〈BD〉目指すは「最強&最大」。TPA(東京ポケットビリヤード連盟)はどんな連盟? 活動目標は?――新理事長・中野雅之さんと事務局長・清田友衣さんに聞いてみた

 

ローテーションのチーム戦で行われる

年に一度の大一番、『都道府県対抗』

(『全日本都道府県対抗ポケットビリヤード選手権大会』。

毎年6月和歌山開催)。

 

どの県の連盟/クラブも熱心に仲間を応援し、

励まし合いながら戦っていますが、

中でも強い連帯感と情熱を感じさせるのが、

過去3度の優勝を誇る強豪、

TPA(東京ポケットビリヤード連盟)。

 

2003年大会以来の4度目の優勝を目指して

皆が一丸となって戦っています。

 

在籍約50名は、

各県のアマチュアポケットビリヤード連盟/

ローテーションクラブの中でも大所帯の部類。

 

それをまとめているのが

今年1月に理事長になった中野雅之さん。

 

中野さんは、プレイヤーとして

10代の頃から日本トップアマとして活躍。

今年9月にはアマ全国大会『マスターズ』で

また一つ新たなタイトルを獲得し、

その翌週のプロ・アマ混合オープン

ジャパンオープン』では準優勝に輝きました。

 

現在41歳。

プレイヤーとしての個人目標を突き詰める

競技人生もあると思いますが、

中野さんはTPAの理事長という立場、

つまり、組織と大会の運営を担う

“裏方の長”という立場を引き受けました。

 

どんな経緯で理事長になったのか。

TPAの活動目標とそのアプローチは?

など中野さんにお聞きしました。

 

また、事務局長という立場で

中野さんのサポートもしながら

実務をこなしている清田友衣さんにも

ご登場いただき、TPAの概要や

「そもそも連盟員とは?」

というところをお聞きしました。

 

左:事務局長・清田友衣、右:理事長・中野雅之。今年9月『ジャパンオープン』
左:事務局長・清田友衣、右:理事長・中野雅之。今年9月『ジャパンオープン』

 

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◇ TPA理事長・中野雅之

 

1枚目:今年9月『マスターズ』優勝

2:今年9月『ジャパンオープン』準優勝

3&4:2025 都道府県対抗の東京(TPA)A・Bチーム

 

 

――TPAの理事長になった今年、個人では9月に『マスターズ』優勝、『ジャパンオープン』準優勝という結果を収めました。理事長就任効果はあると思いますか?

 

中野:いや、理事長になったから急に上手くなった訳ではないと思いますが(笑)、TPA連盟員を含め、応援してくださる方が以前よりも増えたことはすごく感じていて、それに応えていきたいという気持ちが強くなったのは間違いないです。自分のためというよりもTPAのため、応援してくれている人のために全力を尽くしたい。そういう意識は出てきました。

 

――理事長就任は関係なく、いち選手として今も上達しているという実感も?

 

中野:あります。TPAの月例会・練習会・公式戦など、真剣に撞く機会がさらに増えてきているのは大きいですね。そして、この数年は神奈川の『アロウズ』さんで練習させていただいていますが、オーナーの丸岡良輔プロや常連さん達と切磋琢磨していますので、そのおかげもあります。アロウズさんに行けるのは週2~3回ぐらいですけど、効果的で効率的な練習を継続することを常に意識しています。

 

――中野さんは20代前半でTPAに入り、広島転勤に伴いHPBC(広島ポケットビリヤードクラブ )に在籍。数年前に関東に戻りTPAに復帰しました。TPA在籍年数は合計何年ですか?

 

中野:13年ぐらいです。僕は今41歳ですが、23歳の時にTPAに入り9年ぐらい在籍してから広島に移りました。で、4年前に戻って来ました。もっとさかのぼると、高校時代にMPBA(宮城)、大学時代にKRC(京都)に所属していました。

 

――理事長になった経緯は?

 

中野:簡潔に言えば、前任の松元(洋治)さんが去年で退任することが決まっていたので、去年12月の総会で僕が立候補して承認されたという形です。実は2年ぐらい前にも松元さんから「理事長をやってみないか」と打診されていましたが、その時はプレイヤー1本で行きたい気持ちも強くて一旦見送らせていただきました。ですが、2024年後半に再度打診をいただいた時には「やるべきだ」と思ったんです。僕は今までの人生でたくさんのものをビリヤードから与えてもらったので、ビリヤードの普及や継承という形で恩返しをしたいという気持ちを常に持ち続けていました(※中野さんは勤務する日本精工(株)〈NSK〉で度々ビリヤードイベントを企画・実行してきた)。「理事長を引き受けるのは今なんじゃないかな」と。

 

――組織の要職に就くとプレイヤー1本ではいられないですよね。

 

中野:はい。「球を撞く時間が減るんじゃないか」とは考えていましたし、実際やることが多くて大変に思う時もあります。ただ、それは全て自分の中で消化した上で引き受けたことですし、事務局長の清田(友衣)さんをはじめTPA連盟員が手厚くサポートしてくれて、僕に過度な負担がかからないように気遣ってくれているので問題ありません。試合に出る時は選手でいられます。

 

大変に感じることがある一方で、理事長としてやり甲斐を感じることもたくさんあります。TPA強化のためにゲストプロ・アマを招いて練習会を開催したり、他県のクラブと対抗戦を実施したり、月例会やTPA主催大会用により良い運営システムを構築したり………。僕はビリヤードを始めた学生時代からあちこちに遠征に行ったり、引っ越ししたりしていたので、おかげさまで他県の連盟員との繋がりは昔からある方だと思います。外部とのパイプ役になれると思いますし、内側のまとめ役も自分の務めだと思っています。

 

いずれも2025 都道府県対抗にて

 

 

――「TPA強化」という言葉がありましたが、それはやはり『都道府県対抗』に向けてということですか?

 

中野:そうです。理事長になった時に「最大にして最強のクラブを作る」をスローガンに掲げました。昨年から会員は増えていますし、月例会・練習会・対抗戦をやる中で順調に全体のレベルが上がってきている実感があります。悲願である『都道府県対抗』の4度目の優勝に向けての強化は着実に進んでいると思います。

 

――今年1月に理事長になって半年後、6月の『都道府県対抗』で東京AチームはD組2位(総合9位)。決勝トーナメント進出まであと一歩でした。中野さんはチームの主将としてプレーしていましたが、同時に連盟の代表としての仕事もしていたのですね。

 

中野:そうですね。理事長としてA・B、2チームをまとめる仕事があり、サポートスタッフや応援団の皆さんも含め全員の動きも把握しなければいけませんでした。やることは増えましたが、それは今まで松元さんなど歴代の理事長もやっていたこと。理事長になって初回の『都道府県対抗』だったので慣れない部分はありましたが、来年に向けての糧になったと思います。

 

――中野さんが思う連盟の楽しさや醍醐味は?

 

中野:やっぱり皆で一つの目標に向かって団結して活動するところが魅力だと思います。ビリヤードは個人競技ですけど、『都道府県対抗』は団体競技として取り組める目標なので、連帯感を持ってやれるのが本当に楽しいです。あとは、僕は個人的に飲み会が好きなので(笑)、月例会などの後に皆で飲んで喋って、目標に向かって「よし、やろう!」という一体感が生まれるのがいいですね。もちろんお酒を飲まない方もいますし、強制参加ではありません。

 

――中野さんが理事長の任にある間に実現したいこととは?

 

中野:一番はやはり『都道府県対抗』の優勝です。あの舞台で撞けるのは本当に光栄なことですし、各県の連盟員が思っていることだと思いますが、『都道府県対抗』で優勝することが年間の最大の活動目標です。そのためにどうしていくかを常に議論していますし、予算取りやスケジューリングなど組織運営に大きく関わってきます。自分が理事長でいる間に優勝したいです。そして、『都道府県対抗』以外でも、TPA連盟員やTPAに関わる人たちが「ビリヤード、楽しいな」と思えるようなことを一つでも多く形にしていきたいです。例えば、月例会はもちろんですが、『東日本東京10ボール』など、参加してくださる人達が笑顔になれるような大会をTPAで主催したいと思います。

 

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◇ TPA事務局長・清田友衣

 

いずれも月例会の様子。会場は『ロサ』

 

 

――TPAの概要を教えてください。

 

清田:現在連盟員は約50名。12月を除き毎月月例会を開催し、ゲストを含め毎回40名前後参加しています。月例会の種目はローテーション。リーグ戦にて一人6試合行います。近年は池袋『ロサ』さんのテーブルを15台ほどお借りして、朝10時からお昼休憩を挟みつつ夕方17時頃まで試合をしています。リーグ戦を勝ち抜けた選手で準決勝と決勝戦を行います。決勝戦はプレイヤーも観戦者も緊張感を全身で感じられる瞬間だと思います。 

 

――連盟員はどんな方々ですか?

 

清田会員のレベルも年齢層もさまざまです。全国タイトルホルダーがいれば、B級選手、女性会員もいます。プレー頻度も人それぞれで、毎日のように球を撞く人もいれば、月に一度の月例会を楽しみに参加する人もいます。 入会のきっかけも多様です。『都道府県対抗』への出場を目指す人、レベルの高いプレイヤーと撞きたい人、そしてビリヤード業界に少しでも貢献したいと思っている人……。 違う背景を持つみんなが、「ビリヤードが好き」という気持ちでつながっている感じですね。 

 

――そもそも「県の連盟」とはどんな組織ですか?

 

清田全国各都道府県に一つずつ存在する組織で、各地におけるポケットビリヤードの健全なる発展を主な活動目的としています。月例会の開催のほか、公式戦の企画、運営をしています。 年に1度、連盟員だけが出られる『都道府県対抗』があり、この試合は各都道府県5名で1チームを組み、ローテーション種目で戦うチーム戦です。日本アマチュアポケットビリヤード連盟(JAPA)が主催するチーム戦の全国大会はこの試合だけで、他の試合とは一線を画す面白味のある試合と言えます。『都道府県対抗』に出たくて連盟員になる人は多いです。 

 

――月例会が活動の柱だと思いますが、他にどんな活動を?

 

清田TPAは「最強&最大」のミッションのもとに、月例会以外にも様々な活動も行っています。今力を入れているのは以下の3つです。 

 

――ひとつ目は?

 

清田より魅力的な公式戦を開催することです。 これまでに300名規模の大会(『2025年東日本東京10ボール』)や、A/B級を分けての大会(『2023年東日本東京10ボール』)を開催しました(※東日本東京10ボールの主催はKANPOKE。主管/運営:TPA)。今後も他にはない試合を企画し開催していきます。 

 

――大きい試合だと運営も難しいところがあるのでは? 

 

清田そうですね。TPAは参加人数の多い試合を運営することが多いため、複雑な運営スキルも必要になってきます。現在TPAでは試合運営のシステム化、Web化を進め、効率的で選手目線の試合ができるように心掛けています。運営・進行が楽になることでよりスムーズになりますし、選手からも試合結果等の状況がすぐに見えるようになり、プレーへの集中と熱気が高まるのではないかと考えています。 

 

――2つ目は?

 

清田プレイヤーのスキルアップです。 連盟員/非連盟員の垣根を超えた練習会を実施しています。プロやトップアマをゲストとしてお呼びしたり、皆で討議しながらゲームを行うなど、様々な取り組みを実施しています。 

 

――その会場はロサさんですか? 

 

清田いえ、練習会場は固定せず、複数の店をお借りしています。その店舗を軸とした地域のビリヤードコミュニティの活性化や、ほかのお店を知る/行くきっかけづくりになればとも考えています。 2025年は以下の会を実施しました。 

・鈴木清司プロレッスン会 『オンリーワン』(平井駅) 

・丸岡良輔プロレッスン会 『アロウズ』(鶴見駅) 

・高橋邦彦プロレッスン会 『ポイントサンビリ荻窪西口店』(荻窪駅) /『ステラ』(神楽坂駅)

・練習会 『PARATAMA』(たまプラーザ駅) 

 

――3つ目は?

 

清田ジュニア/学生に向けての支援活動にも力を入れています。 近年では以下を実施しました。 

・『2025年東日本東京10ボール』ベストジュニア/学生賞:賞典 ZAN Tip(斬)様キューケース 

・TPAのジュニア/学生会員の優遇:年会費無料、月例会参加費半額 

・TPAジュニア会員の表彰:宮本琉成選手 2024年『ACBS 9ボールアジア選手権』ジュニアの部準優勝 

2026年はジュニア/学生向けの試合を企画中です。これからも今後のビリヤード界を支えていく世代を応援していきます。 

 

――先日はNBAにもおられる松元さんが、学生イベントを企画されていましたね。 

 

清田はい、松元さんはTPAの元理事長であり、現在も会員です。松元さんの活動には今後も協力していきたいです。。

 

――主な活動以外でも楽しめることはありますか? 

 

清田もちろんあります。 連盟員になると自然と活動範囲も広がります。会員に誘われてホーム以外のビリヤード場に行ったり、他県の連盟員に誘われて都外へ試合に行ったりもします。同じ目標を持った仲間ができることで、自分のモチベーションも上がるのではないかと思います。 また、前述の中野さんの話の中にもありましたが、TPAは飲み会や交流会などコミュニケーションの場が多いのも特徴です。 プレーだけでなく「人とのつながり」も楽しめるのがTPAの魅力です。 

 

1枚目:『アロウズ』で丸岡良輔プロにご登場いただいての練習会

2:『ロサ』での練習会

3&4:飲み会

 

 

――連盟員は大会の運営など裏方の仕事もしなければいけないというイメージもあります。

 

清田はい。その役割もあります。 試合は、運営する人がいてこそ成り立ちます。その裏方を「誰かがやるもの」と思うのではなく、「自分にもできることがある」「自分も支えてみたい」と感じた人……それが、連盟員です。 ビリヤードが好き。だからこそ、その場を守り、もっと良くしたい。 その想いを行動に変えられるのが、連盟員として関わる魅力なんです。 運営は確かに簡単ではありません。けれど、運営がしっかりしている試合ほど、参加していて気持ちのいいものはありません。 私たちTPAは、その“心地よさ”をみんなでつくることを目指しています。「連盟員になったら運営をしなきゃいけない」ではなく、「運営という形でもビリヤード業界を支えられる」と思ってもらえたら嬉しいです。 

 

――TPAに歓迎する人とは?

 

清田私たちの会では、 ビリヤードが心から好きな人、 もっと上手くなりたいと本気で思っている人、 そして、このビリヤード業界をもっと良くしていきたいと思っている人を歓迎しています。うまさや経験よりも、「好き」という気持ちや「一緒に盛り上げたい」という想いを大切にしています。 そんな仲間と一緒に、ビリヤードの楽しさを広げていけたら嬉しいです。 東京開催の月例会への参加が可能であれば、勤務地・居住地は問いません。 まずは、お近くの連盟員か、メール( contact@tpa-web.net )、Facebookメッセージにてお気軽にご連絡ください。(※元プロの方はプロの規定に従います。現在準備中ですが、ビギナーやC級の方も加盟いただける準会員制度も設ける予定です)

 

▶ TPA公式サイト https://www.tpa-web.net/

▶ TPA Facebook https://www.facebook.com/share/1CjXmyqFmN/

▶ TPA YouTube https://www.youtube.com/@tpaonair8661 

 

 

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