〈BD〉2週間の隔離生活からの5位入賞。小林英明に聞く「コロナ禍の韓国・PBA参戦」【後編】

 

韓国での2週間の隔離生活を経て

『PBA 第5戦』に参戦し、

5位タイ入賞を果たした

小林英明プロ(JPBF)のインタビュー。

 

後編をお届けします。

→前編はこちら

 

(※文中の韓国および日本での

PCR検査や隔離などについての情報は

2021年2月初旬のものです。

ご注意ください)

 

…………

 

前編から続く)

 

 

 

――韓国の隔離施設の部屋の中で身体は動かしていましたか?

 

小林英明(以下、小):部屋のドアから窓までの4~5mぐらいの短い距離を何往復も小走りしたり、筋トレをしてました。はじめは朝食と昼食の間にやってたんですけど、3、4日したら身体が馴染んできて夕食の前にもやるようになりました。そのおかげか向こうにいる間ずっと体調は良かったですし、隔離生活を終えて韓国のビリヤード関係者にお会いした時に『痩せましたね』と言われました。1週間で戻りましたけど(笑)。

 

――当然ビリヤードは全く出来ないですよね。部屋で素振りぐらいはしていたのでしょうか?

 

小:見てください、これを。↓

 

 

――すごい! 自作卓上ストローク調整マシン。

 

小:名付けて「アイソレーションショット01」。今考えました(笑)。荷物を利用して傾斜を付けてあって、球を撞いたらちゃんと手元に戻って来ます。フルショットもできます。事前に隔離生活のことを林プロと東内プロから聞いた時にひらめいて、日本でダンボールでパーツを作って、ラシャの切れ端とボールと一緒にスーツケースに入れました。アダムジャパンさんのキューを入れる細長いダンボール。あれがちょうど使いやすいんですよ。

 

――これがあればストロークの感覚は維持できそうですね。

 

小:我ながらナイスアイディアでした。でも、3、4日ぐらい経った時にメインシャフトのタップが飛んじゃって(笑)。

 

――ええっ。

 

小:やっぱり本物のテーブルと違ってダンボールには凹凸がありますし、ショット時に強い負荷がキュー先にかかるんだと思います。それからはスペアシャフトで素振りしてました。隔離生活が明けて『YGクラブ』(ソウルのビリヤード場)さんに直行したのは「早くタップを付けたい」という気持ちもありました。そんなハプニングもありましたけど、これは作ってよかったです。一応TVゲームも買って持って行ったんですけど、ほとんどやらなかったです。

 

――ちなみに、隔離施設ではお酒は飲めないですよね?

 

小:はい。隔離期間が明けて韓国の方と食事に行ってビールをいただいた時は涙が出そうになりましたね、うますぎて(笑)。

 

――14日間が過ぎてからは?

 

小:隔離施設を出る前日にもう一回PCR検査を受けて陰性だったので、証明書をもらって出て行きました。最寄りの地下鉄の駅までバスで送ってくれて、そこからは一人で大荷物を抱えながら地下鉄で試合会場の方(金浦空港方面)へ向かいました。僕は韓国語はほとんどできませんが、韓国の地下鉄は乗り慣れていてカードも持っているので、そこはなんとかなりました。

 

――その日以降の滞在場所は? PBA指定ホテルに移ったんですか?

 

小:今回僕は節約のためにPBA指定ホテルではなくて、自費で会場そばのモーテルに泊まっていました。この宿がまた不便で、コンビニだけは近かったですけど、飲食店まで歩いて15分かかるし、もちろん近くにビリヤード場はないし、最寄り駅まで30分かかるような立地でした。隔離が明けてすぐの2、3日は駅まで歩いて地下鉄で『YGクラブ』に行きましたけど、それ以降は行きませんでした。

 

――本当にご苦労ばかりですね。よくぞ5位まで。

 

小:帰国時も大変だったんですよ。試合の記憶が薄れてるぐらいです。

 

――ぜひそれも聞かせてください。

 

小:韓国での最後のPCR検査の陰性証明をもらうのに時間がかかってしまい、帰国便に間に合うかどうか本当にギリギリでした。

 

――どこで検査を受けたんですか?

 

小:空港です。帰りの飛行機も仁川空港からで、(同時期開催の『LPBAに出ていた)林奈美子プロと同じ便でした。仁川空港の中でPCR検査を受けられるのはわかってたんですけど、陰性の証明書をもらえるまで早くても7時間かかると聞いていて、僕らの乗る便は午前中発だったので当日じゃダメだなと。なので余裕を持って帰国前日の午前中に空港内の検査場に行きました。でも、混んでいて検査を受けるのに時間がかかり、結局その日のうちに証明書をもらえなかったんです。

 

――焦りますね。

 

小:そんなこともあろうかと帰国前夜は仁川空港近くに宿を取ってました。翌朝、帰国便は10時30分発で、検査場は朝9時に開く。朝イチで検査場に行くしかありません。ただ、やっかいなことに帰国便が出るターミナルとPCR検査場のあるターミナルは別で、移動に車で20分かかります。

 

――それはミッションほぼインポッシブル……。

 

小:でしょう?(苦笑) でも、やるしかない。朝7時30分にまず帰国便のターミナルでチェックインだけ先に済ませてスーツケースを預けました。しかし、その時になんと「強風の影響を避けるためこの便は早く出発します。10時10分発です」というアナウンス……。「うわ~っ」です。

 

――聞いていて汗が出てきました。

 

小:とにかく僕らは計画通り、検査場のあるターミナルへタクシーで向かい、9時のオープン前に扉の前に並びました。1分でも早く開いてくれと願いましたが、時間通りでした(笑)。中に入ってすぐ証明書を受け取り、またタクシーに飛び乗って帰国便のターミナルへ駆け込み、出国手続きをして搭乗ゲートへ。奇跡的に全てがスムーズにいって、最後はお土産を買う時間が10分ありました(笑)。

 

――心臓に悪い冒険でしたね。そして今はご自宅で自主隔離とのこと。

 

小:あんな思いはもうしたくないですね(笑)。2月いっぱいは自宅にいます。お店(小林諒子プロとともに営む『Billiards KOBAYASHI -BRIGHT-』)にはもちろん行けないですし、家でおとなしくするしかありません。隔離施設にいた時にやっていたようなトレーニングをこちらでもやってます。お世話になっているココカラダさんを飲みながら(笑)。向こうに比べたら自宅での隔離は気分的にまるで違う。天国です。

 

 

――大会の前後に2週間ずつ隔離期間があるとなると、さすがに「海外遠征に行きたくても行けない」という選手が多いだろうと思います。

 

小:約5週間、身体が空いてないと行けないですからね。僕ももう一度同じことをやれと言われたら、もちろんやりたくはないですよ(苦笑)。でも……それでも行きたいですね。単純にコロナ禍で試合がなかったですし、日本の公式試合には出られないので、試合に飢えています。自分がこの先どれだけ競技活動ができるかと考えると、一つでも多く試合をしたいという気持ちが強いです。それに、PBAは最高峰の舞台で夢があってキャロプレイヤーとしてはとても魅力的です。

 

――小林プロは次はいつ韓国に行くことになるのでしょうか? 

 

小:来シーズンの開幕戦は今年5月だと聞いていますので、その時の状況次第ですけど、そこに行きたいです。PBAの中の人と話をしたら「来シーズンは開催数を増やす予定だ」と言っていたので、できるだけ長く韓国に滞在して、数試合まとめて出られたらいいですよね。それならもしまた隔離生活があるとしても耐えられそうな気がします。ないのが一番いいですけどね(笑)。

 

(了)

 

 

…………

 

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