〈BD〉カスタムの輝き・「ベンダー」編その3。『Cabin Fever』

 

カスタムキューを多数取り扱っている

UK Corporation

 

その代表、大原秀夫氏が所蔵している

キューを見ていく本企画。

 

(※過去記事はこちら

 

今回は『Bender』(ベンダー)を

紹介します。

 

本企画では3本目のベンダーです

(※1本目の記事はこちら

2本目はこちら )

 

代表のマイク・ベンダーは、

シカゴの『オメガ』

(オメガキューカンパニー ~ オメガdpk)の

創設者のうちの一人で、後に独立し、

1992年にアラスカに工房を構えました。

 

今回紹介するモデルは、

アーティスティックな意欲作、

『Cabin Fever』

(キャビンフィーバー)です。

 

…………

 

正式名称は、

『Cabin Fever: Lanai Petroglyphs』

(外出できないストレス:ラナイ島のペトログリフ)。

 

マイク・ベンダーが家族で

ハワイのラナイ島を訪れた時に

強く記憶に残った、

島に伝わる古代ハワイの

ペトログリフ(壁面彫刻)と

南国らしいビーチの光景。

 

この2つをスクリムショウ(彫刻)で

表現したモデルです。

 

ほぼ同じデザインで3本作られ、

大原さんの手元にあるのが「Ⅲ」。

製作されたのは2006年。

 

 

8/21 BD追記:

このキューの『Ⅰ』(No.1)は1998年に作られて、1999年のThe Gallery of American Cue Artで披露された記録が残っている。

 

 

バットのベース材には、

ハワイの銘木『ハワイアンコア』を使用。

 

フォアアームとスリーブには

ワインレッド寄りのハワイアンコアを、

ウッドハンドル(グリップ部)には

ゴールド寄りの

ハワイアンコアを使っています。

 

『長短10剣』デザインで、

長剣には内側から、

【緑―水色―青―紫―赤】という

5色のベニアが使われています。

 

シャフト後端も含めてリングは9箇所。

マザーオブパールとアワビ貝を

交互に配したデザインです。

 

アラスカに住むマイク・ベンダーにとって、

寒く長い冬の間、

室内に閉じ込められる日々は

決して珍しいものではありませんが、

 

やはり外出したくてウズウズしてきます

(その状態を英語では

Cabin Feverと表現します)。

 

温暖なハワイでのバケーションに

思いを馳せて作ったであろうことが

容易に想像できる作品名です。

 

 

大原氏・談:

 

「2000年前後にアメリカの『ICCS』

(インターナショナルキューコレクターズショウ)

かどこかのショウで初めて目にしました。

それが『Ⅰ』(No.1)だったと思います。

 

ハワイにインスピレーションを

受けたという、自由度が高く

チャレンジングな作風と、

現地の木材であるハワイアンコアを

使っているというところに強烈に惹かれて、

 

後日、マイク・ベンダーに直接

『あれと同じものを』とお願いして

作ってもらいました。

 

私が入手したのは、

3本あるうちの『Ⅲ』(No.3)。

 

No.1とNo.2の方が

よりハワイアンコアの木目が

はっきり出ていたので、

そこだけはちょっと残念なのですが(笑)、

非常に気に入っている1本です。

 

ハワイアンコアは楽器の世界でも

家具の世界でも評価の高い銘木で、

私も以前ハワイアンコアの

ベースギターを持っていたことがあります。

 

ただ、カスタムキューで

ハワイアンコアをメインで使ったものは

私はこれ以外に見たことがないです。

 

『剣』の数が「5」の倍数で、

長剣にだけベニアを入れるというのは

マイク・ベンダーがよくやる作り方。

 

このキューも完全に自由に

デザインしているようでいて、

そのあたりには

ベンダーキューらしさも垣間見えます。

 

私が完成品を手にしたのは、

2006年の『SBE』

(スーパービリヤードエキスポ)の

会場でした。

 

マイク・ベンダー自ら、

わざわざ会場内の別のブースで、

このキューに合う色のウィットンの

1B2Sキューケースを買って、

そこにこのキューを入れてから

手渡してくれたことを覚えています。

 

最近はトンキン(Tonkin Cues)に

代表されるように、

『デザインを施したグリップ

(ウッドハンドル部)で魅せる』

カスタムキューも増えてきましたが、

2000年前後にはまだほとんど

ありませんでしたので、

私の目には斬新に映りました。

 

そして、『ICCS』という特別な空間で

出会ったというのも良かったのでしょう。

 

あの時のICCSは

立ち上げ2年目か3年目だったでしょうか。

 

完全招待制というのもありますが、

メーカーもディーラーもコレクターも

皆本気ですごく熱気がありました。

実際よくキューが動いていた時代でした。

 

そんな場所でこういった

独創的なキューに出会ったから、

深く印象に残ったというのもあるでしょう。

 

このキューを売る気はありません。

というより、

だいぶアート側に傾倒した作品なので、

そもそも買いたいという人が

そんなにいないんじゃないのかな(笑)。

 

私もこれを使ったことがないどころか、

持っているキューの中で

(バットとシャフトを)

繋いでないキューの第1位だと思います。

 

ひょっとすると、今初めて

繋いで振ったかもしれません(笑)」

 

(了)

 

 

…………

 

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