〈BD〉「慢心せずにやり続けるしかない」――全日本14-1優勝・神箸渓心の談話

 

21日の『全日本14-1オープン選手権』で、

プロ入り初優勝を飾った

神箸渓心(かみはし けいしん)の

談話をお届けします。

大会翌日に取材しました。

 

…………

 

――プロ入り初優勝です。

 

神箸:一晩経って今やっと実感が湧いてきた感じです。たくさんの方々からお祝いのメッセージをいただいて「ああ、優勝できたんだな」と時間差で嬉しさを感じています。

 

――優勝直後は実感がなかったですか?

 

神箸:なかったです。決勝戦の前も「今から決勝戦を撞くんだ」という実感がなくて……。普通、決勝戦って特別な気持ちになりますよね。テーブルが1台だけになって皆の視線が集中しますし。でも、昨日は不思議とそういう感覚もなかったです。むしろそのおかげで序盤に少し走れた(40点ランが出た)のかなとは思うんですけど。

 

――2日間で8試合。入れた球の数は730球。心身の疲れは?

 

神箸:疲れました。でも、達成感のある疲れです。予選の日の夜(土曜夜)はあまり眠れなくて、寝不足の状態で決勝日(日曜)に臨んだですけど、あまり試合には影響しなかったと思います。

 

――10代の頃から培ったビリヤード体力のおかげかもしれませんね。

 

神箸:そうかもしれません。毎日9~10時間練習という生活を続けていた時期があったので、撞き続ける体力はあると思います。

 

――2日間トータルでご自身のプレーに点数を付けると?

 

神箸:厳しめに言って65点ぐらいかなと思います。要所要所でよく撞けた所もあれば、悪かった部分もありました。準決勝と決勝戦が良い例だと思います。あの2試合は展開が似ていて、自分の良い所と悪い所が同じように出てました。

 

――具体的には?

 

神箸:準決勝は序盤に56点のラン、決勝戦は序盤に40点のラン。でも、2試合ともそのままの勢いでは行けず、後半は失速しました。自分の中で勝ちが見えて来た時になぜかブレーキをかけちゃう。決勝戦は特にそれがひどかったと思います。でも、上手く撞けない中でも集中を切らさずに全力を出せたところは、自分を褒めてもいい部分でもあるかなと思います。

 

――決勝戦は3時間超えの長丁場になりました。精神面で波はありましたか?

 

神箸:めちゃくちゃありました。もう揺れに揺れてました(笑)。僕のオープニングブレイクから羅(立文)プロが取り切り始めた時、40~50点は行かれる覚悟はしてました。羅プロが4球目でミスしてターンが回って来た時は、「チャンスだ、行くしかない!」という感じでフレッシュな気持ちでテーブルに向かえてランが続いたんですけど、だんだん「優勝」の二文字が見えてきてしまって……。それで焦りが出て、「早く決めないと」と気持ちだけ空回りしてました。

 

――中盤から嫌な緊張感に包まれていた。

 

神箸:はい。羅プロが追い上げて来て今度は「負け」の二文字も見えてきて、苦しい展開の中でひーひー言いながら撞いてました。でも、「勝つんだ!」と自分を鼓舞して、どんな場面でも前向きに考えてプレーし続けてました。それで最後の8球も取り切れたと思います。

 

――最後の8球。回って来た時の心境は?

 

神箸:これを取れなきゃ終わりっていうのはわかってたんで、「行くしかない」という気持ちで集中できました。

 

――台上には13球ありました。完全にバラけている訳ではなく、少しいやらしい配置でしたね。

 

神箸:そうなんです。初めの3~4球を撞いている時は正直まだ取り切れる確信はなかったです。3球目(14番)をサイドに入れて引き切りましたよね。あれは頭がクリアな状態じゃなかったので、半分「いてまえ!」で撞いしまってます。きれいに7番に出てくれたのはラッキーでした。そのあたりで一安心というか、もう大丈夫だなと思えました。

 

――ゲームボールを入れた瞬間の感情は?

 

神箸:めちゃくちゃ苦しい展開だったので、重圧からやっと解放されたような気持ちでした。応援してくださった方々にも後で言われました、「どれだけハラハラさせるんだよ」と(笑)。

 

――神箸プロは14-1をどのぐらい撞いていますか?

 

神箸:14-1の公式戦に出るのは今回が初めてでした。なので試合を意識して撞いた経験はそんなにありません。会社(神箸プロが勤務する清水不動産株式会社)には僕と杉山功起プロ以外にもビリヤード好きな社員さんもいるので、今回は試合前に清水不動産月例会と称してみんなで14-1をやったり、先輩の丸岡良輔プロとも撞きました。14-1はスヌーカーと競技性が似ている部分があるので、自分のスヌーカーでの経験や知識が活かせたかなと思います。そこも今回の優勝を嬉しく思う理由の一つです。

 

――14-1とスヌーカーの共通点とは?

 

神箸:どちらもラックを割る時に手球をラックに埋めてしまったら、そこがランが終わるところです。そうならないように、いかにヒネリや押し引きなどを駆使してラックを割るか。そこはスヌーカーをやっていた身からすると14-1でもイメージがしやすかったです。あとは球の取り方も似ているところがあります。「ここを保険として残しておいてこっちから入れよう。もし上手くいかなくても保険が効いているから大丈夫」みたいな。そういう組み立ても、スヌーカーから応用できるところがあります。

 

――セーフティも似てる部分はあるでしょうか。

 

神箸:そうですね。でも、セーフティに関してはスヌーカーより14-1の方がはるかに難しいと思います。テーブルの大きさが違いますし、14-1の方が相手に攻められて取られてしまう可能性は高いです。今回僕はセーフティが上手くできずに苦しくなった場面がありました。

 

――今年1月にプロ入りして5月に優勝と早くも結果を出しました。

 

神箸:1年目で優勝できたことはもちろん嬉しいですけど、『グランプリイースト』では2戦連続予選敗退してますし、関東オープンも予選敗退だったので、現状には全く満足してません。スヌーカー時代や『JIN』(愛知。実父の神箸久貴プロが営むビリヤード場)にいた頃に比べたら、今は働きながら競技活動をしてますし、環境も大きく変わったので、単純に練習時間は少なくなっています。それでちょっと自信をなくしたところもあります。そんな状況もふまえて考えれば今優勝できたことは上出来だとは思うんですが、まだまだ足りない部分がいっぱいあるのでうぬぼれたり慢心せずにやり続けるしかないと思っています。

 

――今年1月にプロ入りしただけでなく、一般企業で働き始めた新社会人でもあります。もう仕事には慣れてきましたか?

 

神箸:はい、まだまだ未熟ですが、少しずつ仕事を覚えてきて慣れてきました。プロ入り、就職、引っ越し。全てほぼ同じタイミングで大変だったですけど、今は毎日新鮮で楽しいです。

 

――プレイヤーとしての今後の課題は?

 

神箸:今回の試合内容に如実に現れていたのが、さっきも言いましたが、自分の「行ききれない弱さ」。勝ちが見えてきた時に弱気になってブレーキを掛けてしまうところです。それはスヌーカーをやっていた頃から自覚しています。なので変な言い方ですけど、もっとエゴイストになるというか、「俺が勝つ」「出来て当たり前」ぐらいのマインドでガツガツ行けるメンタリティーも身に付けたいと思っています。

 

――わかりました。最後に、応援してくれた人へ一言。

 

神箸:『JIN』時代から応援してくださっている方々をはじめとして、新しい環境に移ってからもたくさんの方に応援していただいたり励ましていただいてやってこれたので、今回良い報告ができたことはとても嬉しいです。なかでも、仕事でも競技活動でもお世話になっている清水不動産の清水社長に優勝の報告ができたのは嬉しかったですし、これからも会社の看板を背負って頑張りたいという気持ちがさらに強くなりました。今後もまたこうやって、応援してくださっている皆様に良い報告ができるように練習に励みたいと思います。

 

(了)

 

※今年1月、MEZZ/EXCEED

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※神箸プロは6月より

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Keishin Kamihashi

 

2000年12月29日生まれ

愛知県出身

実父は神箸久貴プロ(JPBF。元JPBAプロ)

JPBA57期生(2023年プロ入り)

清水不動産株式会社(神奈川)勤務

使用キューはMEZZ

 

主な戦績は

『全日本スヌーカー選手権』優勝3回(アマ時代)

『スヌーカージャパンオープン』優勝2回(アマ時代)

2022年『JPBA西日本グランプリ第1戦(GPW-1)』優勝(アマ時代)

2023年『全日本14-1オープン選手権』優勝

 

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