2025/10/15

〈BD〉「あそこで撞けただけで幸せな気持ち」――北陸オープン優勝・北谷好宏の談話

11日〜12日（土―日）の

北谷好宏の談話をお届けします。

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――特設会場での優勝。最高の気分だったのではないですか？

北谷：いやぁ、もう……本当に嬉しかったです。今年はまだ優勝できてなくて「難しいかな」と思っていたところでの優勝だったし、久しぶりのオープン戦優勝でもあったので。何よりあの素晴らしい会場（JR富山駅新幹線改札前イベントスペース）で、集中できて良い内容で勝てたのが嬉しかったです。

――昨年は前日予選で敗れて特設会場で撞けず。今回が初でした。

北谷：はい、昨年「ここで撞けるの、いいなぁ」と羨ましく思ってました。「今年は絶対撞きたい」と。実際、あそこで撞けただけで幸せな気持ちでしたし、優勝までできたのは最高でした。

――決勝日は7ラック先取の交互ブレイク。プロ大会のフォーマットではやや短めだと思いますが、プレッシャーは？

北谷：短いと言えば短いですけど、『グランプリウエスト』の決勝ラウンドも基本的に7先なので、あまり気にならなかったです。「9ボールの交互ブレイクならチャンスあるな」と。僕は長かろうが短かろうが気にならないというか、むしろ短い方が合ってるのかなと思う時もあります。北陸に行く前から調子の良さは感じてましたし、ブレイクもそこそこ良かったんで、「バンキングを取ってブレイクさえ決まればなんとかなるんじゃないか」ぐらいの感覚でした。もしマスワリができない配置になっても腐らずにやればチャンスはあるだろうと。うち（北谷好宏・英貴プロ兄弟とその父の北谷好美プロのお店である小倉『淡路』）で作った『AWJ カーボンブレイクシャフト』がすごく良くて、ブレイクに不安がなかったというのも大きいです。

――2日間のプレーの自己評価は？

北谷：2日間を通して球は入ってたし、セーフティも落ち着いて撞けていて、全体的に良かったです。ただ、予選日（土曜日）の初めの2試合はちょっとふわっとしてたかな。3試合目ぐらいからだんだんと良くなっていった感じです。

――念願の富山駅特設会場。朝イチ（ベスト16 vs 鳴海大蔵）から落ち着いて撞けましたか？

北谷：それがベスト16はすごい勘違いをしちゃって……（苦笑）。

――それは……？

北谷：試合前にちゃんと「今日は7ラック先取です」と説明されていたのに、試合中勝手に「8先」だと思い込んでしまって。6点目を取った時（6-5にした時）、もうリーチをかけてるのに「あと2点か。全然持ち時間が足りないな」と無駄に焦りました。それでそのマスの8番を急いで撞いて飛ばしました。勘違いしてなかったら、さすがにあの8番はもっと落ち着いて撞いていたと思います。最後（6-6で迎えた第13ラック）のマスワリも「時間ない時間ない」って思いながら撞いてて（苦笑）。9番を入れたら鳴海さんが立ち上がって握手を求めて来たので「えっ？」ってなってたら「終わりだよ」と。見ていた方々は笑ってましたけど（笑）。

――（笑）そうだったんですね。しかし、焦りながらマスワリで上がり切れるのも、状態の良さを感じさせます。

北谷：決勝日の4試合を通して、飛ばした球は準決勝（vs 稲川雄一）の2、3球ぐらいだったと思います。準決勝のテーブルだけはヒネった時に思った以上にトビが出ていた感じでした。自分のタッチが長過ぎたのかもしれないですけど。

――決勝戦では羅立文と対戦。これまで負け越していて、決勝戦で当たるのは21年ぶり。意識していましたか？

北谷：いや、もうそんなに意識することもなく、「楽しんでやれたら」っていうぐらいでした。あれほどの選手なので、逆にこっちが引き上げてもらって良いプレーができるかもしれない。自分の状態が良いことはわかっていたので、「このまま撞けたら、交互ブレイクだし良い勝負ができるだろうな」と、良い精神状態で臨めたと思います。

――決勝戦序盤は4-0とリード。

北谷：集中できていたし、自分のプレーも良かったと思います。序盤のセーフティ合戦のマス（第2、第3ラック）を上手いこと取れたのがあの展開に繋がったのかなと。

――そこから4-3と1点差に迫られました。焦りは？

北谷：なかったです。前クッションの球（第5ラックの4番）は別として、自分が入れに行った球は飛んでなかったし、追い付かれたとしても必ず自分のブレイク番は来るので、そこを死守できたらっていう。バンキングを取っていたのが心理的に大きくて、「もしヒルヒルになっても最終ラックのブレイクは自分だから」と思ってました。振り返ると、羅プロが4-4にできる4番を外してくれて、あのマスを僕が取れた（5-3にした）のは大きかったと思います。

――最後の2ラック。羅プロがマスワリで差を縮めて来ましたが（6-4）、北谷プロもマスワリを出し返して上がりました（7-4）。

北谷：ブレイク後の配置を見て「行けそう」とは思いました。持ち時間も十分にあったんで「ゆっくり丁寧に、フリも考えながら撞こう」と。でも、実際はそこまで気持ちに余裕はなくて、「フリにこだわって失敗するぐらいなら厚く出して引いとけばいいや」っていう取り方でしたね（笑）。7番→8番がいい例です。まあ、勝手に引けてくる（引きがかかりやすい）コンディションだったから、そんなにフリにこだわらなくてもなんとかなるだろうと。少なくとも球が飛ぶ不安はなかったです。最後の9番だけは手球が土手に近かったんでちょっとドキドキしましたけど。

――今年はあと3試合。『グランプリウエスト』が2回と『全日本選手権』です。

北谷：今年は『グランプリウエスト第2戦』を病欠したのでランキングも結構落ちてしまってるんですけど、それはもう仕方ないので、グランプリはあと2戦頑張って一つは優勝したいですね。『全日本選手権』は……一昨年も去年も予選ラウンドで負けてるんでね（苦笑）。とりあえず決勝トーナメントに上がるのが目標です。今年後半は良い練習ができてるんで、この状態を維持して年内戦いたいです。

――どんな練習をしているんですか？

北谷：最近は積極的に外に出て人と撞くようにしています。今年の前半は人と全然撞いてなくて、そのせいか人と撞く時に不安に感じることが多かった。もう年も年なんで、何もしないで球を入れれる時代は終わったと思ってるんで（笑）、色々と自分から動かないといけないなと思ってます。

――最後に、応援してくれている人達に一言。

北谷：まずは、北陸オープン実行委員会の皆様、運営を手伝ってくださったボランティアスタッフの皆様に感謝の気持ちをお伝えしたいです。あの最高の会場で、「あ！ビリヤードしてる」と言いながら観てくれた多くの一般の方々の前で撞けたことは、ビリヤードに携わる者として本当に幸せでした。ありがとうございました。また来年以降もよろしくお願いいたします。

そして、ずっと応援していただいているsessionの中村さん、スポンサーの皆様、ありがとうございます。以前からご支援いただいているNAOLLYの井上さんと石井さんに、ようやく優勝するところを会場で見届けていただけたことも嬉しかったです。他にも、お店（淡路）の皆や家族にも支えられてプロ活動ができていますし、勝ったら喜んでくれる人がたくさんいるのはとても幸せなことだと思っています。最近はますます応援してくださる方が増えてきていて嬉しく思います。あと何年一線で闘えるかわからないけど、この結果に奢ることなく励んでいきます。引き続き応援よろしくお願いします。

（了）

Yoshihiro Kitatani

1975年12月19日生

JPBA34期生・福岡県在住

2003年&2019年『東海グランプリ』優勝

2013年&2025年『北陸オープン』優勝

グランプリウエスト（GPW）では優勝12回

（『西日本男子プロツアー』時代含む）

他、入賞多数

『淡路』（福岡）所属

キューは一式全て：『AWJ』（プレーキューのタップはNAOLLY M）

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