8月24日(日)東京・早稲田の
ビリヤード場『イナホ』で、
『第1回 BIZEN CUP』が開催
(主催:有限会社 誠翔建設、イナホビリヤード)。
これは、牛革積層タップを
製作している国産ブランド、
『BIZEN TIP』(ビゼンタップ)の
誕生6周年を記念したイベントでした。
プロ・アマ32名が、
10ボールのシングルトーナメント
(ハンデ戦)で競い、
神奈川トップアマの小宮裕樹が、
決勝戦でBIZEN契約プロの
東條紘典を破って初代王者に輝きました。
1枚目:右:優勝の小宮裕樹、左:準優勝の東條紘典
2:ベスト16戦の途中、選手・スタッフで記念撮影
3:大会ポスター
本大会は「招待制」、つまり
有資格者だけが出られるトーナメント。
BIZEN TIP契約プロの他、
・BIZEN TIP公式サイトアカウント登録者
・『イナホ』所属選手
・メインスポンサー・橋村秀光氏推薦選手
のいずれかに該当する選手が対象でした。
内々で開催告知をしたところ希望者が殺到し、
32枠はすぐに埋まったとのこと。
注目を集めた理由の一つは、
「エントリーフィー無料」
であるにも関わらず、
しっかりとした賞典が
用意されていたことでしょう。
BIZENタップ開発者であり、
イナホの店長でもある苫野裕氏は、
「6周年を皆で祝うファン感謝デー的なイベントですが、ただ集まって試合をするのではなく、この機会に僕の理想とするビリヤードトーナメントを追求したいという思いがありました。僕の考えにメインスポンサーの橋村さんが賛同してくださり、ご協賛をいただけたおかげで『参加費無料』で開催することができました」
と語ります。
BDも大会を見学したのですが、
参加者の本気度がかなり高く、
緊迫感ある雰囲気だったことに驚きました。
『イナホ』はテーブル4台の小規模店舗。
参加人数は32名なので、
規模的には一介の「ハウスイベント」ですが、
まるで公式のオープン戦のような
ピリついた空気感がありました。
どうしてこの大会を企画・実行したのか。
BIZENタップ開発者、苫野裕氏と
スポンサーの橋村秀光さんに
開催日にお話を聞きました。
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――そもそも橋村さんと苫野さんはどのようにして出会ったのでしょうか?
苫野:1年半ぐらい前にここ(イナホ)に橋村さんが来られました。橋村さんがビリヤードに復帰されてしばらく経った頃で、色々なお話をさせていただきました。
橋村:私は30年ぶりにビリヤードに復帰し、趣味としてまた打ち込むようになりました。でも、思うように撞けず、自分の情けなさにイヤになりましてね(笑)。辞めるか続けるかという葛藤を抱えていた時にこちらで苫野さんにお会いし、「せっかく復帰されたのですから、続けた方がいいと思います」と言っていただけました。その言葉にとても心を感じ、背中を押された気持ちでした。それで「またやっていこう」と思えたんです。ですから、私にとって苫野さんは恩人です。
苫野:いえいえ、そんな。でも、本当に辞めたらもったいないですから。
――その後『BIZEN CUP』が企画されたと。
苫野:そうです。ちょうど1年ぐらい前に「やる」と決心して、植村さんにご相談を差し上げながら方式を決めていきました。
橋村:私は誰にでも協賛する訳ではありません。33年社長業をやっておりまして、人並に「人」を見ているつもりです。苫野さんと少しお話しさせていただいただけですぐに人間力を感じ取れましたし、ビリヤード業界や大会についてのお考えに賛同できるところが多くありました。ですので、苫野さんの思うように企画していただきました。
試合の光景。東條紘典と塙圭介という2名のBIZEN TIP契約プロのほか、「イナホ枠」で井上浩平、羽生氏郷、齋藤功博、ルディ・モルタの4名のプロが出場していた
――BIZEN CUPのコンセプトとは?
苫野:長年僕は「プロが稼げる業界であり大会」にしていきたいと思っていました。皆が皆、競技活動だけで生活が安泰になるという訳にはいかないと思いますけど、少しでも余裕が出るようなフォーマット、賞金、環境で大会をやりたいと思っていました。なので、BIZEN CUPは初めから「エントリーフィーなし」で「賞典はしっかりと」という部分にこだわりました。それができたのも橋村さんのご協賛と会場の『イナホ』のご理解があってこそです。
橋村:私自身、ビリヤードに復帰してから様々なものを見聞きしてきましたが、若い方は少なく、旧態依然としていることに驚きました。これでは競技の世界に夢を抱けない。純粋に「ビリヤード界を盛り上げたい」という気持ちは常にありましたので、苫野さんのお考えをお聞きして、微力ながらお役に立てればと。
――「競技者がより報われる大会や業界を」という思いが込められているのですね。
苫野:ええ、すごく小さな石ですけど、業界に一石を投じたいという思いもあります。ほとんどの大会はエントリーフィーを集めないと成り立たない。それはスポンサーさんを連れて来られていないから。でも、きちんと理念を打ち出し、しっかりとビジョンを語れば、「それならお金を出します」というスポンサーさんは絶対いると思うんです。おそらくこの世界のどこかに僕と同じような考えで、スポンサーを見付けて「フィーなしで賞典あり」のトーナメントを開いている方もいると思いますが、自分としてはそれがもっと全国に広がってほしい。この一石が波紋を呼ぶことを期待しています。
――実際に間近で大会をご覧になって感じたことは?
苫野:僕は今まで数100回、フィーをいただいてイナホのハウストーナメントを運営してきました。だから、フィーなしの大会は初めてだったんですけど、雰囲気や選手たちの目の色が全く違っていると感じました。特にプロ勢にはプレッシャーがかかっている気がしましたし、アマチュアに関しても、なにかこうお金を超えたものをかけて戦っているような空気感がありました。
――確かにピリッとした空気でした。
苫野:今大会のために全台新ラシャにして、コンディションを良くしたんですけど、名うての名手たちがそれなりに緊張していてミスもしていましたから、やっぱりハウストーナメントとは違うんだなと。それは狙い通りでしたし、ビリヤードが旧来のイメージを脱して「スポーツ」に昇華していくには、こういう雰囲気を大会で作り出すことが一つの大事なキーなんじゃないかなと思います。
橋村:私の仲間たちも出場していますが、顔つきも集中力も普段と全く違っているなと思いましたし、かなり緊張感が伝わってきました。普段なら言わない謎の独り言を言っている仲間もいました(笑)。
――今後の展望は?
苫野:もちろん第2回を開催したいと思っていますが、具体的な日程が決まってる訳ではありません。
橋村:私はBIZEN TIPの7周年、8周年……と末永くご一緒させていただきたいと思っています。
苫野:そう言っていただけて本当にありがたく思います。現時点ではあくまで理想ですが、ゆくゆくは他店のご協力もいただいて規模を広げていきたいです。イナホにはテーブルが4台しかないので現状(32名)がギリギリですが、例えば8台以上あればかなり多くの方に参加してもらえます。でも、いきなり大風呂敷を広げるのではなく、できることから少しずつ取り組んで行き、徐々に大きくしていきたいです。そう、今回BIZEN TIPの看板プロでもある土方隼斗プロは『USオープン』と重なってしまったので出られませんでした。ご本人も残念がっていましたので、次回は土方プロにもご参加いただけるようにしたいと思います。そして、もっと先になるかもしれませんが、いずれはタップブランドの垣根は取り払い、参加資格を「オープン」に出来れば理想的です。最後になりますが、今回ご参加いただいた皆様、ご協賛・ご協力いただいた橋村さま、サントリー様、重田様、イナホビリヤードさまに御礼申し上げます。出たかったけれど出られなかったという方も数多くおられました。ぜひまた次回、よろしくお願いします。
(了)
【BIZEN TIP Information】
今年からNew Artさま、キューショップジャパンさま、日勝亭さまでBIZEN TIPをお取り扱いいただけるようになりました。ぜひ各店をご利用ください。
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