カスタムキューを多数取り扱っている

UK Corporation。

 

その代表、大原秀夫氏が所蔵している

キューを見ていく本企画。

（※過去記事はこちら）

 

今回紹介するのは、

『Capone Custom Cues』

（カポーン）です。

 

カポーンの代表は、

Mike Capone（マイク・カポーン）。

製作拠点はメリーランド州プールズビル。

 

1990年代前半からキューを製作。

長いキャリアを誇るメーカーであり、

現在はACA（American 

Cuemaker's Association）の

会長も務めています。

 

アメリカでは著名メーカーと

言っていいカポーンですが、

日本にそれほどオーナーは

多くはいません。

 

ーーーーーー

 

今回のキューは、

今年（2025年）完成した新作。

 

4月の『スーパービリヤードエキスポ』

（SBE。アメリカ・ペンシルバニア州）の

カポーンブースで

大原氏が直接購入したものです。

 

フォアアームは

アンボイナバールウッドをベースに

エボニー4剣。

 

剣の根本にはダガーの

インレイが入れられています。

 

ベニア（色板）は内側から

白・黒・オレンジ・黒・赤紫・黒。

 

このベニアが剣と剣の間にも

入れられている上に、

リングにもあしらわれています。

 

スリーブはエボニーベースで

スピアインレイが8箇所に。

 

どちらかと言えば

シンプルなデザインが多い

カポーンにしては、

凝ったキューだと言えるでしょう。

 

 

大原氏・談：

 

「今年4月『スーパービリヤードエキスポ』で

購入したキューです。

 

カポーンと知り合って随分経ちますが、

実は今まで1本も購入したことが

ありませんでした。

 

このキューはエキスポ2日目に

カポーンブースを眺めていて、

『なかなかいいのがあるな』と

ファーストインプレッションで

気に入ったものです。

 

私の好きなアンボイナバールウッドが

使われていたのもポイントでした。

 

ただ、掲げられていた金額は

ちょっと高いなと感じたので、

カポーンに『もし最終日まで残っていたら

この金額で売ってくれないか』と

結構キツめの交渉をしました。

 

最終日にカポーンブースを訪れると

このキューは残っていて、

カポーンも『ヒデオが言った金額でOKだ』と。

そうして入手することができたという訳です。

 

このキューはFor Saleです。

価格は応相談ということで。

 

私が20年以上カポーンを1度も買ったことが

なかった理由は……、

 

まず、カポーンの人柄もあるかもしれません。

彼は良く言えば実直すぎる。

悪く言えば押しが弱い。

単純に言えば、セールストークなど

営業全般が上手くありません。

私も熱心に売り込みを

かけられたことは皆無です。

なので、『まあ、お付き合いもあるから……』

とキューを買う流れになったことも

ありませんでした。

 

もう一つは、あくまで私の視点ですが、

カポーンの作風は人柄と同じく実直で、

どちらかと言えば素朴でシンプルな

キューが多いのが特徴。

 

逆に言えば、

『パッと見てカポーンとわかる何か』や

『カポーンならではの魅力』が

薄いように感じています。

 

他の著名メーカーや大御所のキューを

イメージしていただければわかると思いますが、

人気メーカーには代名詞と言えるような

デザインやそれを入れたモデルがありますが、

カポーンにはこれというものがありません。

 

そういった理由から

長年カポーンには手が伸びなかったのですが、

このキューは、『カポーンらしい』とか

『個性的』とまでは言えませんが、

カポーンにしては凝った作風で

キュー作りへの意欲を感じました。

少なくとも今年のカポーンブースの中では

最もゴージャスなキューでした。

 

4剣スタイルはカポーンでは定番ですが、

このモデルは剣の根本の造りや

剣間の飾りなどにモダンな要素も取り入れ、

リングなど細かく作るところはきっちり作りつつ、

全体としては綺麗にまとめられた

気品あるデザインだと思います。

 

ちなみに、今では他のメーカーも

だんだんそうなってきていますが、

標準シャフトは1本だけ。

ハイテクシャフトなりカーボンシャフトを

自分で用意するお客さんが増えているので、

純正ノーマルシャフトは1本付ければ

十分という風潮になっています。

その標準シャフトも先角が短い

ローディフレクションタイプです。

 

そんなカポーンは、今はACAの会長として

キューメーカーを統括する立場に就いています。

とにかく遠慮がちで、

目立つことはしないカポーンですが、

同業者仲間からの信頼が厚いのは

間違いありませんし、

世代的にも古参メーカーに

なってきているということです。

 

このキューのように、これからも

意欲的な作品を発表してくれることを

期待しています」

 

（了）

 

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○ UK Corporation連載企画

『カスタムの輝き』バックナンバーはこちら

 

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