12日(日)の『北陸オープン』で
3度目の優勝を飾った
栗林美幸の談話をお届けします。
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――ゲームボールを入れてその場でぴょんと飛び跳ねていましたね。
栗林:あははは(笑)。ホッとしたって感じでしたね~、あの時は。
――特設会場(JR富山駅新幹線改札前イベントスペース)でのプレーは楽しめましたか?
栗林:楽しめました。去年も撞きましたけど(※ベスト8敗退)、本当にすごくいい所です。私、ショッピングモールとか一般の方がたくさん通りかかる会場で撞くのが好きなんです。例えば『リバーウォーク北九州』(『九州レディースオープン』。現在は非開催)もそう。オープンな空間で試合をするのはワクワクします。今回もたくさんの人が、「あ、ビリヤードの試合やってんじゃん」「すごーっ」「楽しそうだね」って話しながら観てくれたのが嬉しかったし、本当に気持ちよくプレーできました。
ただ、開催が去年より1週間早かったのもあると思いますが、今年はプレーエリアがすごく暑かったですね。去年は寒かったから余計に暑く感じました。特に1試合目が暑くて、汗もかきましたし、頭がぽわーっとしてきて(笑)。ギャラリーがいたところは風が通っていたと思うんですが、テーブルのある場所はほぼ無風。スポンサーのNAOLLYさんが途中で卓上扇風機を用意してくださったので助かりました。
――昨年はベスト8で今年は優勝。昨年と何かが違っていたのですか?
栗林:特にこれというものはないんですけど、テーブルを怖がらずに撞けたかなと思います(日曜日は『Aplus』テーブルを採用)。コーナーポケットは4インチ(ボール約1.7個分)とちっちゃくて、サイドポケットも斜めから入れるのはだいぶ難しいカット(開口部の形状)でした。でも、うちのお店(東京『KULICKS』)の花台の穴幅も4インチなんで景色的には嫌じゃなかったです。それに試合テーブルのラシャはさら(新ラシャ)だから、スピードを合わせたら入るし、引きもかかりやすかったので、割と良いイメージで撞けていたと思います。
――2日間のプレー内容は?
栗林:予選日はネキミスが結構あったけど、シュートしに行って飛ばした球はあまりなかったかな。でも、交互ブレイクの6ラック先取(※決勝ラウンドベスト32と16だけ7先)は誰にでも負けられるフォーマットなので、不安というかドキドキしてました。自分には「交互ブレイクだから必ずブレイク番は来るからなんとかできる」って言いながらやってました。……あ、決勝日に着てたあのゲームシャツ。本来あれは予選日専用で、あれを着て出た予選は今まで一度も負けてないんです。今回もあのシャツで予選を通過しました。今回は「決勝日も着よう」と思って、2日連続で着てみたら優勝できました。このシャツ、無敗記録継続中です(笑)。
――(笑)それはこれからもたくさん着ないと。決勝日はよく撞けたと思いますか?
栗林:そこそこでした。失敗もしてたんで、「良かったー!!」とは言えません。ただ、今課題として取り組んでいるセーフティはまずまずしっかり考えて撞けたかなと思います。守り方のセオリー的なものはある程度わかってますけど、性格なんでしょうね、私は昔から行ける(攻められる)と思ったらすぐ行っちゃうので(苦笑)。「さすがにもうちょっと冷静に考えなきゃな」ということで最近ディフェンス強化月間に入ってます。うちには名手の栗林達(夫の栗林達プロ)もいますので(笑)、教わりながら学んでいます。
――決勝戦は4-0でスタートダッシュ。ゴールまであと2点。「行ける」と思いましたか?
栗林:思ってなかったですし、気持ちの余裕は全くなかったです。第5ラックで1番を空クッションでファウルをした時に「やばい」と思いました。実際相手にそのマスを取られて、焦るまでは行かなかったですけど、「やっぱり6先交互はどうなるかわからない。点差も簡単に詰められる」と思いました。例えば、相手がナイスプレーで1点、その次、自分がブレイク番を落として相手に1点、さらにその次、相手がまたナイスプレーで1点……っていう展開は普通にあるじゃないですか。そうなったら3点差なんてすぐになくなるから。
――しかし、「焦るまでは行かなかった」ということは、割と冷静に戦況を見ていたのでしょうか。
栗林:そうですね。相手を意識することも、変に緊張することもなかったです。誰と当たっても展開一つ、配置一つで流れが変わるのはわかってたから「負けてもしょうがない」ぐらい。だから、もう運勢ですよね。優勝するには運勢がいるし、実際決勝戦は私に運勢があったと思います。ポジションを取りに行って隠れそうになったけど見えたっていう球が2回ぐらいあったので「ラッキーだな」と思ってました。
――上がりの第7ラック。栗林プロはブレイクインの後、1番から2番へのポジションで手球を押しすぎて9番に隠してしまい、空クッションを撞いて一度ターンを相手に譲ります。
栗林:そう、2番は空クッションで当てただけになって、残った配置を見て「ああ、1点取られたな」と思いましたけど、「相手はどうやって取るのかな」「自分ならどうする?」という感じで冷静にテーブルを見てました。それはいつ誰と当たっても同じです。
――相手の5番ミスでターンが回って来ました。残り3球、難しくはない配置でした。
栗林:「これ取らんかったらダメでしょ?」って自分に言いながら撞きました。5番から7番の出しがちょっと弱くて「遠いかも?」と思ったけど許容範囲でした。もっと7番が薄くなっていても下の短クッションを使って出せる形でしたし、慌てずに撞けました。
――2024年7月『全日本女子プロツアー第4戦 in 佐賀 session』以来、約1年3ヶ月ぶりの優勝です。
栗林:今年は決勝戦を2回撞きましたけど(『全日本女子プロツアー第2戦 in 横浜 POOL LABO』と『京都レディースオープン』)、相手がナイスプレーだったのもあって勝てなくて、気付けば佐賀の優勝から1年以上経ってました。「あれ、今年勝ってないな」と。なので、今回勝ててホッとしました。ただ、日本の女子プロ達(6名)が、日程がかぶっていた『女子10ボール世界選手権』(インドネシア・バリ)に出ていて北陸にいなかったのは正直言って大きかったと思います。私もそうですけど、北陸オープンに出ていた皆「チャンスだ」と思ってたんじゃないかなと。
――今年はあと11月の『全日本選手権』と12月の『全日本女子プロツアー in 京都』の2大会。どんな準備をして臨みますか?
栗林:今まで通りです。前から同じですが、「全日本選手権だから」とか「この試合に向けて」みたいなことは考えていないので。普段できることしかできないと思ってるので日々の積み重ねです。
――「セーフティ強化月間」も継続して?
栗林:はい。今回も完全に隠すまでいけない場面も多かったし、結局バンクで攻めちゃった場面もあって(笑)。でも、「はい、どうぞ」みたいな甘いセーフティはしないように心掛けてはいました。隠すのが難しかったり、手球の撞点・スピード・厚みが難しかったりしても、最低限相手が「次に繋げにくい形」になるようなバランスの良い守りは意識できたかなと。今までも一生懸命考えてはいたんですけど、守るということに関してはまだまだ淡白だったなと思います。もっとこだわらないといけないなって。
――最後に、応援してくれている人達に一言。
栗林:今年もあの素晴らしい会場での開催を実現してくださった大会関係者、北陸の皆さん、ボランティアスタッフの皆さんに感謝しています。一般の方が見やすいオープンスペースでの大会は、ビリヤードを広めていく上で大きな影響があると思います。もっとこんな大会が増えてくれたらいいなと思っています。そして、今回もお店(KULICKS)の人たち、スポンサー様、ファンの方々がとても喜んでくれていたので、皆に良い報告ができことにもホッとしました。引き続き応援よろしくお願いします。
(了)
Miyuki Kuribayashi
JPBA37期生
1979年1月13日生
香川県出身・東京都在住
2007年・2008年・2016年『ジャパンオープン』優勝
『関西オープン』6勝(3連覇含む)
『東海グランプリ』3勝
『北陸オープン』3勝
『大阪クイーンズオープン』4勝(※前身大会合わせて)
『九州レディースオープン』3連覇(通算4勝)
『全日本女子プロツアー』7勝
『第1回 CPBA Queens Open in 札幌』優勝
『関東レディースオープン』優勝
2017年『全日本選手権』準優勝
他、優勝・上位入賞多数
使用タップはNAOLLY
所属店:『KULICKS』(東京)
所属・スポンサー:(株)三木、(株)JUST DO IT、(株)NAOLLY
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