〈BD〉カスタムの輝き・「バラブシュカ」編

 

カスタムキューを多数取り扱っている

UK Corporation

 

その代表、大原秀夫氏が所蔵している

キューを見ていく本企画。

 

(※過去記事はこちら

 

今回はキューの歴史を語る上では外せない、

「伝説にして原点」なキュー、

 

『BALABUSHKA』(バラブシュカ)を

紹介します。

 

映画『ハスラー2』(1986年)にも

名キューとして登場し(劇中のキューは

JOSS製でしたが)、世間一般にもその名を

知られるようになったバラブシュカ。

 

(↑何度観ても面白いんですよね、

「1」も「2」も。

仕事部屋のBGVにしたりしてます)

 

…………

 

その代表は、ロシア生まれで

10代前半でニューヨークに移り住んだ

ジョージ・バラブシュカ(1912―1975)。

 

Wikipedia(英語版)の情報を信じるならば、

バラブシュカは、キュー作りを生業にしていた

16年の間(1959-1975)に、

1,200本のキューを作ったと言われています。

 

この本数を多いと捉えるか

少ないと捉えるかは人それぞれですが、

 

間違いない事実としては、

「本物と鑑定されたバラブシュカは

今も高値で取引されている」ということ。

 

バイオリンの名器、『ストラディバリウス』に

たとえられるのもむべなるかな。

 

今のキューの礎となった

「定番」とも言えるデザイン様式・構造と、

高いプレイアビリティを備えた、

「ジ・オリジン」なメーカーの一つです。

 

BDは以前に数本見たことがありますが、

撮影するのは初めてでした。

 

…………

 

今回紹介するのは、

1966年~1971年の間に作られたと思わる、

「バートン・スペイン」製のハギが入ったモデル。

 

 

メイプルベースで

ローズウッド(と推察)の4剣ハギ。

ベニアは内側から白・緑・オレンジ・黒。

 

ハギの根本には

マザーオブパール製のスロッテッドダイヤ

(切り込み入りのひし形)のインレイ。

 

グリップは白地に緑のアイリッシュリネン。

これはオリジナルではなく、巻き直されたもの

(キュー本体もリフィニッシュされています)。

 

スリーブはエボニーベースで、

スロッテッドダイヤとドットのインレイが入り、

金属製のライン(おそらくアルミ合金)が

太いものと細いもの、計4本配されています。

 

バットキャップはデルリン(樹脂)製。

 

キュー尻のゴムはオリジナルではなく

他社製のものに換装済み。

 

ジョイント部はステンレス製で

ジョイントピンは5/16-14山(パイロテッド)。

 

オリジナルシャフト2本

(バットと一緒に写っているもの)と、

のちに日本国内で作られたシャフト3本

(写真なし)の計5本が付属します。

 

大原氏・談:

 

「つい最近私の所に来たバラブシュカです。

これは『For Sale』で、

価格は300万円以上を考えています。

 

バットと2本のオリジナルシャフトは、

私の友人であり、バラブシュカの

専門家でもあるキューディーラー、

マーク・カランジン氏の鑑定済み。

 

『おめでとう。これは本物のバラブシュカだ。

ハギはバートン・スペイン製だね』

と言われました。

 

リフィニッシュ済みで

グリップの糸は巻き直してあります。

キュー尻のゴム(バンパーゴム)も取り替え済み。

オリジナルのゴムの色はブラウンです。

 

シャフトは計5本あり、

そのうち2本がオリジナル。

 

あとの3本はのちに日本国内で製作されたもので、

今はもう営業していない『吉村キュー』に

ストックされていたシャフト材を使って、

国内メーカーが作ったものだとのこと。

 

そのシャフト材は『TAD』から正規で

仕入れていた非常に状態の良いものです。

 

短い時間ですが、私がテストヒットをしたところ、

バットもシャフトもなかなか良いコンディションでした。

 

ほんのわずかな反りや曲がりはありますが、

プレーには支障はないレベルだと言えるでしょう。

 

この4剣ハギのスタイルは王道です。

 

スリーブデザインは比較的よく見られるものですが、

独創的なスリーブデザインのモデルが

多く見られるバラブシュカの中では、

シンプルな部類に入るでしょうか。

 

これまで私(UK Corporation)は

5本ぐらい、バラブシュカを

取り扱ったことがあります。

 

映画『ハスラー2』の頃に

それなりの本数のバラブシュカが

日本に持ち込まれたと思いますが、

当時所有していた方がご高齢になって

手放すというケースが結構ありました。

 

あと、当然と言えば当然ですが、

バラブシュカの撞き味や性能は

1960年代~70年代のスタンダードなので、

 

パワーがあって見越しの少ないキューが

好まれる現代では『古風』と感じられるはずです。

 

それでバラブシュカを使わなくなった

という方もいるでしょう。

 

状態の良いバラブシュカは撞くと『コキーン』と

高くて澄んだ音がするものが多く、

それだけでも魅力的ですけどね。

 

ともあれ、私の場合は、

日本でバラブシュカを入手して、

アメリカに持ち込み、マーク・カランジンに

販売を委託するというケースが多かったです。

もちろん全て売れています。

 

そういった縁でマークとの関係性が深まり、

彼は10年ぐらい前に、

日本のカスタムキューファン向けに

バラブシュカの詳細な記事を寄せてくれました。

 

UK Corporationのサイトに上がっているので、

興味のある方はぜひご覧ください(こちら)。

 

今もバラブシュカは、本物だとわかれば、

希少価値・骨董的価値・ネームバリューを

含めた価格が付きます。

 

コレクターとしての私にとっては

バラブシュカはちょっと古典的すぎ、

かつシンプルすぎなのと、

 

プレーアビリティの観点からすると、

時代の近い別のキュー、例えば

ザンボッティなどの方に惹かれてしまう

というところから、私のコレクションの

対象にはなっていません。

 

ただ、バラブシュカが

『現代キューの原点の一つ』であるところや、

 

よく見ると完璧には作られていなくて

手作業の味が感じられるところ、

そして、意外とデザインバリエーションが

多いというところから、

 

コレクターにとって魅力的なキューである

ということもよくわかります。

 

一度は、一本は、手元に置いておきたいキュー。

それがバラブシュカだと思います」

 

(了)

 

 

…………

 

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