〈BD〉【動画】ストロークタイミングの“神話”をあばく。by Dr. Dave 【日本語訳】

 

ビリヤードのインストラクション・

レッスン動画を中心にアップしている

アメリカの『Dr. Dave』(ドクターデイブ)。

 

彼が2週間ほど前に出した、

「ストロークのタイミングと加速の違いで

手球の捉え方(接触時間)は変わるのか」

という検証動画が興味深い内容だったので、

日本語訳を付けて紹介します。

 

「良いストローク」とは何かを知り、

イメージを高めて

形にする一助となる動画です。↓

 

 

◇ はじめに 0:00~

 

前回の動画では、タップの接触時間に関する誤解や迷信の嘘を暴いた。しかし一方で、その内容に疑問を抱き、他のタイプのストロークでは違う結果になるのではないかと考える人もいる。今回は、キューの加速やタイミングが球の動きに対して重要だとする誤解を解いてみよう。先に言っておくと、それは間違いだ。

 

…………

 

◇ よくある誤解 0:24~

 

ストロークタイミングやキューの加速が重要だと考える人は、(スヌーカーの著名コーチの)バリー・スタークの動画を引用することが多い。例えばこのように。

 

バリー・スターク:「タイミングとは何か? それは接触時間の長さだ。その時間を長くすることができれば、タイミングはより良くなるだろう」

 

彼はスローモーション映像を使って、プロ選手による良いタイミングのショットと悪いタイミングのショットを比較している。残念ながら、そこではキュースピードや撞点など接触時間に影響を与えうる変数については考慮されていない。さらにはその根拠もない。「後日カメラが戻ったときにその根拠をご紹介しよう」。だが、次の動画でも追加のスローモーション映像や根拠が示されることはなく、その代わりに書籍からの引用が相次いだ。

 

バリー・スターク:「世界チャンピオン20回のジョー・デイビスはもちろん、あらゆるプレイヤーがこの本をスヌーカーのバイブルとして挙げている。『接触時間を長くする』『タップが触れているときに力が働く』『タップが触れて回転をかけていることを感じる』」

 

などなど。私は揚げ足を取っているわけではないし、彼やその教えを信じる層をリスペクトしていないわけではない。ただ、その中にはゴミも混ざっているとわかるだろう。世界チャンピオンになったとか信頼に足るインストラクターだからといって、教えが正しいとは限らないのだから。

 

…………

 

◇ タップの接触時間 1:58~

 

その他の動画や詳細は動画の概要欄をチェックしていただきたい。タップの接触時間はショットスピードやタップの硬度、撞点によって多少なりとも変化する。しかし、動画やサイトでも説明したとおり、これらの違いは重要ではない。ここからはよくある誤解を解いていく。

 

誤解その1:タップは球に当たったあとしばらく接触している

 

タップが球に当たってから、ある程度の時間接触していると信じる人もいるが、これは間違いである。これは、プーボ・ホアンによる24,000FPSハイスピードカメラ映像だ。手に伝わる感触がどうであれ、タップが球と接触している時間はごくわずかなものだ。硬いタップでゆっくり撞いたとしても、接触時間は約1,000分の1秒にすぎない。

 

誤解その2:タップが球に当たっている間はコントロールできる

 

タップが球と接触している間、球をコントロールできると考えている人もいる。しかし、これも間違いだ。球に当たった瞬間は影響があるが、当たった段階で全て終わりだ。接触時間が短すぎて球の動きに大きな影響は与えられない。当たった瞬間に感じることといえば、球に当たったことでキューが大幅に減速すること、球がタップから離れたあとに加速すべく力が入ることぐらいだ。どういうことか、結論を知りたいならば概要欄のリンクからフル動画を見るとよい。

 

…………

 

◇ 加速するストローク 3:22~

 

キューの加速について、数年前にボブ・ジュウィットと研究を行った。このグラフは、スローモーションを用いて確認した、ストロークの際のキューの速度について示している。

 

ここで読み取れるのは、良いストロークではキューの速度が変化するということだ。速度が徐々に上がり、キューを出すときにスムーズに加速できていることが見て取れる。そしてタップが球に当たる直前に最大となり、それ以上の加速はない。わずかな接触時間の間にキューの速度は激減し、その後はグリップによって少し加速する。そしてフォロースルーに向かってキューの速度は落ちていく。20人ほどのトッププレイヤーを対象にしたヨーロッパの研究でも、優れたプレイヤーですらキューの速度が最高になるのはタップが球に当たる直前であると示されている。

 

ここに、良いストロークタイミングに重要な要素について過去動画から抜粋してある。良いストロークとはキューをゆっくり引くこと、キューを後ろに引いて前に出すときに急がないこと、球に当たる前に減速しないことだ。スムーズに加速できているストロークと、他の悪いタイミングのストロークとの比較図をここに示した。キューを前に出し始めてから球に当たるまでのキューの速度変化を示している。

 

良いタイミングのストロークは初めゆっくりで、球に当たった瞬間に最大となるよう加速している。前に出すときに急いだり、キュースピードを出そうとして早く撞きすぎると青のグラフになる。球に当たった瞬間に減速してしまうと赤のグラフになる。また、一定のスピードでキューを出すとオレンジのグラフだ。再度になるが、緑のラインが良いタイミングのストロークである。

 

なぜ多くのトッププレイヤーが球に当たる直前にキューの速度を最大にするのかというと、それが最小の力で最も正確で安定したスピードコントロールができるからだ。当たったときにスピードが一定になっているため、加速のタイミングが悪くてもキューのスピードに影響はほとんどない。私の過去の動画でプロプレイヤーによる良いタイミングのストロークの例を取り上げているのでご確認いただきたい。再度になるが、キューをゆっくり引くこと、後ろに引いて前に出す一連の動作を焦らないこと、球に当たる前に減速せずスムーズにキューを加速させるように練習するとよい。

 

…………

 

◇ 分析方法 5:47

 

プーボ・ホアンと行ったスローモーション映像の分析結果を見てみよう。彼はストロークの加速具合によってタップと球の接触時間がどのように変化するかを動画におさめた。動画は8,569FPSで撮影されており、球の進んだ距離によってショットの強さを均一にしている。また、短クッション上で半ポイント以上ずれた場合はサンプルに含めないことにした。このように、キューの動きをトラッキングして各ストロークの動きを撮影している。

 

…………

 

◇ 結果と結論 6:30

 

これが3つの異なるストロークを同じキュースピードで撞き分けた映像だ。上が加速ストローク、真ん中が良いタイミングとされているノーマルストロークで、キューの速度が最高となりその後は加速していない。一番下は減速ストロークで、タップがボールに当たる前にキューの速度が落ちてしまっている。

 

ここで注目したいのは、球の速度はどのショットもほぼ同じだというところだ。一方、3つのショットで明らかに違うのは、ノーマルストロークのときの球の走りが少し遅いことと、加速ストロークのときタップが球を追うようにキューがスピードアップしているということぐらいである。

 

加速ストロークのときに接触時間がより長く、減速ストロークのときに接触時間が短いと考える人は多いが、実験ではそのようなことはなかった。これは各ストロークでのキューの速度を示したグラフだ。加速ストロークのときはキューの速度が上がり、減速ストロークでは下がっていることがわかるだろう。ノーマルストロークでは当たった瞬間の速度は少し遅いが、加速ストロークと減速ストロークではほぼ理想的な速度だ。

 

そして、各ストロークでの接触時間に大きな差は見られなかった。どのストロークでもタップが球に接触していたのは11フレームないし12フレームで、これはつまり1.3ミリ秒~1.4ミリ秒(0.0013秒~0.0014秒)である。すなわち、接触時間がキューの加速によって伸びることはなく、キューの減速によって短くなることもなかったのだ。

 

タップが球に当たるまでのキュー速度の変化は、ごくわずかな接触時間も相まってショットの結果に影響を与えることはない。重要なのはキュースピード、撞点、キューの方向だ。ストロークのタイプや質、タイミングといった要素が、タップと球が接触する間に与える影響はないのだ。とは言っても、理想的な接触時間を理想的なキュースピードで正確かつ安定させるためには、ストロークのタイミングは非常に重要であることもたしか。詳しくはストロークタイミングについての動画、情報、リンクを参照いただきたい。

 

…………

 

◇ まとめ 8:45

 

まず、膨大なスーパースロー映像や分析を行ってくれたプーボ・ホアンに謝意を示したい。タップと球の接触時間やストロークのタイミングに関する誤解は解けたと皆さんにも思っていただけたら本望だ。動画内で気になったことがあれば、概要欄に記載のサイトページを見ていただきたい。そして自分のストロークを改善しようと考えるのであれば、「ストロークに関する最良の練習」の動画やサイトページのご確認を。それでは、良いビリヤードライフを。

 

(了)

 

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