〈BD〉カスタムの輝き・「ロビンソン」編

 

カスタムキューを多数取り扱っている

UK Corporation

 

その代表、大原秀夫氏が所蔵している

キューを見ていく本企画。

 

(※過去記事はこちら

 

今回は、1960年から製作開始、

独自のキュー哲学をベースに、

ユニークな仕様とデザインを備えた

モデルを生み出してきた、

 

老舗にして孤高のメーカー、

ROBINSON(ロビンソン)を紹介します。

 

代表はJohn Robinson(ジョン・ロビンソン)。

長年息子のグレッグとともに

キューを作っていましたが、

近年は全く新作が出ている様子がありません。

 

ロビンソンキューの公式サイトも

現在クローズされており、

キュー製作が続けられている可能性は

低そうです(ジョンが2016年に

亡くなったという情報もあります)。

 

…………

 

今回ご紹介するのは1996年製のモデル。

 

フォアアームのベース材は

バーズアイメイプル。

エボニーの6剣が入れられています。

 

剣の先端には

アローヘッド(矢じり型)のインレイ。

剣の根本とエボニーのスリーブには

ダイヤ(ひし形)のインレイ。

 

ロビンソンの最大の特徴は、

「リバースジョイント」(逆ネジ)。

 

シャフト側にオスネジ、

バット側にメスネジが切られています。

 

金属製フラットフェイスジョイントなため、

強固な結合感があります。

 

そして、バット側のジョイントカラーに

デザインが施されているのも特徴です。

 

 

大原氏・談:

 

「これはシカゴのキューディーラの

ジョン・ライトから私が新品で仕入れて、

日本のお客さんに売ったキューです。

 

ロビンソンはカタログのあるメーカーで、

これもカタログモデルだったはずです。

『Eのなんとか』という型番が

付いていた記憶があります。

 

そのお客さんは始めのうちは

このキューで結構撞いていたのですが、

事情があって10数年経ってから

私の所に戻って来ました。

 

お客様の保管状況が良くなかったようで、

だいぶ湿気を吸ってしまい、バットが曲がり、

糸巻きも湿ってしまいました。

……ということで

これは売り物ではありません。

 

ロビンソンには他メーカーにはない

特徴がいくつかありますが、

最大の特徴は『リバースジョイント』

(逆ネジ)だというところ。

 

使っているネジ自体は『18山』という

珍しくない規格ですが、

オスネジがシャフト側に立てられていて、

メスネジがバット側に切られています。

つまり、他のキューとは『ネジが逆』です。

 

ロビンソンは1960年から

キューを作っていますが、

初期からこのスタイルだったようです。

 

(※BD註:

19世紀末のブランズウィック社製の

キューで『逆ネジ』のものがあるので、

ロビンソンが『初』ではない模様)

 

キャロムキューではたまに

『リバースジョイント』を見ますよね。

レイ・シューラーや古いアダムジャパンとか。

 

でも、プール(ポケットビリヤード)だと、

台湾製のキューで昔見たことがありますが、

それ以外では私は見ていません。

 

ロビンソンはおそらく、

『キューの強度をアップさせて、

しっかりとした打感を実現するために』

リバースジョイントを採用したのだと思います。

 

実際、ロビンソンのキューは

ものすごくソリッドな打感です。

 

シャフト材自体が良いということもありますし、

バットも細めだけど結構しっかりしているので、

『カキーン』という打感です。

ぐにゃっとしたメウチやジョスとは

真逆と言っていい性格です。

 

リバースジョイントだと

互換性がなくて他社製のシャフトが

使えないという大きな弱点がありますが、

 

それでもこの撞き味が好きというファンは

当時も今も結構いるんじゃないかと思います。

 

他に、ロビンソンはジョイントカラーの部分に

デザインを入れた初めてのメーカーだということと、

インレイに使われる象牙にカラフルな着色を

施したことでも知られています。

 

何か必然性があってそうなったのか、

意図的にオリジナリティを出そうとして

そうなったのか、今となってはわかりませんが、

そういった特徴のおかげで、他メーカーとは

一線を画する存在になったのは事実です。

まさに異彩を放っていたメーカーです。

 

1980年代後半の映画『ハスラー2』ブーム期以降、

日本にもロビンソンが多く入って来ました。

一時期は日本でも何人かのプロや

上級者がロビンソンを使っていました。

 

そうそう、当時ロビンソンを持っていた人は、

こんな遊びをやったことがあると思います。↓

 

 

ジョイントが18山フラットフェイスだから、

他の18山のシャフトと

『シャフト同士で繋げる』んです。

それで球を撞いてみたり。

他愛も無い遊びですけど、

こんなことも出来ますよということで(笑)。

 

ロビンソンはとても個性豊かで

面白いキューだからこそ、使ってなくても

今も大事に持っているという人は

まだまだいるんじゃないかと思います。

 

このキューも、いつかバットの曲がりが

直せたら売り物にするかもしれませんが、

全く急いでいませんし、この先ロビンソンの

新作が出て来るとも思えないので、

このまま自分のものにしても良いかなと思ってます」

 

(了)

 

 

…………

 

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