19日の『グランプリイースト第5戦 in 埼玉 WIND』
(GPE-5)で、今季1勝目、
プロ通算4勝目を飾った
ジュリアン・セラディラの談話をお届けします。
ジュリアンは28日からカタールで行われる
『カタールワールドカップ10ボール』
に出場します。
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――約1年3ヶ月ぶりの優勝です。
J.S.:嬉しいですね。今年は海外の試合とかぶりすぎていて国内の試合に出るのは7月の『GPE-4』以来でした。2023年は2回(『関西オープン』&『GPE-4』)、2024年も1回(『GPE-4』)優勝できましたけど、今年はまだ勝ててなくて決勝戦も撞けてなかったので、「今年は厳しいのかな」と思っていたところでした。
――2日間のプレー内容は?
J.S.:どうだろう……予選(土曜日)は普通でしたね。初戦(vs 池田進一)は結構ショットが決まっていて良かったんですけど、2回戦(vs 平口結貴)と3回戦(vs 赤狩山幸男)は……。特に3回戦はイメージが良くなくて難しい試合でした。決勝日(日曜日)は1日を通して自分の状態が良くて全体的に上手く撞けていたと思います。ライブ配信テーブル(※ベスト16と決勝戦でプレー)はポケットが渋くてスピードも読みづらくて難しかったですけど、ある程度対応できたと思います。
――今回はWNT.(ワールドナインボールツアー=マッチルーム)と同じ「9オンフットラック+ブレイクボックス」というブレイクルールで行われました。今の世界標準とも言えますが、以前から練習していましたか?
J.S.:WNT.の試合に出る時はもちろん直前に練習しますけど、普段はそんなにやってないですね。今年WNT.の試合に出たのは3、4回ぐらいで、WPAの試合に出ることの方が多かったかな。普段は9ボールより10ボールを撞くことが多いし、いつもこのブレイクを練習している訳じゃないです。ただ、直近の『ペリオープン』(10月上旬)でこのブレイクの撞き方がだいぶイメージできるようになって安定感が出てきたと思います。もちろんそれがそのまま日本のテーブルコンディションで通用する訳じゃないので、力加減や撞点を調整しないといけないですけど。
――決勝日の初戦(ベスト16 vs 土方隼斗)との試合は接戦でしたが、ベスト8以降の3試合はワンサイドゲームになりました。
J.S.:たしかにそうでしたね。3試合どれも僕のブレイクの流れが良かったし、相手がちょこちょこミスしていたので、こちらが気持ち良く撞ける時間が長かったと思います。
――決勝戦は仲の良い杉山功起プロとの対戦でした。楽しめましたか?
J.S.:楽しめました。反対の山の準決勝が杉山プロと小川(徳郎)プロの対戦だったじゃないですか。2人ともこの2年ぐらいすごく仲良くさせてもらっているので、どちらが上がって来ても決勝戦は絶対楽しめるなと思ってました。「優勝したい」という気持ちもありましたけど、ぶっちゃけ決勝戦が始まった時は全く勝ち負けを気にしてなかったです。杉山プロと決勝戦を撞けることが幸せでした。
――決勝戦も流れはセラディラプロにありましたね。
J.S.:はい。僕は序盤に2回シュートミスをしましたけど、その後はシュートミスはなかったですし、セーフティも悪くなかったと思います。手球のコントロールが難しいテーブルコンディションでしたけど、その割にはいい感じで撞けてました。相手は僕以上にミスをしていたし、流れも良くなかったのでああいう展開になったと思います。
――6-1で迎えた第8ラック。ブレイクが入った時、「マスワリで上がれる」と思いましたか?
J.S.:思いました。でも、取り出しの2番から3番のポジションは、手球が走りすぎて3番がだいぶ薄くなり、その次の5番への出しも難しくなりました。だから、あの3番が事実上のゲームボールという感覚でしたね。「これを入れて5番に出せたら決まりだな」って。
――3番が入って、手球は7番に当たりましたが5番に出ました。
J.S.:トラブルにはならなかったから「もう大丈夫だ」と。上がりの場面はあまり緊張してなかったです。というか、2日間を通してプレッシャーを感じた場面はほとんどなかったかな。
――それは海外でたくさん試合をしてきた経験が活きていますか?
J.S.:それもありますし、そもそも「海外の試合とは規模が違う」というのが一番ですかね。例えば、国内のプロ公式戦に出続けている人はハウストーナメントに出てもそんなに緊張しないですよね。それと同じで、海外の大きな大会にずっと出ていると、国内公式戦でプレッシャーを感じることが少なくなってきます。ただ、それは良い方・悪い方どちらに転ぶこともあります。今回は良い方に出たと思います。
――今年もジュリアンはたくさん海外の大会に出ていますが、成長を実感するところは?
J.S.:いつも同じことを言っている気がしますけど、やっぱりメンタルですね。どんどんタフになってきていると思います。試合では本当に色々な展開を迎えますけど、海外の試合に出続けることでそれぞれの展開のこなし方がわかるようになってきました。展開に対応する力が伸びているなと自分でも思います。
――1週間前の『8ボール世界選手権』では、ダブルイリミネーションラウンドで強豪選手を相手に3連勝。しかし、決勝トーナメント初戦のベスト32で敗れました(17位タイ)。
J.S.:はい(苦笑)。トライアングルラックのレフェリーラックなので(=ラックシートを使って組むラックより球が入りにくく散りにくいので)、ブレイクが計算できなくて難しかったです。皆マスワリや取り切りが当たり前なので、ブレイクが決まれば楽勝だし、決まらないとめちゃめちゃキツい。3位になった(土方)隼斗さんのフルブレイクを見て、「このフォーマットならあれが正解かな」と思いました。ラックが悪くてもあれぐらい強くブレイクしたら入る時もあるよねって。今はどの種目・どの大会でもハードブレイクはセオリーじゃないと思いますけど、今回の『8ボール世界選手権』に関しては隼斗さんのパワーブレイクがド正解だったと思います。僕ももうちょっと強くブレイクできるように頑張ります(笑)。
――次の海外戦は『WPA カタールワールドカップ10ボール』(本戦は10月28日~)。
J.S.:はい、カタールに行ってきます。その後は国内で『GPE-6』(11月9日)と『全日本選手権』(11月19日~)。12月は中国でチャイニーズ8ボールとチャイニーズ9ボールの試合に出る予定です。
――『カタール10ボール』での目標は?
J.S.:ダブルイリミネーションを突破して決勝ラウンド(ベスト64)に行くこと。今僕のWPAランキングは56位で、今後の『世界選手権』などWPAメジャー大会の枠(ランキングシード)がもらえるかどうかギリギリの所なので、少しでもポイントを稼いでランキングを上げたいです。それと、いつも僕なりにノウハウを駆使してリーズナブルに海外遠征をしていますが、それでも旅費はかなりかかります。なので、少額でもいいから賞金圏内に入りたいです。カタールは1回勝てば賞金が出るのでとりあえず1勝したい。負け―負けで日本に帰って来るのだけは避けたいです(笑)。
――最後に、応援してくれている人達に一言。
J.S.:ここ2年ぐらい海外大会を中心に活動していて、結果が出ずに悔しい思いもしてきましたけど、本当にたくさん良い経験ができて成長することができました。そのおかげで今回の『GPE-5』で優勝できたと思います。応援してくださっている皆さん、ありがとうございます。今後も国内・海外両方でより良い結果が出せるように頑張りますので、これからも応援よろしくお願いします。
(了)
Julian Serradilla
1995年9月13日生、スイス・バーゼル出身・東京都在住
JPBA56期生(2022年よりプロ)
2023年『関西オープン』優勝
2023年『グランプリイースト第4戦』優勝
2024年『グランプリイースト第4戦』優勝
2025年『グランプリイースト第5戦』優勝
所属店:『JM』(東京)
使用キュー:プレー、ブレイク、ジャンプ、全てユニバーサル(プレーシャフトはCS+)
キューケース&グローブ:3seconds
チョーク:ハイブリッドチョーク
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