームズとペアを組んで

球を撞いたりしたこともあり、

以前から繋がっているので、

モッティキューのことでわからないことが

あればジェームズに尋ねています。

彼はモッティの鑑定もリペアもできます。

 

ジェームズ・ホワイトキューも

いつかこの企画で紹介したいですね。

キューが手に入ればですが(笑)。

 

話がそれましたが、モッティは今も

高値で留まっているメーカーだと思います。

 

おそらく今はアメリカでも状態の良い

8剣モッティはなかなか表に出てこないでしょう。

この3本をアメリカのコレクターに見せたら

すぐに『おっ、欲しい!』と

言われるんじゃないでしょうか。

曲がりが全然なくて使用感が少ないのも

高ポイントです。

 

ご存知のように

ガス・ザンボッティの8剣はとにかく希少で

とんでもない金額が付いてしまうので

今やほとんど誰にも手が出せませんが、

『スーパーコピー』の

8剣モッティなら頑張れば手に入る。

そういう心理で買われている側面も

正直あると思います。

 

しかし、コピー云々は別にしても、

モッティキューには単純に『ザ・王道』の

かっこよさがありますし、

程度の良い8剣は人気が落ちません。

持っていて損はないと思います」

 

(了)

 

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○ UK Corporation連載企画

『カスタムの輝き』バックナンバーはこちら

 

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