〈BD〉「やっぱりビリヤードが好きで試合が好き」――『北陸オープン』(女子)2度目の優勝・曽根恭子の談話

 

先週末の『北陸オープン』(女子)で

優勝した曽根恭子の談話をお届けします。

大会翌日に取材しました。

 

…………

 

――2度目の『北陸』制覇です。

 

曽根:優勝した瞬間は、嬉しかったですけど実感はあまりなくて「あ、勝ったんだ」ぐらいでした。でも、携帯を見たらLINEやメッセージがたくさん来ていてびっくり(笑)。皆に喜んでもらえたことが嬉しいです。試合後、まだお店(所属する埼玉『セスパ』)の人達には会ってないので、皆と会えたらもっと実感が出てくるのかなと思います。

 

――『北陸オープン』は4年ぶりの開催。決勝シングルトーナメントのベスト8からは『ネッツトヨタ富山 スカイドーム』特設会場で行われました。

 

曽根:優勝したから言うのではないんですが、決勝日の特設会場だけでなく、予選日(『フィレンツェネオ』)も含めて、2日間本当に素晴らしい環境でプレーさせていただきました。送迎から食事、休憩スペースに至るまで全て行き届いてましたし、スタッフや運営の方々が常に選手のことを気にかけて動いてくださっていました。こんな素敵な環境で試合をしたのは記憶にないぐらいです。特に予選日はどうしても時間がかかりますし、心身ともに疲れるものですが、おかげさまで今回はそんなこともなく、最後まで集中を保てました。テーブルコンディションも台ごとのばらつきが少なくて2日間撞きやすかったです。大会開催に尽力された皆様に心から感謝しています。

 

――ご自身のプレーについては?

 

曽根:集中力も続いていたし、状態も良くてどの試合でもマスワリが3回ぐらい出てました。あとはキューですね。『ジャパンオープン』の後にキューのバットを変えたんですけど(PREDATORのBLAKシリーズからIKONシリーズへ。シャフトは314-3のまま)、それも自分には合ってたみたいで、不安なくプレーができたのも大きかったです。

 

――決勝戦(vs 村松さくら)は相手に1-5までリードされる展開でしたが、どんなことを考えていましたか?

 

曽根:本当に村松プロのプレーは素晴らしかったです。展開に恵まれてというのではなく、自分のプレーであの展開を作っていましたから。だからこそ、私も素直に「もし回って来たら精一杯撞こう」と思えました。自分の状態も良かったので、「チャンスがあれば、少なくとも1、2点は返せる」って。

 

――実際にそこから追い上げて行きました。

 

曽根:1-5にされた時にタイムアウトを取りましたけど、あそこから少し流れが変わって来たかなと思います。ああいう展開だと、リードしている方は5点を取ったあたりで(※勝利まであと2点ぐらいで)、「優勝」という現実を意識してプレッシャーがかかることがあります。特に村松プロは初優勝がかかっていました。私も昔そういう経験をしているので、「まだわからない」とは思ってました。

 

――曽根プロ自身の精神状態は?

 

曽根:終始変わらず落ち着いていたと思います。相手のハイボールのミスから自分が取るという形が続くと、気持ち的にやりづらくなったり、ミスのお付き合いをしてしまうこともあるので、そこだけ気を付けてました。「たまたまこういう展開になっているだけ。私は私のスタイルを貫いて優勝する」と自分に言い聞かせて、目の前の球に集中することを心掛けていました。

 

――6-5でリーチをかけた後、最後は1-5-9キャノンコンビで上がりました。あれはブレイク後にすぐ閃いたのですか?

 

曽根:はい。1番はコーナーに通っていたんですけど、すぐ横の5-9がほぼ「乗っている」(即死コンビ)状態だったので、「これはキャノンコンビで入る」と。ただ、5番と9番の間が少し空いていたので、撞点を下げたりスローで撞くと9番が入らない。上の撞点で行くしかないんですけど、そうすると手球がスクラッチコースに乗ってしまう。ちょっと考えて、5番と手球が同じ方向に進むのは明らかなので、スピードをコントロールして5番で手球のスクラッチをブロックしてもらおうと思ってました。

 

――見事にその通りにボールが動きました。

 

曽根:あまりにイメージ通りだったので自分でも驚きました(笑)。私はあの時、5番と手球を見ていたので一切9番を見てません。音だけで「入ったな」と。

 

――ゲームボールを入れてキューを高々と掲げました。

 

曽根:「優勝だ!」って。ずっと「もう勝てないのかな」って思ってましたし、今回も富山に行く前から自分にあまり期待してなかったので嬉しかったです。

 

――6年ぶりのJPBAプロ公式戦優勝です。北陸制覇は26年ぶり。

 

曽根:会場で年数をアナウンスしなくてもいいのにって思いましたけど(笑)。コロナで実質3年試合がなかったので、私の中では“3年ぶりのプロ大会優勝”という感覚ですね。

 

――曽根プロは今も変わらず高いモチベーションで国内外の試合に向かっています。その原動力は?

 

曽根:やっぱりビリヤードが好きで試合が好きなんです。今はどんどん若手が出てきて、皆強くなってきています。道具もすごく進化してるじゃないですか。だから飽きないんですよね。

 

――海外に行き続けているのも同じ気持ちからですか?

 

曽根:そうです。だけど、今年7月のアメリカ(WPBA『ソアリングイーグルマスターズ』。曽根プロは9-12位)はだいぶしんどかった。特に移動がこたえました。ただ、歳上のアリソン・フィッシャー(プールとスヌーカーの「女王」)がまだまだ活躍してますから。日本でも梶谷(景美)プロが『ジャパンオープン』で準優勝だったし、「私もまだまだやれるし、やりたい」と思ってます。勝てない期間が長くなるともちろんつらいですよ。諦めが入って来る時もあるんですけど、たまにこうやって勝てるとね、「まだ行けるかな」と勘違いしちゃいますね(笑)。

 

――今後の目標は?

 

曽根:目標はもう1勝すること。そして、夢はずっと世界チャンピオンです。そのために技術をまだまだ磨いていきたいです。今もいろんな人に教わったり、一緒に撞いてもらってます。たとえば地元だと喜島くん(喜島安広・現名人)とか。それに今はYouTubeでも球の勉強ができますから。……むしろ今の方が勉強してるかも(笑)。今回の優勝で「努力を続けていれば、年齢は関係なく成果は出せる」と自分でも思えましたし、若手達などこれからのプレイヤーに伝われば良いなと思います。

 

――最後に、応援してくれている方々へ。

 

曽根:今回の優勝は先日ご逝去されたADAM JAPANの高平(睦生)会長に捧げたいと思います。誰からも慕われるお人柄で、20年以上お世話になった私にとってはビリヤード界のお父さんみたいな存在でした。優勝してまず最初に高平会長に報告をしました。そして、日頃からご支援いただいているスポンサーの方々やファンの皆様、優勝できなかった間もそばにいて励ましてくれた家族やセスパのみんなにもお礼が言いたいです。ありがとうございました。あと何年続けられるかわかりませんが、「もう1勝」を目指してまだまだ頑張りたいと思います。

 

(了)

 

Kyoko Sone

JPBA26期生

東京都出身・埼玉県在住

1998年『ジャパンオープン』優勝

2000年『世界選手権』3位

2003年・2013年『関西オープン』優勝

1997年・2023年『北陸オープン』優勝

1993年・2010年『オータムクイーンズオープン』優勝

2001年『全日本女子ナインボールオープン』優勝

2001年『九州レディースオープン』優勝

2015年『関東オープン』優勝

他、『東日本女子プロツアー』

『全日本女子プロツアー』などで優勝・入賞多数

使用プレーキューはPREDATOR IKON(シャフトは314-3、タップは斬ハイブリッドマックス)

スポンサーはセスパ、PREDATOR、ココカラダ、

 

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