〈BD〉I氏のビリヤードメモラビリア秘宝館【vol18:ビリヤードの古書・昭和期編】

 

古今東西の稀少なビリヤードアイテムを

多数所蔵している

「ビリヤード珍品コレクター」の

I氏(あいし)。

 

6月28日の記事、

vol17:ビリヤードの古書・明治&大正期編

に続き、後編として

【ビリヤードの古書・昭和期編】

お届けします。

 

…………

 

I氏・記:

 

ビリヤードをこよなく愛する皆様、

こんにちは。

 

前回に続いて、今回は昭和に出版された

ビリヤード解説書をご紹介します。

 

約63年間の昭和の時代は、

戦前・戦後からバブル期まで

いろいろなビリヤード書籍が

出版されてきました。

 

そんな多くの著作物の中から、

I氏なりに厳選したものをご案内します。

   

…………

 

◆⑧ 『最新撞球術』

 

昭和9年(1934年)7月初版、564ページ、山田浩二 著、博文館

 

 

表紙にあるように、

キャロムビリヤードの四つ球、

ボークライン(カードル)、

スリークッション、曲球について

詳しく解説されています。

 

著者の山田浩二選手は当時を代表する

日本のプレイヤーの第一人者です。

 

大正から昭和初期に

アメリカやヨーロッパに出向き、

世界最高峰クラスの

ウィリー・ホッペ

(Willie Hoppe)選手、

ウェルカー・コクラン

(Welker Cochran)選手などと

何度も対戦した実績を持つ方です。

 

山田選手が帰国してから出版された

この本は、内容も豊富で、

約90年たった現在でも古さを

あまり感じさせません(その文章は、

現代人にとっても読みやすいです)。

 

最終章では欧米への参戦記も含め、

自身のビリヤード人生を振り返っていて、

大変興味深いです。

 

キャロムを愛好される方が

古書店でこの本を見つけた場合は、

絶対に買われることをお勧めします。

   

…………

 

◆⑨ 『3クッション』

 

昭和13年(1938年)5月初版、218ページ、松山金嶺 著、三省堂

 

 

前述の山田浩二選手の本にあるように、

昭和初期には国内でも

スリークッションという競技の存在は

ある程度知られていたようですが、

その普及には松山金嶺選手の存在が大きいです。

 

スリークッションはアメリカで

生まれた競技ですが、そのアメリカで

武者修行をしていた松山金嶺選手が

帰国とともに、その種目を日本に輸入した……

ということはよく知られています。

 

松山選手がアメリカで得た

スリークッションの知識を惜しむことなく

公開したのがこの本といえます。

 

スリークッションの歴史や、

特有の配置によるショットの解説に加えて、

「一子相傳(伝)門外不出」として、

さまざまなシステムの紹介をしています。

 

現在ではよく知られている

ファイブアンドハーフ・システムや

プラストゥ・システムなどの

解説が中心ですが、

当時のプレイヤーにとっては、

手球のコースが計算で求まるというのは

夢のような方法だったのではないかと

推察されます。

  

…………

 

◆⑩ 『入門新書 撞球入門』

 

昭和33年(1958年)2月初版、223ページ、桂マサ子 著、川津書店

 

 

日本を代表する女性プレイヤーとして

知られる桂マサ子選手は

何冊か解説書を出していますが、

こちらはそのうちの1冊です。

 

内容はキャロムビリヤード(四つ球)の

全般的な解説で、桂選手本人が

実演をしている写真がいろいろ

載せられています。

 

巻末には質問や実施指導の案内もあり、

自身の『桂撞球場』(※現在はありません)

まで来ていただくか、

手紙で問い合わせてほしい……とのことです。

  

…………

 

◆⑪ 『撞球』

 

昭和33年(1958年)4月初版、189ページ、天田章 著、虹有社

 

 

キャロムビリヤードの基本的な解説書です。

 

女性モデルのプレイ姿のスナップ写真が

表紙などにあり、いかにも

「昭和レトロ」的な雰囲気があります。

 

著者の天田章氏は昭和初期から

戦後にかけて活躍された名選手で、

昭和13年(1938年)に行われた

第1回全日本スリークッション選手権では

準優勝に輝いています。

  

…………

 

◆⑫ 『ハイ・ビリヤード』

 

昭和47年(1972年)発行、68ページ、高木正治 著、鶴書房

 

 

四つ球の解説が書かれていますが、

本というよりは冊子のような印刷物で、

サイズはかなり小さいです

(約9.1cm×12.9cm) 。

 

詳しい出版データや値段が書かれて

いませんので、無料で配布されて

いたものかもしれません。

 

著者の高木正治選手は当時を代表する

トップクラスの四つ球プレイヤーで、

全日本四つ球選手権で何度も優勝された方です。

  

…………

 

◆⑬ 『入門 ポケット・ビリヤード』

 

昭和49年(1974年)9月初版、310ページ、藤間一男 著、文研出版

 

 

日本のプール(ポケット・ビリヤード)の

普及に尽力された

藤間一男選手による本です。

 

従来のビリヤード解説書は

キャロム競技の内容がほとんどでしたが、

この本はプールに限定した内容を

非常に詳しく解説しています。

 

当時のプール選手からは「藤間本」と

呼ばれたバイブル的名著といえます。

 

その後、平成の時代になって

(株)BABジャパンから復刻版が

『ポケット・ビリヤード大全』

として発刊されています。

  

…………

 

◆⑭ 『NHK趣味講座 ビリヤード入門 テキスト』

 

昭和62年(1987年)9月発行、127ページ、講師:小林伸明、日本放送出版協会

 

 

1986年に公開された

映画『ハスラー2』による

ビリヤード・ブームのさなか、

NHKの教育テレビ(Eテレ)でも

ビリヤードの番組がオンエアされました。

 

こちらはその『ビリヤード入門』の

テキストです。

 

番組では“神様を破った男”である

故・小林伸明プロ(JPBF)が講師を担当し、

 

プール(ポケット)は長矢賢治プロ(JPBF)、

四つ球は町田正プロ(JPBF)、

スヌーカーは吉田博選手が出演して

プレイを実践しています。

 

こちらの本は教育番組のテキストとはいえ、

内容はかなり詳細です。

 

特にスリークッションのシステム解説では、

ファイブアンドハーフやプラストゥといった

基本的なシステムに加えて、

ダブルレールや切り返し、

クロスバウンド(通称バタバタ)の

システム解説もあります。

 

当時の初心者からすれば、かなり内容が

濃かったのではないかと思われます。

 

(了)


…………

 

【ビリヤードの古書・昭和期編】は

ここまで。

 

I氏にはいずれまた別のアイテムを

紹介していただきます。

 

◇ 秘宝館連載 バックナンバーはこちら

 

 

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