〈BD〉スリークッションに完全転向? 『LPBA』を4試合戦った金佳映。最新インタビューを読む

金佳映 写真は2018 China Openより
金佳映 写真は2018 China Openより

 

今年から韓国で始まった

スリークッション(3C)の新プロツアー、

『PBA / LPBA』。

 

日本の3C女子プロの

林奈美子プロが準優勝(第3戦)

小林諒子プロが3位(第4戦)という

戦績を残しているのは既報の通り。

 

このLPBAに、

韓国が誇る女子9ボール世界チャンピオン

(2004年&2006年)で、

「女帝」とも称される

金佳映(キム・ガヨン。36歳)が、

参加したことは大きなニュースとなりました。

 

金佳映は完全に転籍した訳ではなく、

スポンサーのワイルドカードで

LPBAに出ているという立場のようですが、

毎回上位フィニッシュをしている事実が

表しているように、ただのお飾りでも、

物見遊山でもありません。

 

両種目をプレーしたことのある方なら

おわかりの通り、ポケットと3Cでは、

テーブルやボールのサイズ、

ゲーム性が大きく異なり、

 

求められるスキル・ストローク・

知識なども違うため、トップのレベルで

「兼業」が出来る人はほぼいません。

 

金佳映は自身のチャレンジをどう捉えているのか。

9月半ばに韓国メディア『OSEN』に掲載された、

インタビュー記事をかいつまんでお届けします。

→原文はこちら

 

…………

 

本記事に付けられた見出しは、

 

「韓国のポケット女帝は今後も

ポケットと3Cを並行してプレーする予定だ」

というもの。

 

金佳映は第1戦3位、

第2戦と第3戦で5位タイ、

そして第4戦で9位タイという成績をマーク。

 

3Cを専門にやってきている

韓国の中堅〜若手プレイヤーたちにも

引けを取らない戦績を残しています。

 

もともと金佳映のビリヤードキャリアの

スタートはキャロムビリヤードだったので、

素養があるのは間違いありません。

 

韓国で金佳映はすでにLPBAの

優勝候補の一人と考えられています。

 

同じような立場でLPBAに出ている

車由蘭(チャ・ユラム)よりも、

明らかに3Cがちゃんと撞けている

ということでさらに関心を集めています。

 

以下で、一問一答の内容を拾い読みしてみます。

 

(※韓国語を機械翻訳にかけてから、

半ば強引に意訳しています。

部分的に韓国語のわかる人に助けてもらいましたが、

間違っているところもあると思います。

ご了承ください)

 

…………

 

↑ 金佳映のLPBA4大会での成績

 

 

 

Q:周囲の期待が非常に大きいですね。

 

A:それはよく感じています。しかし、今は優勝よりもアベレージを上げることが先だと思っていますし、出来るだけのことはやっていると思います。皆さん、私が優勝することを期待してくれていますが、それだけの練習はしていると思います。

 

Q:LPBAの4戦を戦っての感想は?

 

A:4大会トータルのアベレージが1位(0.850)だということは知っています。高いアベレージを維持できていることに満足していますし、運だとは思っていません。実力が出せていると思います。

 

Q:3Cの大会に出ることになって、変わったこととは?

 

A:闘争心に火が点いています。ポケットでもそうだったけど、負けることにはどうしても慣れません。こんなにたくさん負けたことはありませんから。

 

Q:チャ・ユラム(車由蘭)もそうだと思うが、「種目変更(ポケット→3C)の限界」という言葉もある。

 

A:まだそれを認めることは出来ません。結論を下すのは一通りやってからです。3Cに集中的に取り組んで、今ちょうど3ヶ月になりました。まだ努力が足りてないと思います。私が知っている転向の例を挙げると、3C男子トップ選手のT・ブロムダール(スウェーデン)は、以前本格的にポケットに取り組んでいたことがあります。実際彼がポケットをプレーするのを見るととても上手ですよ。ヨーロッパでポケットのタイトルも持っていますからね。私がLPBAで成功することが出来たら、皆に良い影響を与えることができると思います。

 

Q:チャ・ユラムにアドバイスをするなら?

 

A:私はまだ誰かに助言が出来るようなレベルではありません。それに、得意・不得意に思うポイントは人それぞれ異なるので、アドバイスを送るのは難しい。ただ、競技を変えるなら、多くの習慣も変えて長く続けなければならないと思います。父(※金佳映の幼少期のコーチは父だった)は私の試合を見た時に、「まだポケットのストロークだな」と言いました。3Cは多様なストロークを使い分ける必要がありますが、ポケットではほぼ一定です。ポケットのストロークには精度と一貫性が求められます。私もまだポケットのストロークから切り替えられずにいます。多様性が重要なのか、一貫性が重要なのか。すごく悩んでいますが、まだその基準が自分の中にありません。

 

多くの人が「ポケットも3Cも同じビリヤードでしょう?」と言うでしょう。でも、ポケットの場合、撞いた後はいつも目は的球ばかり追っていますが、3Cでは的球がどこに行こうが手球を見なければならない。ポケットでは全ての球を入れることに集中していますが、3Cでは手球の軌道を描かなければならない。20年以上繰り返してきた習慣を捨てて、新しい習慣を作っていかなければなりません。私は自分の精神力に自信を持っていますが、3Cの実力が足りていないので、精神力があまり役に立ちません。劣等感を感じ、気持ちの整理が難しい時もあります。

 

Q:「金佳映は3Cも上手だ」という評価がプレッシャーになっていませんか?

 

A:今日も高齢のビリヤードファンから「よく撞けていたね」、「もっと練習しなければならないよ」、「優勝候補だね」と言われました。四ツ球(※韓国式四ツ球)は700点を撞いたことがありますが(※日本で言う70点に相当)、それは25年前の話です。再びキャロムに戻って来て、3Cを撞いた時のアベレージは0.7ぐらいでした。そこから3ヶ月で0.1ぐらい上げたことになります。もしこのペースが維持出来るのなら、2020年にはアベレージが1.0になるんじゃないかと内心自分に期待しています。もちろん期待するだけでなく、たくさん練習しなければいけません。

 

Q:3Cならではの楽しみとは?

 

A:3Cは本当に面白い。ポケットを撞く時は、もう新しいことを学ぶという感覚はなく、すでに知っているショットのミスの確率を減らしていく日々でした。ルールやテーブル環境など、適応しなければならないことはありますが、技術的には天井が見えていたように感じられます。一方、3Cは私にとって新世界です。わからないことが多すぎて学ぶことも多い。知らなかったことを知り、新しいものを学び、見落としていたことを再度考えるようになる。そんなところが興味深いですね。

 

Q:今はワイルドカードでLPBAに出ていますが、来年には正式にLPBAに登録しますか?

 

A:それに答えるのは時期尚早です。韓国ビリヤード連盟からは3年間の資格停止処分を受けていますが、まだ籍はあります。今考えているのは、どうにかしてポケットと3Cを並行してやっていけないかということ。韓国ビリヤード連盟主催大会以外にもポケットの大会はありますし、ポケットにもまだ面白さは感じていますから。

 

Q:「サバイバル」(4人撞き)からの「セットマッチ」というフォーマットはベテラン選手に不利だという声もあります。

 

A:その質問に答えるには、私にはまだ3Cの経験が足りていません。少なくともレベルを上げなければ答えは出せません。ポケットにもセットマッチスタイルがあったり、サドンデススタイルの試合がありますし、私は勝ったことも負けたこともあります。LPBAはまだ始まったばかりなので、そのような声も出るのでしょう。ベテランプレイヤーがこのフォーマットに適応し、大会序盤から集中できれば、徐々に力を発揮出来ると思います。ポケットでも大会序盤は優勝候補ではない人が活躍することもあるけれど、時間が経つにつれ、技術とメンタルを備えた人が優勝していました。LPBAもそうではないでしょうか。

 

Q:あなたはLPBA(女子)の選手だけでなく、PBA(男子)の選手と比較しても豊富な試合経験を持っていますが、ゲームに役立っていると思いますか?

 

A:そんなことを考える余裕はありません。率直に言って、試合中は理解しなければいけないことが多すぎて余裕がないです。ポケットの試合では残り10秒になったら審判がカウントをしてくれます。でも、LPBAでは自分でタイムを見て残り時間の使い方を決めなくてはいけない。他の選手をじっくり観察する余裕もなく、まだ3Cの試合スタイルにも慣れていません。ポケットの試合経験が多くて、3Cのアベレージが高い私がLPBAで優勝出来ていないというのは、3Cの試合経験が不足しているからだろうと思います。力はあっても勝つ方法を知らないということです。今新しい経験を積んでいますが、時間が足りないので、熱心に見て学んでいます。

 

Q:あなたのお店『ビリヤードアカデミー』で3Cを学びたいという人はいないですか?

 

A:アカデミーではポケットしか教えていません。お問い合わせをたくさんいただいているのは事実ですが、ビリヤードアカデミーはポケットメインでオープンしたので、3Cの講師はいません。店内には私の練習用としてキャロムテーブルが1台あります。3Cのプロの金哉瑾(キム・ジェガン)にいつも助けてもらっています。

 

Q:ヘアスタイルも変わりましたね。今は前髪を下ろしています。

 

A:前髪はもともとあったのですが、ポケットのフォームは低く、前髪を下げると視界が狭くなるので上げていました。逆に3Cは高く構えるから、前髪を下ろしていても大丈夫です。ある日、3Cを撞く時に前髪を上げずに出て行ったんですが、視界が狭くならなかった。だから前髪をおろすことにしました。ポケットは低く構えるし、正装の試合ではネクタイをするのが窮屈でした。

 

Q:あなたの試合中の表情がよく話題になりますね。

 

A:コントロールはしていません。口の端が下がり、怖い顔になっていることは自分でもわかってます。以前、笑顔で目も大きく開けるようにしていた時もありました。そうしたらビリヤードがダメになったので、気にしないことにしました。仕方ないですよね。ビリヤードのためですから。

 

(了)

 

 

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