ベトナム・ハノイで開催中の
WNT.系9ボールイベント『ハノイオープン』。
本大会に参加していた
(ダブルイリミネーションラウンド・
敗者最終で敗退)
日本人WNT.プロ、吉岡正登プロより
現地の様子を教えていただきました。
※10月4日掲載の
『ペリオープンの裏側』の続編です。
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吉岡正登・記:
ハノイからこんにちは。吉岡正登です。『ハノイオープン』参戦記をお届けします。
◇ 台風を避けてダナンからハノイへ早めの移動
僕は2年ぶり2度目の『ハノイオープン』参戦です。前回は地元・大阪(関西国際空港)からハノイに向かいましたが、今回は『ペリオープン』開催地のダナンから空路で約1時間ほどでハノイに着きました。
当初は大会前日の10月6日にハノイ入りする予定でしたが、台風が接近し、まさに6日頃にハノイを直撃するという予報が。無償でのフライト変更はもうできなかったのですが、それでもなるべく早く移動した方が無難だということで、ペリオープン敗退後すぐの10月4日(ハノイオープン3日前)のフライトを取り直しました。イレギュラーが発生した時に、航空券やホテルがそこまで高くない国・地域は柔軟に対応ができるのでかなり助かります。
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早めにハノイ入りしたので、もともと抑えていたホテルとは別のホテルに2泊しました。
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◇ 現地球屋で練習×2
10月5日(大会2日前)は完全にフリーだったのでハノイのビリヤード事情をリサーチしつつ練習デイにあてました。2年前ハノイに来た時に、新しくオープンしたテーブル台数の多いビリヤード場を2軒聞いていたので、そちらに行ってみることに。
まずは『SAMビリヤードアリーナ』というお店。日曜日のお昼に伺いましたが、若い男性客でとても賑わっていました。2列で14台ほど並んでいる区画が4つ。それだけで56台です。帰り際に気づいたのですが、裏にもう1区画あって全部で70台ほどのお店でした。ちょっとしたハウストーナメントでもやっていたのか運営席らしきものも。僕は1時間半ほど1人で練習し、ゲーム代は約360円。ほとんどのプレーヤーがハウスキューでプレーしていました。
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2軒目は『パラダイスビリヤードクラブ』へ。地図で見ると綺麗なショッピングモールの中にあります。看板を発見! しかし、店舗スペースはうす暗いので中を覗いてみると、テーブルが設置されていた名残はありますが、明らかに閉店していました。ちなみに『ペリプールアリーナ ハノイ』というお店もあったのですが、こちらはネット情報ですでに閉業とのこと。やはり流行り廃りが激しいのか、新規店舗が増えている一方で閉業するお店も多いのでしょう。
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仕方がないのでGoogleマップで付近を検索すると……すぐ近くに別のビリヤード場を発見。ハノイ中心地にはタクシーで行ける範囲で30~40軒ぐらいお店がありそうです。
ということで、2軒目は『MP POOL ARENA』。1フロア11台のお店で、1台だけ空きがあったのでそこに通されました。やはりこちらもハウスキューの若者達で賑わっていました。1軒目よりもテーブルコンディションが良かったので、少し長めに練習しようと思っていたら、常連の方に声を掛けてもらいました。彼はフォンさんと言い、愛知県で仕事をしていた関係で少しだけ日本語が話せました。
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そして、お店のオーナーさんも紹介してもらい、なんと2階にはラッソンテーブルが12台あることが判明。ハノイオープンに向けてラッソンで練習したかったのでそちらに移動させてもらいました。ポケットも狭かったのでとても良い練習ができました。ゲーム代は2時間半で約850円。大体相場と同じぐらい(1テーブルの値段だと思います)。日本の感覚だと1人撞きでも少し安く感じますね。
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もともと予約していたホテルへ大会前日(6日)に移動。ここは関西のアマチュア選手、田中(裕也)さんと當山(全哉)さんとシェアさせていただくことに。去年できたばかりの高層アパートメントタイプの宿で、キッチン付きの広い部屋です。田中さんと當山さんは台風の影響で遅れはしたものの、大会前日の夜に無事に到着。翌日の試合に備えて就寝したのですが……
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◇ DAY1。台風で開催遅延
大会初日(7日)。明け方、ものすごい雷の音で起床。雨もきつくて窓の外を見ると……大荒れの光景が。台風に伴う豪雨により道路が冠水状態に。ちょうど1週間前にも別の台風で同じ状況になっていて、ジュリアン・セラディラプロが被害に遭っていましたが、まさか今回もこうなるとは。
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ひとまず周りの道路の様子をチェックしてみましたが、僕たちが泊まっているアパートが並ぶ区画から外に出るには股下ぐらいの高さにまでなっている水たまりを越えなければならず、車も入って来れないような状況でした。
茫然としつつ、とりあえず会場に行く術を模索。濡れるのを覚悟で試合用の服をリュックで担いで40分の道のりを歩く?(泳ぐ?) タクシーを呼び続けて来てくれるのを願う? バスは走っていたので、とりあえず会場に近づけるように乗ってみる? しかし、バス停に行くにしても巨大な水たまりを越えなければなりません……。途方に暮れていると、運営から「開催遅延」の一報が届きました。助かったーと思いました(笑)。
同じアパートにF・ゴースト選手や複数の台湾選手達も泊まっていましたし、おそらく多くの選手から「会場に行けない」というような連絡が運営に入っていたのでしょう。結局、初日のゲームが全て延期となる前代未聞の事態に。
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余談ですが、この日、當山さんの部屋は浸水被害に遭いました(汗)。僕らの部屋は41階建ての23Fでしたが、窓の隙間から雨が吹き込んで来たのか……?? このアパート、建物全体や1階エントランス、廊下などはすごく綺麗に見えるのですが、よく見ると室内は結構雑な造りになっていて、汚れも目立っていました。ちなみにアリさんもいました。チェックインの際にはまだ掃除が終わっておらず、子連れのハウスキーパーさんと鉢合わせたりと、全てにおいて想像を超えてくる物件でした。
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◇ 翌日仕切り直しの出陣
翌8日。まだアパート前の水たまりは残っていましたが、試合は行われるという連絡がありました。Grab(ライドシェアサービス)で車を呼ぶと、いつもより配車に時間は掛かりましたが、何とかアパート前まで来てくれそう。建物の前の水たまりをテーマパークのアトラクションかのように進んで陸の孤島を脱出! 試合会場周辺はもう水たまりもなく普通の光景。しかし、所々にある深い水たまりをモノともせずにバイク集団が移動する様を見て、ベトナム人のタフさを思い知らされました。
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◇ 活気と熱気あふれる会場
会場(『ハノイインドアゲームズ体育館』)は2年前と同じ場所。そして、テーブルレイアウトも全く一緒でした。しかし、唯一違いがあったのはビリヤード関連のブースの数が増えたこと。近年のビリヤードブームによりベトナムのメーカーや業者が活況なのでしょう。
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テーブルはメインTV台の「TTV」を入れて32台。全てラッソン(RASSON)です。会場の暑さ、湿気、そして4インチポケット(ボール1.7個分の狭い穴幅)も相まって、WNT.メジャー大会のテーブルセッティングの中でも1、2を争うタフなコンディションだと感じました。みんな手こずっている様子でした、一部のトップ選手を除いては。
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◇ ハノイも食には困りません
田中さん、當山さんと一緒に日本食レストランへ。牛丼定食は600円ぐらいで普通に美味しかったです。泊まっているアパートの別棟には多数の飲食店が入っているので、陸の孤島になった時でも安心でした。ベトナム生活もダナンからの2週間目なので、少しベトナム料理から離れて韓国料理や味噌ラーメンを食べたり、Grab Food(フードデリバリー)でカツ丼の出前を取ったりしていました。全て美味しかったです。
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◇ 自分の試合について
今年のWNT.メジャー大会では鬼門となっている初戦。今回の相手はベトナムのダンタンキエン選手。数年前まで『ワールドカップオブプール』でベトナム代表として出場していた選手です。今回が初対戦でした。
4-4まではお互いブレイクを掴みきれないまま一進一退。そこから流れが一気に相手に行き、4-8でリーチをかけられる。何とかしのいで6-8。次のラックでゲームボールをミスしてくれて7-8、からの次は1-9コンビでついにヒルヒル!! ラストブレイクは会心の一撃でマスワリ上がりで大逆転でした。
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勝者2回戦はWNT.ランキング1位でトップシードのF・ゴースト選手。奇しくも2年前の『ハノイオープン』でも対戦し、敗れていたので、その時のリベンジに燃えていたのですが、バンキングに負けて2連マスからのエースでいきなり0-3。次ラックでチャンスを得たのですが、ポジションが近寄らずに8番をミス。
ゴースト選手はブレイクも確実に決めてくるのでなかなかチャンスが来ず。その後何とか2点返せましたが、追い詰める所までも至りません。やはりこちらのプレーにちょっとした綻びがあると、ジャンプやコンビで攻略されて得点に結びつけられます。隙がない。
いや、全くない訳ではないので、もう少し戦えたなというイメージは持てるのですが……なかなかこの差を埋めるのは難しいです。本当に自分の120%をぶつけてやっと良い勝負ができるような感覚。とはいえ、TVテーブルでも臆することなく自分のプレーは出来ていたので、敗者側へ気持ちを入れ替えていきました。
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敗者2回戦はベトナムのグエンバオチャウ選手、3回戦はインドネシアのA・アンギト選手にそれぞれ勝ちを収められましたが、テーブルがますます難しくなってきていてミスも多く出るので、調子はなかなか上げられず。それでも敗者最終まで漕ぎつけられたので、後は気力を振り絞ろうと臨みました。
最後の相手はベトナムのグエンホアンフォン選手(2枚目)。顔は見たことがありましたが初対戦でした。この試合もやはりお互いに行ききれずに取って取られての展開に。しかし、要所のセーフティ合戦でことごとく相手に良い流れになり、常にリードされていました。終盤も流れを引き寄せることができずに6-9で敗戦。
本当にこの敗者最終だったり、賞金圏内直前の試合というのがなかなか勝てません。この壁を乗り越えられたらまた違った景色が見えるはず……と信じて、またイチから出直したいと思います。
しかし、試合を重ねれば重ねるほどに改めて感じますが、このハノイオープンのコンディションは世界のメジャー大会の中でも1番ではないかというほどにタフです。何度穴カタを経験し、目にしたことか。そこら中で死闘が繰り広げられていました。おまけに会場全体が空調が効いておらずに暑い。日本のプレーヤーも一度はこのメジャー仕様のセッティングとベトナムコンディションを経験してもらいたいと思います。きっとビリヤードの概念が変わります。
(了)
※『ハノイオープン』の前の
『ペリオープン』のちょっと裏側はこちら
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※吉岡プロのSNSでも現地情報が発信されています。
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※吉岡プロの海外遠征裏側シリーズはこちら
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