2025/10/29

〈BD〉「シュートの不安も雑念もなく集中できてました」――GPW-5優勝・林秀忠の談話

26日の『グランプリウエスト第5戦 in 大阪 DRAGON』

（GPW-5）で、GPWでは2人目となる

アマチュア優勝を飾った林秀忠選手の

談話をお届けします。

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――GPW初制覇。率直なお気持ちを。

林：嬉しいです。お世話になっている川端（聡）プロと決勝戦を撞けただけで感慨深いものがありましたし、自分が勝てたのは嬉しかったです。川端プロにはたまに『SUN』（川端プロの所属店）で撞いていただいていてボッコボコにされてますので（笑）、「よう勝てたな」という気持ちもあります。

――今までGPWに何回出ていますか？

林：たぶん今回が3回目です。前回出たのは去年の『GPW-4 in 大阪 DRAGON』（ベスト32敗退）で、その前ははるか昔です。僕はSBC（滋賀ビリヤードクラブ）に所属しているんですけど、その月例会や対抗戦がGPWとかぶることが多くてなかなか出られません。今回も対抗戦とかぶってたんですけど、年に1、2度しかない大阪開催のGPWだったので、SBCに連絡してこちらに出ました。

――1日で7試合をプレーしました。

林：なかなかないですよね、1日7試合は。もう2試合ぐらいで「しんど」って思ってたんですけど（笑）、たくさんの仲間が決勝会場の『DRAGON』さんに応援しに来てくれて、ベスト16ぐらいからホームグラウンドのような雰囲気で撞かせてもらえたので、身体はしんどいながらも頑張れました。皆の応援が力になったと思います。

――ご自身のプレー内容をどう評価していますか？

林：よく撞けたと思います。『DRAGON』さんは今まではクッションが出てこなくて重たい感じやったんですけど、今回は180度変わってすごく転ぶコンディションでした。クッションはピンピンで（ラシャの）転びも速い。だから、ずっと手球のポジションにちびりながら撞いていた感じです。でも、そのおかげでずっと集中し続けられたと思います。どの試合も終わった時に「あ、勝った。よく撞けてたんやな」という感じでした。

――今回林選手は予選（3試合）も決勝ラウンド（4試合）も『DRAGON』でプレー。そのうち4試合がライブ配信テーブルでした。台への慣れもあったでしょうか？

林：はい、あの台で4回撞けたのはデカかったです。あそこは（客席とスポンサーボードに）囲われていて照明もしっかり当たっていて他とは違う台ですけど、「景色」が合ってきたらそんなに緊張せずに撞けました。いや、むしろ撞きやすかったですね。ポケットは渋いですけど、正直あまりシュートに不安はなかったので、「先球は入るとして手球が転びすぎたらどうしよう」ぐらいでした。

――たしかにシュートに対する不安はなさそうに見えました。

林：サイドポケットに取る球はちょっと慎重になりましたけど、コーナーに狙う球は、よっぽど難しい形は別にして、基本的に気にしてなかったです。

――1日を通して最も印象深い場面とは？

林：ばっちし覚えてるのは、決勝戦で上がり損ねたあの8番です（笑）（※決勝戦第9ラック）。あの時は「あと少しで川端さんに勝てる」という気持ちと、「8番への出しが少し引き足りなくて嫌らしい形になった」という気持ちの両方があって、すごくちびっちゃいました（苦笑）。

――ああ、あの7番から8番のポジションですね。

林：はい、贅沢言えばあとちょっとだけ手球を引きたかった。いざ8番を前にしたらだいぶ嫌らしい形ですごく緊張しました。もっと理想を言えばさらに手球を引いて8番をサイドに取りたかったんですけど、あの7番は真っ直ぐじゃなくてわずかに長フリ（手球が長クッション側へ動くフリ）だったんで、サイドに取るには引き加減がピンポイントになりすぎるなと思ってコーナーに取ることにしました。

――少しさかのぼりますが、決勝戦が始まる前はどんな心境だったんですか？

林：割と冷静で、「勝てる可能性は20%ぐらいはあるかもしれない。0%ではない」と思ってました。でも、第1ラックの6番から川端プロがさささっと取り切った時は「かっこええなー、余裕やん」とちょっとお客さんの気分で見てました。

――そこから林選手が6-2までリードし、先にリーチをかけました（7ラック先取）。その間、どんな精神状態だったのでしょうか。

林：あまり雑念はなくて、ちゃんと集中できてました。気持ち的に大きかったのは途中の4-9コンビです（第4ラック）。その前の2番は少しフリが付いてて嫌らしかったんですけど、上手いこと殺して止められたので「ここやったらコンビ入れれるな」って。あのコンビが入った時に「よっしゃ。状態いいな。行けそう」と思いました。

――第10ラック、川端プロのブレイクノーインから林選手が取り切って上がりました（7-3）。緊張感は？

林：ありました。直前に8番を飛ばしてますし、相手は川端プロなので、「もう一回やったら絶対負ける」と。ブレイクノーインで回って来た瞬間は「まさか」でしたけど、「ここは取らな」と思いました。あのワンラックはプルプルしながら撞いてました。

――ゲームボールを入れた瞬間に思ったことは？

林：「ああ、勝った」です。8番を入れた時点で「行けた」って思ったんですけど、そもそも優勝できるとは思ってなかったんで、逆に一瞬「無」になったというか、「勝っちゃった」みたいな気持ちもありました。でも、会場に来てくれた皆も喜んでくれてたし、本当に良かったです。

――緊張したという決勝戦終盤も含めて、林選手はどの試合のどの場面でも落ち着いて撞いているように見えました。

林：ああ、そうですか。相手によって多少緊張の度合いは変わりますけど、前から僕は試合中もナチュラルで、やることが変わらない方だと思います。普段からほぼ一定の緊張感の中で撞いている感じというか。ハウストーナメントの下の方のラウンドでも緊張はしています。

――ショットや状況を問わずプレーテンポがほぼ一定なことにも驚きました。

林：テンポは前から一定にしたいなと思って練習してきました。緊張する場面でショットを成功させるためにどうすればいいかなと考えた時に「テンポが大事なんじゃないか」と思って。

――そうでしたか。

林：他の選手を見ていて、緊迫した場面になると素振りの時間が長くなる人が結構いることに違和感を感じていました。結果として失敗している人が多いように感じたので、「テンポを崩したことが関係しているんじゃないか」と。もちろん完璧に一定にすることはできないですけど、ある程度一定のテンポで撞けるように意識して練習しました。

――林選手は一般のお仕事に就いているんですか？　日々どんな練習を？

林：はい、一般企業に勤めています。基本的に週6ぐらい撞くようにしてますけど、1回1回の時間は短くて1～2hぐらいです。土曜日とか休みの日は長めに撞いてます。一人練習と相撞きは半々ぐらいですね。

――今後の活動は？

林：11月の『アマローテ』が今年最後の大きな公式戦です。今年は『全日本選手権』（11月）には出られません。来年もアマ公式戦やオープン戦など出られる限りの試合に出ていこうと思っています。また優勝できるように頑張ります。

（了）

林秀忠（はやしひでただ）

生年月日：1987年3月21日

出身・在住：大阪市

所属店：『セクションエイト』（大阪府大阪市）、『ウィリー』（大阪府豊中市）、『アットタイム彦根店』（滋賀県彦根市）

使用プレーキュー：PREDATOR Valour（シャフトはC8、タップはAla Tip Accela1）

ブレイクキュー：PREDATOR BK RUSH

ジャンプキュー：CUETEC Propel