〈BD〉「決勝戦の終盤、自分の理想を持って撞こうと」――全日本女子3C、4度目の優勝・西本優子の談話

 

17日(日)の

『全日本女子スリークッション選手権』

優勝した西本優子プロの

談話をお届けします。

 

西本プロは連覇で4度目の優勝。

今年は昨年ともまた違う心境で

プレーしていたと振り返ります。

 

…………

 

Yuko Nishimoto

2006年JPBF入り

『全日本レディーススリークッション選手権』優勝4回

(2011年、2014年、2021年、2022年)

『世界レディーススリークッション選手権』準優勝2回

(2012年&2014年)

『アダムエメラルドカップ』優勝6回

(2000年、2002年、2003年、2006年、2007年&2009年)

主な練習場所:『NIKKA5』(東京)

キュー:Sasaki Cue(シャフトはBirds Eye-X、タップはナビゲーター)

スポンサー:Sasaki Cue、ナビゲーター

 

…………

 

――まずは連覇の感想を。

 

西本:ホッとしました(笑)。去年もプロとしてタイトルを守れてホッとしたのですが、今年はまた違う気持ちです。今年は自分の調子自体、良くはなかったですし、決勝戦は相手の深尾(典子)選手のペースでした。もちろん諦めていた訳ではないですけど、かなり苦しい試合になり、正直途中から負けを覚悟しました。だから、勝った瞬間『まさか優勝出来るとは』という気持ちもありました。

 

――連覇は目標に掲げていたのですか?

 

西本:意識はしていましたけど、今回の決勝ラウンドの10名でプロは私一人だったので、今年はより一層プレッシャーがありました(※昨年は肥田一美プロも決勝戦ラウンドに出ていた)。今まで全日本女子3Cでアマ選手の優勝はないということを聞いていましたし、ここで歴史を変えてしまう訳にはいかないなと。ただ、今の私はそこまで当てられる自信はなかったですし、周りのレベルも上がってきているので大会前は不安しかなかったです。この一ヶ月ぐらいずっと逃げ出したいような気持ちでした(苦笑)。本番も半分ぐらいはそんな気持ちのまま撞いてました。

 

――決勝リーグ(4戦全勝)を振り返ると?

 

西本:数字(Av. 0.720)で見ると良くはないですけど、自分の球の状態や精神状態を考えるとまあまあよく撞けた方だと思います。タイム制の試合が久しぶりだったので、間合いとかジョーカー(タイムエクステンション)の使い所とかで、試合感みたいなものが衰えてたなと思います。そのせいか、もっといいアベレージが出せそうな試合もありましたけど決め切れなくて数字が伸びなかったかなと思います。

 

――順位決定戦に進み、準決勝(vs 石井舞アマ)は終始西本プロペースで勝利。決勝戦は昨年の再戦に(vs 深尾典子アマ)。この決勝戦、重苦しい展開でした。

 

西本:決勝戦はもうホント重かったですね(苦笑)。深尾選手には5月の『クイーンカップ』の決勝戦で負けてますし、今回予選で彼女はよく当てていましたし、やはり意識はしていました。良い配置を渡すと当てられちゃうんじゃないかという怖さがずっとあり、出足から私がのびのび撞ける感じではなかったです。

 

――最後は西本プロが6点ランを撞き上げて逆転勝ちを収めましたが、そこに至るまでの過程で心境の変化はありましたか?

 

西本:後で振り返ってみて『あそこで吹っ切れたのかな』と思うのは35イニング目です(※勝利の2イニング前)。裏回しも小さい箱球も行けるような割とイージーな配置になったんです。後で動画を見たら黙って箱球かなという配置だったので、試合中はだいぶ頭が回っていなかったなと思いますが……(笑)。あの時の私はまだ、外すと相手に良い球が行くイメージしか湧かなくて。結果的に箱球を撞いたんですけど、全然そっぽでした。その時の厚みとヒネリの組み合わせは、次に繋げてハイランを出そうというものじゃなくて、抜けたら後が難しくなるという組み合わせで撞いてました。外した直後、自分の中で「これは自分のビリヤードとしてはどうなんだ」と。

 

――ふと我に返ったと。

 

西本:はい、「たとえ負けるとしてもそれはダメだな」と。そこでやっと気持ちの整理がついたというか。もし次またチャンスが来たら、失敗したり相手にいい球を渡すことは恐れず、きっちりと自分の理想を持って撞こうと。今思えばその姿勢がたまたま良い方向に出て、最後の6点に繋ったのかなと思います。あの6点ランはそこまで細かくポジションプレーを考えていた訳ではないですし、難しい球もありましたけど、撞いているうちにストロークのイメージがすごく良くなっていってちゃんと撞けた感覚があります。心境の変化がストロークに影響したんだと思います。

 

 

――最後はダブルレールでした。

 

西本:初見では赤の右に当てて表回しの二重回しかなと思ったんですが、いざ構えてみたら、赤が白にキスする危険性と厚みのシビアさに気が付いて一旦構えを解きました。そして、ほとんど迷わずダブルレールに決めました。当たった瞬間はもう「よし、勝った!!」みたいな気持ちでした。途中から「負ける」と思いながらやっていて……もう半分チャレンジャーの心境ですよね。だから、逆転で勝つことが出来てより一層「やった!」という思いが強かったんだと思います。素でガッツポーズしたのは初めてかもしれません(笑)。

 

――試合直後「最後まで諦めず撞けた」ということもおっしゃっていました。

 

西本:5月『クイーンカップ』の時、私は調子が良くて決勝戦(vs 深尾アマ)も出だしは良かったんです。でも、疲れからだと思うんですが、途中でフッと集中が途切れてしまったというか。深尾選手のエネルギッシュで勢いのあるプレーに根負けしてしまった感覚が残っていました。だから、また深尾選手と当たることがあったら、根負けだけはしないようにと思っていました。もちろん体力や体調にも気を使っていました。1週間前、前日、当日朝、試合中……など思ったような過ごし方が出来たことも大きかったと思います。

 

――9月には『世界女子3C選手権』(オランダ開催)もあります。それも含めて今後の展望をお聞かせください。

 

西本:去年の『世界女子3C選手権』はコロナで非開催でしたが、今年はおそらく開催されると思いますので参加する予定です。もちろん世界選手権は大事なイベントですが、今回の大会を通して、「このままでは日本でも勝てなくなってしまう」という思いがさらに強くなりました。深尾選手を筆頭に周りのレベルが上がっていることをひしひしと感じます。なので、来年度大会までの1年間でこの1年の倍以上は練習してさらに力を付けたいです。

 

――わかりました。最後に応援してくれた方々へメッセージを。

 

西本:今回勝てたのはやはり応援してくださった方々のおかげだと思います。先輩プロたちを含め、多くの方々に応援や励ましの言葉をいただきました。優勝のお祝いのメッセージもたくさんいただきました。皆様の温かい言葉のおかげで力が出せたと思います。本当にありがとうございました。そして、まだコロナ禍が続く中で大会の開催と運営に力を尽くしてくださったスポンサー様やスタッフの方々にも感謝しています。これからも大会に関わる皆様の気持ちに見合うようなプレイヤーであり続けたいと改めて実感しました。今後も応援よろしくお願いいたします。

 

(了)

 

 

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