〈BD〉「ICCS2025 in チャタヌーガ 後編 初日・最終日」――Detective “K” season 9 episode 8

 

私の名はDetective K。

ビリヤードキューの調査を引き受ける探偵だ。

 

2025年9月4日~6日に開催された、

超高級キュー展示・販売イベント、

『インターナショナル・キュー・コレクターズ・ショー』

(以下ICCS)。

 

現地速報」編と

前夜祭~初日」編に続き、

開催日初日・最終日の様子をレポートする。

今回が最終回だ。

 

******

 

◇ 9月5日(金)午後1時

 

いよいよICCSの内覧会スタート。

 

といっても、

テープカットや開会宣言などなく、

何となく始まるのはいつものこと。

 

関係者だけなので、展示ブースを離れて

会場内を見て回っても安全。

あちこちで会話の輪が広がる。

 

キューの購入や注文、

コレクター同士のトレードも

話し合われているに違いない。

 

 

キューメーカーの数は13。

 

アラスカのベテランキューメーカー、

トーマス・ウェインの参加が予定されていたが

体調不良のためドタキャン。

超絶作品を期待していただけに残念だ。

 

 

1枚目:Beasley Custom Cues

2:Bob Owen Custom Cues

3:John Bender Cues

4:Richard Black Custom Cues

5:Treadway Custom Cues

6:Capone Custom Cues

7:Vigus Cues

8:Eddie Cohen Custom Cues

9:Shelby Custom Cues

10:pfd Studios

11:Durbin Custom Cues

12:Exceed Cues

13:McWorter Custom Cues

 

******

 

キューメーカー以外にはこの4つのブース。

 

 

1枚目:Jill Hawk Cue Cases(キューケース)

2:Quiverz Sport Cases(キューケース)

3:Dung Dang Display Cases(キューキャビネット)

4:Sandra Brady(スクリムショー専門アーティスト)

 

******

 

コレクターは全米各地から

24名が参加して展示。海外コレクターの

ブースがなかったのが少々残念だ。

 

それぞれ独自のテーマで

コレクションしていることが分かる展示。

同時に、コレクターの手から手に渡っている

キューに再会し、その消息を知ることが

出来るのもICCSの魅力だ。

 

 

そして、「コレクターズ・チョイス」の

投票が行われた。

 

これは、各キューメーカーが1本ずつ

新作をエントリーしたものの中から、

最高の1本を出席コレクターが選ぶ賞。

 

キューメーカーにとって大変名誉な賞で、

翌日夜の晩餐会で結果発表となる。

 

コレクターズ・チョイス
コレクターズ・チョイス

 

******

 

さて、気になるのがスペシャルコレクション

「エレガンス・イン・シルバー&ホワイト」

キューのオークション。

 

「エレガンス・イン・シルバー&ホワイト」
「エレガンス・イン・シルバー&ホワイト」

 

コレクターたちは、

狙いを付けた作品に、あいさつ代わり

(宣戦布告とも言うが)の入札を行う。

オレも爪あとを残すため、数本入札。

 

システムはいたってシンプル。

オークションマスターに

入札価格を告げると、ノートに記録され、

掲示ボードの価格が更新される仕組み。

 

掲示ボードは無記名で、

誰が入札しているかは分からない。

 

まあノートをチラ見すると、

誰が入札しているかが分かってしまうのだが、

それは見て見ぬフリ。

 

入札締切りは、明日の午後3時半。

誰が落札するのか楽しみだぜ。

 

初日は静かに午後5時終了。

会場撤収後、食事や玉撞きを各自楽しむ。

 

ホテルのバーラウンジは夜遅くまで大賑わい。

オレはBDへ速報レポートを送らねば眠れない(笑)。

 

******

 

◇ 9月6日(土)朝

 

ICCS最終日の朝は早い。

 

キューメーカー、コレクターそれぞれ

別室で朝8時半開始のミーティング。

 

オレは寝落ちしないようコーヒーを飲みつつ、

コレクターとして出席。

 

全員寝不足ながらアツいコレクターズミーティング
全員寝不足ながらアツいコレクターズミーティング

 

コレクターの議題は、主にICCSのあり方。

きわめて民主的に、

次回開催地や時期などが話し合われる、

 

詳しい議題は省略するが、

コレクターの世代交代をどう進めるか、

という問題提起があった。

 

すぐには解決しないテーマだが、

若い世代にキューの魅力をどう伝えるか、

そのためにICCSは何をすべきかを考えるべき、

という意識がコレクター間で共有されたことは

重要だとオレは思う。

 

******

 

◇ 9月6日(土)午後1時

 

いよいよ一般公開開始。

20ドルの入場料を払えば、

誰でもこのカスタムキューの世界に

足を踏み込むことが出来る。

 

地元チャタヌーガのプレイヤーやファン、

各地から集まったコレクターたちで

あっという間に会場が埋まる。

 

そして生きる伝説、ジナキューの

アーニー・ギュテレスも来場。

熱気を帯びてくる。

 

コレクターの1967年製ジナキューをチェックするアーニー・ギュテレス
コレクターの1967年製ジナキューをチェックするアーニー・ギュテレス

 

すでに製作を止めたと言われていたが、

熱心なコレクター筋からの注文は

受けているらしく、

複数のブースで最近の作と思われる

ジナキューが何本も並んでいた。

そう簡単には引退させてもらえないらしい。

 

******

 

一般公開日の目玉は、

ICCS恒例「グランド・コレクション」。

 

キューメーカー、コレクターが

至高の1本を持ち寄り、

半日だけの「大コレクション」を形成する。

 

People’s Choice候補作品となるGrand Collection
People’s Choice候補作品となるGrand Collection

 

そして、入場者がその中から1本を投票で選び

「ピープルズ・チョイス」賞が決まる。

 

出展メーカーやコレクターの「受賞するかも」

というドキドキ感を煽るのもICCSの特徴。

とはいえ今回は35本ものキューが並び、

競争率は高い。

 

ドキドキといえば、オークション中の

「エレガンス・イン・シルバー&ホワイト」

コレクション。

 

午後2時過ぎから入札件数が増え始め、

掲示ボードを見るたび心拍数が上がる。

入札しているコレクターは行動が怪しい(笑)。

「コイツがライバルか」とすぐ気づく。

 

数本入札していたオレは、

途中で1本に絞って応札を続けた。

 

締切10分前の午後3時20分になると、

落ち着かない入札者たちが集まってくる。

 

残り5分となると、

終了直前の入札があるかもと心拍数が上がる。

 

しかし、入札合戦のようなことは起きずに、

すんなりと3時半に締切。

11本中8本が落札された。

 

その後は和気あいあいとした雰囲気で、

午後6時にイベント終了。

いつもの事だが、撤収時には寂しさを覚える。

 

******

 

◇ 9月6日(土)午後7時

 

ICCSのイベントも

残すところ晩餐会と表彰式のみ。

 

まずは、キューの美術品的発展に尽力した

人物に贈られる「トレイル・ブレイザー」賞。

 

Trail Blazer賞のジェリー・マクウォーター。両脇はICCS主催者グループ(左側はJasonとMatt, 右端はSean)
Trail Blazer賞のジェリー・マクウォーター。両脇はICCS主催者グループ(左側はJasonとMatt, 右端はSean)

 

初日に紹介された

『ショーケース・オブ・アメリカン・キューアート』

『ギャラリー・オブ・アメリカン・キューアート』

の開催に尽力していた

ジェリー・マクウォーターと、

トーマス・ウェインに贈られた。

あらためてトーマス・ウェインの欠席が惜しまれる。

 

そして、投票結果の発表。

まず、「コレクターズ・チョイス」賞は

シェルビー・ウィリアムズ。

 

Collector’s Choice賞のシェルビー・ウィリアムズ
Collector’s Choice賞のシェルビー・ウィリアムズ

 

オークションにかけられ、

オレが応札をあきらめたキューだ(涙)。

入賞は当然……と思うことにする。

 

「ピープルズ・チョイス」賞は

ピート・トンキン。

 

1枚目:ピープルズチョイスは左から3番目のピート・トンキン。コレクター、Phil Windomが所有している

2:コレクターのPhil Windom

 

 

すでに新規受注を終了している

ピート・トンキンだが、

未だに高く評価されていることが分かる。

 

オーナーは、なんと

『チャタヌーガ・ビリヤード・クラブ』

オーナーのフィル・ウィンダム。

めでたしめでたしだ。

 

表彰式終了後は、

別れの挨拶を交わした後も

結局ラウンジやバーで延長戦。

夜遅くまでキュー談議に花が咲いた。

 

******

 

キューを愛でるだけでなく、

参加者がコレクションのあり方を

真剣に考える場でもあるICCSだが、

参加コレクターの高年齢化

(オレもその一人だが)が

進んでいるのも事実。

 

若いコレクターを増やし、

参加してもらうことが発展のカギだろう。

 

「キューの魅力を伝え、

受け継いでもらうために何が出来るのか?」

を考える場として、

次回のICCSも参加するつもりだ。

 

これからもよろしくな、BD!

 

******

 

◇ 2025 ICCSレポート

 

・9/6 現地速報

・9/17 前夜祭~初日

・9/24 初日・最終日(本稿)

 

******

 

Detective Kとは? 過去記事は?

こちら

 

Tシャツ、スマホケース、パーカーなど、

Detective KグッズやBDグッズ販売中

→ https://suzuri.jp/BD

 

ーーーーーー

 

BD Official Partners :  

世界に誇るMade in Japanのキューブランド。MEZZ / EXCEED 

国内外著名ブランドのビリヤード用品販売中。Billiard Square

創造性と匠の技が光る伝統の国産キュー。ADAM JAPAN 

ビリヤードアイテムの品揃え、国内最大級。New Art 

ビリヤード台・用品のことなら。レッスン場「Poche」併設。日勝亭

カーボン繊維構造REVOシャフト発売中。PREDATOR JAPAN

徹底した品質の追求。信頼できる道具をその手に。KAMUI BRAND

川崎と横浜でビリヤードを楽しむ・習う・競う。MECCA 

人気ブランドから希少品まで。カスタムキューなら。UK Corporation 

国内外トッププロが信頼を寄せる国産積層タップ。斬タップ

創業80年。品質と品格、情熱のイタリアンキュー。LONGONI

徹底的なプレイヤー目線でできたJapanタップ。NISHIKI PREMIUM TIP

世界が注目。東京発のキューケースブランド。3seconds

トリファイドシャフト&カスタムキュー好評発売中。早川工房

全てのビリヤードプレーヤーに良い革を。NAOLLY

HOW(ハオ)、Unlimited、Owlなど取り扱い中。SHOP FLANNEL

13都道府県で開催。アマチュアビリヤードリーグ。JPA

極上の撞き味を今ここに。国産牛革積層タップ。BIZEN TIP

カスタムオーダーシャフト『focus1』新登場。Geezシャフト

最終第9巻発売中! ビリヤード漫画『ミドリノバショ

首都圏中心に洗練されたビリヤード&ダーツ店舗を展開。 BAGUS

 

 

<<<前の記事   次の記事>>>