〈BD〉I氏のビリヤードメモラビリア秘宝館【vol23:映像資料編】

 

古今東西の稀少なビリヤードアイテムを

多数所蔵している

「ビリヤード珍品コレクター」の

I氏(あいし)

 

今回ご紹介いただくのは「映像資料」です。

 

今やビリヤードの映像は誰でも手軽に見られ、

個人でも発信できる時代ですが、

インターネット普及前は

VHSやDVDなどの映像ソフトが

ビリヤードの動画を見る限られた手段であり、

なかには稀少なものもありました。

 

そんなI氏の映像資料コレクションの

一部を見せていただきます。

 

…………

 

I氏・記:

 

ビリヤードをこよなく愛する皆様、

こんにちは。 

 

ビリヤードの映像を収録した

DVDやブルーレイ(Blu-ray)、

古くはビデオテープなどは、

最近ではコレクションの意義が

薄れてきている感じがします。

 

近年のインターネット回線の高速化により、

このような動画はネット経由で

気軽に視聴することができますので、

ビリヤードの映像メディアを販売・購入する

機会は確実に減ってきています。

 

また、映像そのものは見かけ上の

大きさを感じさせないデータとして

扱われることになり、物理的な形状をした

アイテムではなくなってきました。

 

確かに、いろいろな試合の映像を

好きなときにいつでも見られるように

したいのであれば、それを動画ファイルとして

ブルーレイやパソコンのハードディスクなどに

データとして保存すればよいのですが……

やはりコレクターとしては

形のあるモノを集めたくなります。

 

古いDVDやビデオテープの外箱・

パッケージには、当時のビリヤード事情を

うかがわせるものがありますので、

蒐集する価値は十分にあると考えています。

 

ただ、このようなメディアはどうしても

「劣化」という問題に直面します。

 

特にビデオテープは、湿度や温度管理に

気をつけないとテープにカビがはえたり、

テープ自体がお互いに貼りついたりして

再生できないような状態になります。

 

それでもI氏は、このような映像資料を

(ビデオデッキやDVDプレイヤーで

再生できないようなコンディションであっても)

できる限り集めるようにしています。

 

そこで今回は、ビデオテープや

DVDなど、ビリヤードの映像に関する

コレクションを紹介いたします。

 

ただし、種々の事情から、

この場で映像そのものを公開することは

できませんので、外箱などのデザインから

その雰囲気を味わっていただければと思います。

 

…………

 

【ビデオテープ編】

 

昭和の終わりから平成の中頃まで、

映像を記録するメディアとしては

ビデオテープが一般的でした。

 

そのため、この時期には

ビリヤードの試合やレッスンなどを収録した

ビデオが多く販売されていました。

 

◆① アキュースタッツ社の販売ビデオ

 

 

ビリヤードの映像に関して

一番知られている会社は、

アメリカのアキュースタッツ

(Accu-Stats Video Productions)

でしょう。

 

この会社は30年以上も前から、

全米各地で開催される主要な大会を収録し、

ビデオやDVDで販売してきました。

 

この写真はアキュースタッツの

2015年のカタログですが、

『USオープン』や

『ダービーシティクラシック』、

古くは『サンズリージェンシーオープン』

といったイベントの試合映像を販売しています。

 

また、最近ではインターネットによる

有料の映像配信を行ったり、やや昔の試合映像を

YouTubeから無料で公開したりしています。

 

 

このビデオには、

アメリカのキャロムビリヤードの

メッカとして知られるニューヨークの

『S.L.ビリヤード』で1992年に開催された

『SL’s3-Cushion International』で、

T・ブロムダール(Torbjörn Blomdahl)と

日本の故・小森純一選手が対戦した試合が

収録されています。

 

アキュースタッツはアメリカの会社ですので、

プール(ポケットビリヤード)の

試合の収録がほとんどですが、

アメリカで開催された

スリークッションの試合も扱っています。

このビデオの外箱も当時を知る方にとっては

懐かしいのではないでしょうか。

 

…………

 

◆② ビリヤードの基本解説ビデオ

 

 

1986年にトム・クルーズ(Tom Cruise)

主演の映画『ハスラー2』

(原題は“The Color of Money”)が

公開されたことがきっかけで、

国内にビリヤードブームが起こりました。

 

そのため、この時期には

ビリヤードの基礎を解説する

ハウツービデオが多く販売されていました。

 

このビデオは『トップオブビリヤード』

(The Top of Billiards)」というもので、

プールやキャロムの基本を、

キャロム(JPBF)のプロである

小森純一選手が実演で解説しています。

 

9ボールのコーナーで、ポジションミスを

繰り返しながらも(?)マスワリを決めた

映像が個人的には印象的です(苦笑)。

 

この作品は日本コロムビアから

1987年に発売されたもので、

収録時間は47分、定価は9,800円でした。

 

…………

 

◆③ プールとキャロムの基本解説ビデオ(2巻組)

 

 

タイトルは

『即戦40分 アタック! ザ・ビリヤード』

というもので、第1巻はポケット編で

JPBAプロ(当時)の逸崎康成選手が、

第2巻はキャロム編で

JPBFプロの町田正選手が解説しています。

 

東映ビデオから1987年に発売されたもので、

どちらも収録時間は40分、定価は9,800円でした。

 

内容はビリヤードのごく基本的な解説です。

タイトルも含めていかにも

“昭和”的な雰囲気です……。

 

なお、当時はレンタルビデオ店でも

このようなビデオが貸し出されていました。

 

I氏が所有しているものは何度も

レンタルされてから中古品として販売された、

いわゆる「レンタル落ち」のビデオです。

 

…………

 

◆④ WPBAの紹介ビデオ

 

 

北米の女子プールの団体である

WPBA(Women's Professional Billiard Association)の、

1993年のツアーの様子を収録したビデオ

『WPBA Great Moments ’93』です。

 

当時のアメリカの女子プールを代表する

ジャネット・リー(Jeanette Lee)、

エワ・マタヤ(Ewa Mataya)、

ゲルダ・ホフステッター(Gerda Hofstatter)

などのプレイが見られます。

 

ちなみにこの頃は、

アリソン・フィッシャー(Allison Fisher)や

カレン・コー(Karen Corr)は

まだプールに転向していませんでした。

 

収録時間は60分で、

定価は覚えていないのですが

アメリカのビリヤードイベント、

『Super Billiards Expo』で

購入した記憶があります。

 

…………

 

◆⑤ 『エクセレントビリヤード』のビデオ(2巻組)

 

 

国内外のプールとキャロムのトップ選手を

集めた『エクセレントビリヤード』

というイベントが

1996年から何度か行われましたが、

 

このビデオは1997年2月に川崎と大阪で

行われた試合の模様を収録しています。

 

この2巻セットのビデオでは、

プールの内容として

E・レイズ(Efren Reyes)選手と

奥村健選手の9ボールの対戦、

 

キャロムの内容として

T・ブロムダール選手と

故・小林伸明選手のスリークッションの

対戦が収録されています。

 

また、レイズ選手とブロムダール選手の

9ボールとスリークッションの試合も

収録されていて、なんとブロムダール選手が

プールの試合でレイズ選手に勝っています

(レイズ選手は非常に悔しかったそうです……)。

 

株式会社コスモの企画・制作で、

どちらも収録時間が120分、定価は4,980円です。

 

…………

 

【CD編】

 

CD(コンパクトディスク)という

メディアは保存できるデータ量が少ないので、

動画の記録にはあまり適していないかも

しれませんが、DVDが一般化する前は

短い動画などがCDに収録されて販売されていました。

 

◆⑥ JPBAの女子プロ選手の紹介CD

 

 

JPBAに所属する

女子プロ選手の活躍を収録したCDです。

 

2001年11月に兵庫県尼崎市で開催された

『女子ナインボール世界選手権』と

『全日本選手権』の映像が中心ですが、

2002年10月時点のポイントランキング

トップ10の選手の写真がメニュー上にあり、

そこをクリックすると

各選手のプレイ映像が見られます。

 

ちなみに、

この当時のトップ10の選手は以下の通りです

(氏名は当時の登録名。敬称略):

 

1位 梶谷景美

2位 高木まき子

3位 夕川景子

4位 山内公子

5位 宗田三佳

6位 浜西由希子

7位 曽根恭子

8位 三浦陽子

9位 杉原名保美

10位 大谷晃央

 

…………

 

◆⑦ 中国製のスヌーカー解説CD

 

 

タイトルは『台球球技一点通』というもので、

イラストからお分かりのように

スヌーカーに関する内容です。

 

中国の北京体育大学の教員(?)が

スヌーカーの基礎やルールを説明していて、

時々イギリスの試合の映像が入ります。

 

収録時間は約55分で、

中国の北京市青少年音像出版社から

発売されたものです。

 

オークションサイトのeBayで見つけて

落札しました。

 

…………

 

【DVD編】

 

CDと比べて、DVDは保存できる

データ量が一気に増えたため、

長時間・高画質の映像が

収録できるようになりました。

 

最近ではブルーレイも広く普及していますが、

現在のところ一番扱いやすい

映像メディアかもしれませんね。

 

◆⑧ KOZOOM社の曲球解説DVD

 

 

フランスのKOZOOM(コズーム)社は、

 

主にヨーロッパのキャロムの試合を

中心に多くのビリヤード映像の

収録・販売・配信を行っています。

 

このDVDは

『Artistic Billiard』というタイトルで、

フランスのアーティスティックビリヤード

(曲球)の実力派プレイヤーとして知られる

ジーン・レベルション

(Jean Reverchon)選手が

100種類の配置のショットを実演しています。

 

DVDだけあって再生時の

メニューも豊富ですので、

見たいショットがすぐに確認できます。

 

…………

 

◆⑨ ビリヤードのボールの挙動をスーパースローカメラで撮影したDVD

 

 

このDVDは

『Faszination Dreiband-Billard』

(3クッションビリヤードの魅力)

というタイトルで、オーストリアで

2004年に販売されたものです。

 

スーパースローで撮影できる特殊なカメラで、

ビリヤードのボールの動きを撮影しています。

 

キューで撞いた瞬間の、

タップの変形やチョークの粉が飛び散る様子、

さらにボールがクッションに当たった際の

クッションの凹みもよくわかります。

 

ちなみに、的球と手球が非常に接近している

状態で押し球、引き球をすることを

「切り押し」「切り引き」と呼びますが、

このようなショットは実際には

「二度撞き」になっているのでは?

ということが昔から議論されています。

 

このDVDの映像からは、明らかに

タップとボールが2回接触している様子が

はっきりと観察できます。

 

…………

 

◆⑩ イスラエルのビリヤードに関する映画のDVD

 

 

イスラエルの映画のDVDです。

 

1975年公開の作品で、

英語では『Party at the Snooker』

というタイトルのようです

(収録時間は約95分です)。

 

映画内の会話はイスラエルの公用語である

ヘブライ語で、パッケージも

ヘブライ文字で書かれています。

 

正直なところ

内容はよくわからなかったのですが(汗)

ビリヤードとはあまり関係ないように

感じられました(スヌーカーのシーンも

全体のごく一部です)。

 

オークションサイトのeBayで見つけて、

ついつい落札してしまいました。

 

…………

 

【おまけ:レーザーディスク編】

 

◆⑪ 映画『ハスラー』のレーザーディスク

 

 

高画質の映像を収録するメディアとして、

昭和の終わりごろから

レーザーディスク(Laser Disc)が

徐々に普及してきました。

 

このメディアは直径30cmの

大きな円盤状のもので、

専用の再生デッキで視聴するものでした。

 

再生される映像は非常に綺麗なのですが、

ビデオテープやDVDのように録画ができなく、

また、メディアそのものが大きくて

1枚当たりの収録時間も短いために

あまり普及しなかった印象があります。

 

こちらのレーザーディスクは

ポール・ニューマン

(Paul Newman)主演の

映画『ハスラー』

(1961年公開:原題は“The Husler”)です。

 

全体の収録時間は135分ですが、

1枚には収められなくてDISK1の両面と

DISK2の片面に3分割されて記録されています。

 

パイオニア株式会社から1987年に

販売されたもので、定価は8,800円でした。

 

なお、最後の画像は、参考までに

『ハスラー2』のDVDを並べた様子です。

 

このDVDには119分の映像が1枚のディスク

(それも片面だけ)に収録されていますので、

デジタル記録技術の進化が感じられますね……。

 

…………

 

【映像資料編】はここまで。

 

I氏にはいずれまた別のアイテムを

紹介していただきます。

 

◇ 秘宝館連載 バックナンバーはこちら

 

………… 

 

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