〈BD〉「強気にガツガツ行けました。でも決勝戦だけは……」――『GPE-6』優勝・杉山功起の談話

 

9日(日)に行われた

グランプリイースト第6戦 in 神奈川 BAGUS川崎店』(GPE-6)。

優勝した杉山功起の談話をお届けします。

 

杉山プロはGPEでは初優勝。

プロ公式戦では今年4月の

関東オープン』に続く2勝目です。

 

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――『グランプリイースト』で初優勝を飾りました。

 

杉山:プロ初優勝の『関東オープン』(今年4月)もすごく嬉しかったですけど、グランプリはグランプリでまた違うものですし、今回決勝戦を撞くのが4回目だったので、やっと優勝できて嬉しいです。

 

――グランプリイーストは「優勝者シード」があります。来年(2026年)の第1戦は決勝ラウンド・ベスト16から出られるのも大きいですね。

 

杉山:はい。前回(『GPE-5』)決勝戦で負けた後、「うわっ、もし勝ってたら次(GPE-6)は予選免除だったじゃん」と後から気付いてさらに悔しくなりました(笑)。決勝ラウンドシードはとても大きいです。

 

――今回、2日間のご自身の球の状態は?

 

杉山:2日間を通してシュートはぼちぼち良い感じだったと思います。メンタル的には……「強気にガツガツ行こう」という気持ちで臨んでいて、全体的にはそれが良い方向に出てたんですけど、決勝戦(vs ジュリアン・セラディラ)だけはあまり良くなくて、おかしくなった時もありました。

 

――「強気にガツガツ行こう」というテーマはそもそもどんなきっかけで?

 

杉山:最近海外の大会に出ることが増えてるんですけど、向こうで自分のダメな部分――場面や相手を意識してしまい「勝てるのかな」「大丈夫かな」という不安――が出てしまって弱気になる時がありました。だから、試合中はもっと強気に「ガツガツやって行くよ」というのを、まず身体やテンポで表現しながら気持ちを高めて行きたいと思うようになったんです。

 

――堂々とした姿勢と表情で。

 

杉山:そうです。「俺は入れるし、取り切るよ」みたいな意識で、テンポ良くテーブルの周りを歩いたり、勢いよく入れ続けて行くようにしました。そうしたら、海外で格上の選手と対戦した時も自分に流れが向くことがあったので、その強気なスタイルを今回のグランプリにも持ち込みました。それがまあまあ良い方向に出ていたと思います。

 

――ただ、決勝戦はそうではなかったと。

 

杉山:はい。決勝戦も強気を貫こうと思ってたんですけど、ジュリアンに『GPE-5』決勝戦のリベンジを果たしたいという気持ちと、グランプリ初優勝を飾りたいという気持ちが重なって、強気の姿勢が悪い方向に出てしまったというか、「慌てる」に変わっちゃいましたね(苦笑)。上手く集中できてない場面がありました。

 

――どう立て直したんですか?

 

杉山:BDさんがレポートしてくれた通りなんですけど、「これはガツガツは行けない試合だな」と思って自然にリズムが変わった感じです。意図的にスローダウンした訳じゃなくて、「しっかり頭を回して撞かないと絶対に勝てることはない」と思った結果、ああいう戦い方になりました。

 

――ジュリアンとは今年7月からの4ヶ月で『札幌オープン』(※ランキング非対象)『GPE-5』『GPE-6』という3大会で決勝戦を撞いています。お2人が以前から仲が良いのは知っていますが、杉山プロにとってどんな存在ですか?

 

杉山:すごく良いライバルだと思っています。ジュリアンもたくさん海外の試合に出てるし、現地で一緒になることも多いので、どんどん力を付けて強くなっている姿を見ています。2人で試合の話もしますし、彼の姿勢に影響されているところもあるので活躍が励みになります。直接対戦した時は勝ったり負けたりという感じで来ているので、これからも高め合っていきたいです。

 

――7-5で迎えた決勝戦のラストラック。杉山プロはブレイクで4個入れた後、遠くてフリのある2-10コンビをコールしました。あれはセーフティがメイン?

 

杉山:そうです。ブレイクでたくさん球が入っていてプッシュアウトもセーフティも簡単じゃなかったんで、まず最初は「2番を入れに行こう」と思いました。でも、2番を入れても手球がすぐ横にある4番に当たってスクラッチしそうだなと思ったんです。そうすると、せっかく先にリーチかけたのに一気に危ない展開になってしまう。だから、一応2-10コンビをコールしつつセーフティ重視にしました。もし10番が入ってくれたら最高。外れても手球が短クッションに入ってから3番裏に隠れてくれたら理想的。でも、撞く瞬間に10番を入れたい気持ちが強くなってしまったせいで、全く手球を隠す力加減になってなかったですけど(苦笑)。

 

――その後相手が2番をミスして、杉山プロが2番から取り切って上がりました。上がり際はどんな心境でしたか?

 

杉山:勝つか負けるかが決まる大事な場面だったので、「これは取り切らなあかん。逃したらすぐヒルヒルまで行くな」と。取り出しの2番を入れて手球が3番に出た時にもう道は見えましたね。その後はそこまで難しい球はなかったんで、あまりプレッシャーを感じることはなく取り切れました。

 

――これで年間2勝です。

 

杉山:2021年にプロ入りしてからずーっと初優勝を目指してやってきたので、今回は「あ、もう2回目の優勝ができたんだ」という気持ちもあります。ただ、「勝ち切る」ことの難しさは初優勝の時も今回も感じました。決勝戦で勝つか負けるかはやっぱり大違いじゃないですか。だから、自分はまだ決勝戦になると気持ちの持って行き方やメンタルがどうしてもそれまでとは変わってしまい、良くない方向に行きがちです。でもそれも、決勝戦の経験値を増やしていくしかないんだろうなって思います。相手も強いですから難しいことだとわかってますけど、今回の経験を活かして「決勝戦でも良い試合をして勝つ」というところまで行きたいです。

 

――半年前の『関東オープン』優勝時の談話取材で「課題はセーフティとクッション」と言っていましたが、今回の決勝ラウンドは総合的に見るとそこも上手く撞けていたのではないでしょうか。

 

杉山:ああ、そうかもしれません。前よりもクッションファウルが減ってきてますし、セーフティの選択肢も増えて、より良いチョイスができるようになってきた実感があります。やっぱり世界のトッププレイヤー達と戦うためには、セーフティやクッションができないと勝負にならないです。彼らは当たり前のようにそこを決めてくるし、知識量もすごいので、対戦していて学ぶことが多いです。それは日本のトップの方々も同じです。特に守りの上手いプロの方々は試合の中で僕の苦手な面を突いてきます。「そうやって守るのか」と勉強になります。

 

――次は『全日本選手権』ですね。

 

杉山:はい。来週は『全日本選手権』に出て、12月に中国に行ってきます。先日の『DUYAゴールデンナイン』の選考会で優勝して日本代表になれたので。『全日本選手権』に出るのはプロになってからは今回が3回目。前の2回はベスト16とベスト64でした。今年は最近課題にしているメンタルや守りを意識しながら一つずつ勝ち進んで行きたいです。もちろん優勝を目指して頑張ります!

 

(了)

 

杉山功起 Kouki Sugiyama

2000年10月7日生

出身/在住:岐阜県/神奈川県

JPBA55期生(2021年プロ入り)

アマ時代:

2018年『全日本ジュニア9ボール選手権』優勝など

ジュニア・学生・アマタイトル複数獲得。

日本代表ジュニア選手としても活躍。

プロ入り後:

2022年『ジャパンオープン』3位

2024年『グランプリイースト第2戦』・同『第5戦』準優勝

2025年『関東オープン』優勝

2025年『グランプリイースト第5戦』準優勝

2025年『グランプリイースト第6戦』優勝

プレーキュー:Yiキュー(タップはNavigator オートマティックM)

ブレイク:OROCHI

ジャンプ:Black Jack

 

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