〈BD〉『2025 スコティッシュオープン』のちょっと裏側 by 吉岡正登

 

今日5日、

ミッキー・クラウス(デンマーク)の

初優勝で幕を閉じた、

WNT.ランキング対象イベント、

『スコティッシュオープン』。

※大会結果記事はこちら

 

出場していた日本人WNT.プロ、

吉岡正登プロより、会場と試合の

様子を教えていただきました。

 

吉岡プロは明日6日開幕する

WNT.メジャーイベント

UKオープン』に向けて、

スコットランド・グラスゴーから

イギリス・テルフォードへ移動中です。

 

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吉岡正登・記:

 

こんにちは。グラスゴーからテルフォードに移動中の吉岡正登です。スコティッシュオープンのことや現地の様子を振り返ります。

 

◇ 大会2日前 ~初のロストバゲージ~

 

キューケースを入れたこのスーツケースが……
キューケースを入れたこのスーツケースが……

 

昨年12月『台北オープン』以来の遠征となった今回。グラスゴーの『スコティッシュオープン』からテルフォードの『UKオープン』へという旅程は去年と全く同じです。違うのは、今年は大井直幸プロと2人ではなく、ジュリアン・セラディラプロも加わった3人チームということ。

 

スコティッシュオープン開催地のグラスゴーへは、中国経由でロンドンへ入り、そこから国内線に乗り継いで向かいました。

 

しかし、ここでトラブル発生。今回飛行機への預け入れ荷物は関空からグラスゴーまでとなっていたのですが、途中で航空会社も変わるし、乗り継ぎが2度あるので少し心配ではありました。嫌な予感的中でグラスゴーで荷物が出て来ない事案発生。ビリヤード遠征初のロストバゲージです。

 

スーツケースの中にはキューも入っています。グラスゴー着は22時半と遅かったので、その日は空港の荷物カウンターへ届け出て、翌日の連絡を待つ事に。ひとまずウーバー(個人タクシー)で20分ほどのエアビー(Airbnb。民泊の部屋)へ移動。部屋にはフィンランド(ヘルシンキオープン)から向かって来ていた大井プロとジュリアンプロが先に着いてました。

 

グラスゴーに着いた日の晩ごはんは大井プロお手製のカレー
グラスゴーに着いた日の晩ごはんは大井プロお手製のカレー

 

長旅の疲れを癒すためにひとまずシャワーを浴びようと思ったら……またまたトラブルが。ボイラー故障によりお湯が出ません。なかなか踏んだり蹴ったりの移動日となりましたが、その日は大井シェフのカレーを食べて休むことに。大会初戦までは丸2日ほどあったので、キューはそれまでには間に合うかなとは思っていました。

 

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◇ 大会前日 ~なんとかトラブル解消~

 

思った以上に早く届いた荷物。キューも無事に到着
思った以上に早く届いた荷物。キューも無事に到着

 

翌朝起きるとメールが届いていました。荷物は現在ロンドンからグラスゴーへ向かっているとのこと。ネットからすごく細かく追跡できるようになっており、午前中にはグラスゴーへ入って運送業者へ預けられていました。そして、エアビーに12時過ぎに到着。想像よりもかなり早い展開で手元に到着したのには少し驚きました。

 

ボイラー故障もエアビーホストが手配した修理業者がその日の17時頃に来てくれて無事に復旧。トラブルが全て解消し、48時間ぶりにシャワーも浴びれて試合に向けて万全となりました。

 

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◇ 大会会場のマクゴールドリック

 

 

試合会場は去年と同じ『マクゴールドリック』。地元のトップ選手、E・サンダーソン選手が所属しています。

 

こちらはスヌーカーテーブル、イングリッシュ8、プール(ポケットビリヤード)、そしてダーツと色々な種目が楽しめる大型店。毎日多くの来客がありとても賑わっています。

 

 

M・ノイハウゼン(撞いている方)とカチ弟(クレディオ・カチ)がスヌーカーをプレーしていたり、C・ビアドがイングリッシュ8をプレーしていたり、WNT.プロ達も皆空き時間に試合テーブル以外で遊んでいました。

 

 

試合テーブルはRASSON(ラッソン)でラシャはシモニス860。ボールはアラミスブラック。ポケット幅はおそらくコーナー4インチでした。今年は参加選手が少なめだったためか、かなりゆったりとした試合スケジュールだったのですが、このテーブルで練習できるのは朝の1時間ほどしかなかったので、なかなか調整は難しかったです。

 

右利きに戻っていたジョン・モラ
右利きに戻っていたジョン・モラ

 

驚いたのは、カナダのトッププレイヤー、ジョン・モラ選手が右利きに戻っていたこと。もともと右腕でプレーしていたモラ選手は、何年も前に左腕にスイッチ。左でもそれまでと変わらず高いアベレージを維持していましたが(ブレイクや一部のショットは右腕で撞いていた)、少し前のアメリカのWNT.ランキングイベント(ダイヤモンドオープン プロフェッショナルプレイヤーズチャンピオンシップ)で右腕に戻してプレーしたところ5位入賞だったそうです。今回はベスト16(9位)でした。

 

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◇ 滞在環境とグラスゴーの街並み

 

エアビーのリビングダイニング
エアビーのリビングダイニング

 

今回のエアビーは会場のマクゴールドリックから徒歩40分・車で10分の静かでのどかな住宅街の中にありました。グラスゴーの市街地からも1kmほど離れています。建物自体は古いですが、とても過ごしやすい「当たり」の部屋でした。基本的に毎朝マクゴールドリックへ練習に行く時は徒歩で、試合の時はウーバーで向かいました。

 

 

エアビーのすぐそばにはとても広い公園があり、毎朝の散歩コースには困りませんでした。たまに早朝ジョグも行い、体調は万全。

 

 

試合に敗れて最終日が空いたため、市街地とグラスゴー大聖堂を散策しました。歴史ある建物も多く、公園ではクリケットをしている人がいたり、ボート小屋があったりと文化の違いを感じました。

 

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◇ 食事は自炊メインで

 

 

食事は基本的に大井シェフが作る料理。スーパーの品物は肉にしても野菜にしてもそこまで高くはないので、やはりキッチンがある部屋を複数人で借りて自炊をするのが節約になります。なにより大井プロは料理の味も手際も全てレベルが上がり続けていて、とても美味しかったです。ある日、ジュリアンプロが戻って来て「お腹空いた~」と言ったら、5分ぐらいでチャーハンが出てきました(笑)。

 

 

ランチでたまにマクドナルドやマクゴールドリックのピザ、帰るのが遅くなった日は近くの中華テイクアウトも利用しました。しかしどれもコスパが悪いです。マクドナルドは2人で20ポンド(約4,000円)。

 

 

食事繋がりで余談ですが、大井プロは海外プレイヤー達から最近「SUSHI BOOM(寿司旋風)」というニックネームを名付けられた模様です。

 

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◇ 自分の試合について

 

 

初戦はオーストリアのM・レヒナー選手。序盤で少し離されましたが、3-7ビハインドから9番ラッキーインからの2連マスで6-7に。追い付ける次ラックで勝負球が決まらず6-8。すかさずマスワリでリーチをかけられて、最後のマスもターンが回っては来ましたが活かせずに敗戦。ブレイクは全て入っていたので全体のイメージは良かったです。

 

1日空いて敗者2回戦へ。相手は地元のJ・ジャック選手。序盤は相手のミスもあり4-1リード。ただ、このゲームはブレイク後の配置がなかなか良くならずにプッシュアウトからの攻防が多くなり流れに乗れず。すると相手もマスワリやラッキーインなどもあって一気に4-4に追い付かれました。しかし、まだミスで回ってくる相手だったのでチャンスはありました。悔いが残るのは、6-4にしなければならないラックで中途半端なポジショニングにしてしまい、それがもとで相手に1点を献上したこと。結果的に6-8で負けて終了でした。

 

やはりポケット幅も狭く、ポジショニングも気持ちよく決まらないテーブルなので、どこか消極的なプレーが多かったように思います。しかし、大会は続きますので、次の『UKオープン』では気持ちを切り替えて臨みたいと思います!

 

(了)

 

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※吉岡プロの2024年海外遠征裏側シリーズ:

12/21 台北オープンのちょっと裏側

8/26 USオープンのちょっと裏側 

8/19 ラックスMVPオープンのちょっと裏側 

8/12 ヨーロピアンオープンのちょっと裏側 

8/5 ヘルシンキオープンのちょっと裏側

 

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◇ 2025 スコティッシュオープン関連記事

 

5月5日 ミッキー・クラウスが優勝!

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5月3日 セラディラ敗者4回戦へ。Day3

5月2日 大井勝者最終へ、セラディラ敗者側へ。Day2

5月1日 大井、セラディラ初戦勝利。吉岡、敗者側へ。Day1

4月29日 大井、吉岡、セラディラ参戦。組み合わせ決定

 

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