〈BD〉JOを見る。数字で見るJO~女子編~ by ビリヲカ【2025 ジャパンオープン特集 中編】

 

日本の2大国際プール大会の一つ、

『第38回 ジャパンオープン』の開催まで

あと2週間となりました。

 

8月13日にお届けした

ジャパンオープン特集 前編】の

「特設会場インフォメーション」に続き、

 

この【中編】では、よりプレイヤーに

フォーカスを合わせていきます。

 

「JOを見る。数字で見るJO~女子編~」

と題して、過去の女子の部のデータを分析。

今年の表彰台を占います。

 

データを読み解き、解説してくださるのは、

ビリヤードデータ専門ウェブサイト

ビリヤードウォーカー』の

タカタアキラさんです。

 

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◇ タカタアキラ(Billiards Walker)・記:

 

今年の『ジャパンオープン』(以下、JO。)の開幕まで、あと2週間となりました。

 

JPBAが主催する国内最大級のオープン戦(海外選手も多数参戦)ということで、高い注目を集める大会です。今回はJOのデータに纏わる寄稿をさせていただきます。

 

私は『ビリヤード・ウォーカー(ビリヲカ)』というデータサイトを主宰しているタカタアキラと申します。以下、文字数を減らし情報を端的に伝えるために、論文調の敬称略で記すことをご承知おきください。

 

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◇ 憧れのJO表彰台

 

以前から私は個人的に「表彰台=ベスト4」というデータや表現を好んでいる。独りよがりで熱狂的に。優勝者がタイトルホルダーとして讃えられることは当然だが、表彰式に登壇する入賞者を軽視するのはよくない。彼(彼女)らはメダリストなのだから。

 

JO女子の部は、今年で35度目の開催となる。1989年の創設だから、平成元年に始まった。と、今回調べて初めて知って驚いた。余裕で昭和に始まっていたと思っていた。加齢とともに加速する思い込みが怖い。

 

いずれにしても、歴史も格式も一流であるJOの表象台に立つことが出来るのは、ほんの一握りの選手だけ。「トッププロ」という言葉に定義はないが、JPBAに在籍するプロであれば「JO(および全日本選手権)の表彰台経験」はマストではないかと思う次第。

 

では、そんなJO女子過去34大会における歴代表彰台回数の一覧を以下に

 

 

◇ 女王か、それ以外か。

 

JO女子の表彰台経験者は、過去34回の開催で計63名。「この選手はどこの誰だろう?」という名前もチラホラある。これが歴史というものか。ちなみにJO女子元年(1989年)に生まれた子供は、今年36歳になる。調べてみたら、土方隼斗と嶋野聖大が同年に誕生していた。話が逸れている。

 

まず、最多表彰台が梶谷景美の11回(優勝5回)。これはヤバい。紅白歌合戦に最多出場の大御所クラスにヤバい。ちなみに歌手の小林幸子は紅白に34回出場したらしい(Wikipedia調べ)。これで歴代10位だというから、紅白の歴史たるや恐るべし。

 

さらにヤバいのが河原千尋。彼女は2005年デビューだから、コロナ禍の不開催(2年)を差し引くと、18回で10回の表彰台(優勝2回)。JOの表彰台率が実に0.555。さすがにヤバ過ぎる。いや、ヤバいのは私の語彙力か。梶谷景美、河原千尋が日本の歴代「女王」と呼ばれることにあらためて納得。

 

この2人をひとまず横に置いても、続く面々も一流どころがズラリと並ぶ。近年は永らくベスト8から特設(ニューピアホール)で行われる女子決勝ラウンド。ネクスト女王は、そこで1勝するところから。歴代女王の圧倒的数字に驚きつつ、次世代にエールを込めて。継続は力なり。

 

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◇ 今年のJO女子で注目すべきは?

 

まず、見逃せないのは、JO最多表彰台回数で、梶谷が自身が持つ最多記録を更新するのか、はたまた河原が最多タイにつけるのか? そして、揃って表彰台に立つケースもあるだろう。

 

女子の何倍もの選手が参加する男子の部では、最多表彰台が「7回」なので、この最多記録は今後も女子の守備範囲となっていくに違いない。

 

次に注目すべき点は『JO初表彰台』の誕生だ。平成元年に始まった大会で、この枠に入ったのは、前述の通りまだ63人だけ。64人目に名を連ねることが、プロとして足跡を残す第一歩だと捉えることも出来る。

 

ここでJO女子初表彰台候補一覧を示してみる。算出基準は「JOを除く全国ポイント(以下、全国P)対象試合での表彰台回数」から。つまり「JOでは表彰台に立っていないが、全国Pで表彰台を複数回経験している選手」だ。

 

まず、筆頭は奥田玲生で、これまで全国Pで計7回表彰台に立っている(プラス、昨年の全日本選手権で表彰台に)。これに続くのは村松さくらの6回、府川真理の5回、谷みいなの4回。そこに3回の高田奈実を加えたところで、今年のJO初表彰台候補はコンプリートといったところか。

 

以上が今年のJO女子注目要素。と、まとまりそうで、まとまらない。つづく。

 

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◇ オマケ(マニアの方へ)

 

最後に、相当な時間をかけて抽出&整理したが、企画としてボツにしたデータをマニアな貴方にお届けする。往生際の悪さよ。

 

これは全国P(G2、G3)の表彰台回数とJO表彰台回数を『率』で抽出して、『JOに強い指数』を出したもの(JO表彰回数÷全国P表彰回数)。

 

なお、データ整理時に下記の加工を施した。

 

・全国P表彰台回数15回未満を除外(サンプル数確保のため)

・2010年以降に出場記録がない選手を除外(直近15年相当。過去データほどJO比率が高くなるため=該当2名)

・引退した選手の名前を匿名に(令和のコンプライアンスに倣ってみた)

 

 

この数字を見て気づかされたのは、「全国P対象試合で入賞するのは想像する以上に難しい」ということ。その最大の要因は「上位層の表彰台独占傾向」にあると考えて間違いないだろう。考えてみたら、一覧に上がった15名の内、13名が現役で活躍中。そこに先の新勢力を加えたら、優にベスト16枠が埋まってしまう計算だ。

 

いかがだろう? さらにJOは開催数が全国P(G2、G3)の7分の1(2025年の場合)で、海外強豪選手が壁となることも踏まえると、『JO表彰台に立つのは全国Pに比べて15~16倍程度難しい』という数字も出ている。このような最高峰へ果敢にアタックをする挑戦者達に敬意を表してこの記事を締めくくりたい。

 

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◇ あとがき

 

JO女子の表彰台に関するデータをお届けした今回の記事はいかがでしたでしょう? 私自身はプロの世界で結果を残すことの厳しさにあらためて気づかされ、また私たちがよく名前を耳にしている上位陣の驚異的な強さを、あらためて肌で感じた次第です。

 

記事を作るにあたり、数字をどう読み解くかは、読み手に委ねるよう意識をしました。それぞれに「推し」の選手もおられるでしょうし、その選手が仮にプロ生活を未勝利で終えたとしても、活動した期間も応援した時間も無駄になるものではありません。

 

最後にひとつだけ。大会を観戦する側として、「優勝」だけでなく、「表彰台」や「特設出場」といった線引きにも、ぜひ注目してみてください。そして「JO表彰台」は祝賀会に該当する栄誉という認識も共有していただきたいです。

 

だらだらと長い拙文に最後までお付き合いいただきありがとうございました。次回は「男子編」をおとどけいたします。またお会いいたしましょう!

 

(了)

 

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タカタアキラさん、ありがとうございました。

近日「後編」も寄稿いただきます。

 

2025 ジャパンオープン特集・前編はこちら

 

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