アメリカ・ニュージャージー州
アトランティックシティで
開催中のWNT.メジャーイベント、
『USオープン』。
大会に参加していた
日本人WNT.プロ、吉岡正登プロより
現地の様子を教えていただきました。
吉岡プロが大井直幸プロとともに
巡った2025夏のアメリカ遠征は、
ときて、今回のUSオープン
で一旦幕を下ろしました。
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吉岡正登・記:
こんにちは。アトランティックシティ滞在最終日を迎えた吉岡です。USオープン参戦記をお届けします。
◇ 移動日:バージニア州ロアノーク→ニュージャージー州アトランティックシティ
アメリカ遠征最後のビッグトーナメント『USオープン』に向けて、バージニア州ロアノークからニュージャージー州アトランティックシティへ移動します。
この移動方法も色々ありました。ロアノークから飛行機でアトランティックシティに近いフィラデルフィア空港まで飛び、そこからタクシー。それか、少し遠いですが便数の多いニューヨークまで飛んでからバスでアトランティックシティへ(昨年はこれ)。
しかし、今回はもともと車で移動することを見越してロアノークでレンタカーを借りていたので、アトランティックシティまで自力で運転して行きます。
その距離ざっと400マイル(約640km)。東京―大阪間よりも長く、人生最長となるロングドライブです。しかも慣れないアメリカの地で。
大会前日(8月17日)のお昼頃には到着したいので、早朝4時に出発。アメリカでの運転経験豊富な大井プロ(今回は国外運転免許の申請が間に合わず助手席担当)から事前に聞かされていた通り、日本ではあまり見ないようなほとんど真っ直ぐの高速道路をひたすらに進みます。山をいくつも越えているはずですが、驚くことにトンネルが一度も出てきませんでした。
↑ アトランティックシティのカジノホテル『ハラーズ』
スタートしてしばらくは真っ暗闇で、しかも途中で霧も出てきたのでスピードを抑えながら慎重に走行。6時半頃から日が昇り、かなり走りやすくなったのですが、法定速度を気にしつつ周りの車のスピードに合わせて順調に走行。途中3回の休憩を挟み、ほぼ予定通り正午頃に無事会場のカジノホテル『ハラーズ』に到着しました。
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◇ サービスエリア&ガソリンスタンド
ドライブ中1回目の休憩は、大型ガソリンスタンドに併設されているスーパーほどの規模のコンビニエンスストア、『バッキーズ』で。アメリカではお馴染みのお店で、日本で言うサービスエリアのようなものだそうです。
食べはしませんでしたが、色々な味のジャーキーが置いてあったり、セルフのコーヒーコーナーに様々な種類の牛乳が置いてあったりとアメリカンスタイル。オリジナルキャラクターのビーバーがあしらわれたTシャツなども販売されていました。写真は撮っていませんが、給油スペースも30台以上と圧巻の規模でした。
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2回目の休憩時には田舎のガソリンスタンドで初給油。アメリカはほとんどセルフスタイルだそうですが、先にカウンターで料金を支払ってから給油するシステムは日本では珍しいですね。
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3回目の休憩はおそらくメリーランド州だったのでしょう、『メリーランドハウス』という所。これはまさしく日本のサービスエリアのような造りで、建物内にいくつもの飲食店が並び、フードコートのようでした。日本では『ミスタードーナツ』が最もメジャーだと思いますが、ここアメリカでは『ダンキンドーナツ』が人気のようで長蛇の列でした。
終わってみればあっという間のドライブでしたが、半分ぐらいは大井プロがYouTubeのライブ配信をしてくれて喋りながらだったので楽しめました。トラブルと言えば、路上にタイヤの破片みたいな物が散乱していて危険な区間があったことや、高速道路の料金の支払い方が分からなかったことぐらいででしょうか。
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◇ Day0 勝手知ったる『ハラーズ』ホテル
USオープンの開催場所になること5回目ともなると、『ハラーズ』は勝手知ったる場所。フロントから各客室タワー、会場、ジムの在りかまで全てを把握しているのでチェックインから選手登録までスムーズです。
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最近チャイニーズプールの試合に出ることも多くなったので久々に会った台湾の柯3兄弟(柯秉逸・柯秉中・柯秉漢)。オリジナルのアパレルブランドも展開しているみたいで、みんなお揃いのジーパンを履いていました。
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会場内のテーブルレイアウトは毎年違います。今回はメインテーブルが1台、他の配信テーブル3台が同じエリアにまとめられていました。
前日練習はいつものように3時間。テーブルセッティングは同じはずなのに、2週前の『フロリダオープン』とは全く違うコンディションになっていました。
会場内の湿度の問題だと思いますが、フロリダの時よりもボールの挙動はかなり軽やか。まさに新ラシャの動きでポケットもそこまで渋くない印象。ただ、個人的にはブレイクが入りにくくなっていて序盤の試合では苦労しました。これだけコンディションが変わればやはり得意不得意も出るでしょうし、逆に言うとキューのセッティングも含めて調整能力に長けている選手が上位に行くのでしょう。
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今回日本から出場していた井澤勝幸プロ、土方隼斗プロ、、羅立文プロはアトランティックシティは初めてだったそうです。
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◇ 遠征ご飯 in アトランティックシティ
毎回苦労するのが、カジノホテル滞在時の食事。今回はフロリダオープンの時と同様に炊飯器にプラスして簡易の調理器具も買い足して対策。
カジノホテルにおいては推奨されていないと思いますが、節約とコンディション調整のために安くて美味しい大井シェフの手料理がメインとなりました。
中でも豚肉を塩で煮込んだその名も「塩豚」がご飯によく合い、保存も効くので、その後カレーに入れたり炒飯にしたりと素晴らしく応用の効く一品となりました。
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外食は数回。アトランティックシティでもフォーを食べに行きました。こちらのお店は大井プロが数年前に発見していたお店でとても美味しかったです。同じタイミングで台湾チームも来ていたので、海外を転戦する選手たちは同じように美味しいお店を見付ける嗅覚を持っているのだなと思いました。
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最終日には土方プロも一緒に手頃な価格帯のステーキハウスチェーンである『テキサスロードハウス』へ行きました。こちらの特徴は、席に着いたらすでに置かれている焼き立てパン。シナモン風味のバターも付いているのですが、そのままでも美味。なんとこれがおかわり自由なのが嬉しいです。
ステーキは最小単位でもアメリカンビッグサイズ。現地の方もたいてい食べ切れないのでお持ち帰りボックスをもらっています。そして、なんとこちらのお店にも隣の席に台湾選手たちが!? 土方プロは張玉龍選手と3度目の対戦(?)をしていました(笑)。
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◇ 自分の試合は……
1回戦は台湾の郭玄偉選手。初対戦でしたが、近年海外試合によく出ていてレーティング(FargoRate)も同じぐらいでした。
序盤はこちらの調子が良く5-1とリードしていたのですが、徐々に相手のプレーの質が上がってきて7-7に。マスワリを出されて、最後もセーフティを絡めて取られて終了。『フロリダオープン』に続き、またしても敗者側からのスタートになりました。ですが、引き続き調子は良かったので翌日に向けて「頑張ろう」と気持ちを切り替えました。
敗者1回戦はコロンビアのベテランプレイヤー(Y・カ゚リベロ)に勝利。
敗者2回戦は『フロリダオープン』から同じように転戦しているクウェートのA・アルドゥライミ選手。初めて見る選手でしたが、前週の『バトルオブザブル』のワンポケット部門にも出場していたので技術は高そうなイメージはありました。
この試合は中盤から引き離して勝利できましたが、上がり際で少しミスが出てしまい反省。しかし、苦戦していたブレイクが、手球の置き位置を逆サイドに変えてみたところ見事にハマり、イン率が上がりました。
その勢いのまま敗者3回戦へ。相手はフィンランドの17歳、R・ロンパネン選手。彼とは初対戦でしたが、14歳頃からすでに国際舞台で戦っている経験からか、若手らしからぬ落ち着きのあるプレーでした。この試合も自分が終始リードできて良いプレーのまま勝利。
残すはベスト64入りをかけた敗者最終戦。相手はこちらも初対戦、ポーランドのM・フォルトゥンスキ選手。メジャー大会準優勝の経験もあるファーゴレート800オーバーの選手です。
この試合も自分の状態は良く、一進一退の戦いとなりました。5-5の第11ラック、自分のブレイクは完璧な当たりで1番がインしましたが、9番に当たった手球がサイドスクラッチ。そこから相手に取り切り→2連マスでリーチをかけられ(5-8)、最後のラックもクッションを1回撞いただけで終了しました。フォルトゥンスキ選手は中盤までブレイクが入っていなかったのですが、終盤で合わせられてしまいました。
WNT.メジャー大会の厳しいテーブルセッティングで、9ラック先取以上のフォーマットにおいてファーゴレート800オーバーの選手に勝つのは並大抵のことではないなと実感します。
『フロリダオープン』ではM・レヒナー選手とS・バンボーニング選手、この『USオープン』でフォルトゥンスキ選手と、3名の800オーバーの選手と対戦しましたが、彼らはタフなテーブルコンディションでも全てのプレーの質が高く、たとえ空クッションだとしても撞き番を与えてしまうと形勢をひっくり返されます。こういう相手と常に勝負をし続けるのは、技術はもちろん相当な精神力が必要だと感じます。
今回のアメリカ遠征でも上位に進むことは出来なかったのですが、今までよりもメジャー大会において「自分のプレー」が出来た実感があり、それはとても自信になりました。次は10月のWNT.『ハノイオープン』。自分の能力を信じて、そろそろ爆発したいと思います。
(了)
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※吉岡プロのSNSでも現地情報が発信されています。
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※吉岡プロの海外遠征裏側シリーズはこちら
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