〈BD〉都心のオフィスにスヌーカーテーブルがやってきた。そのオーナーはどんな人……!?

 

2月のある日、BDは、

ビリヤード用品国内取扱い大手の

New Artさんから声を掛けていただき、

 

初めてスヌーカーテーブルの

設置作業の現場を見学しました。

 

日本国内にあるスヌーカーテーブルの数は、

詳しい人にたずねたところ、

「50台前後だろう」とのこと。

 

プール(ポケットビリヤード)テーブルと

比べると、設置やラシャ張り替えの案件が

かなり少ないため、作業を目にすること自体が稀。

 

さらに今回は、都心のオフィスに

最上級ランクの新台が入るという

レア中のレアケース。

 

目を皿のようにして設置工事の様子を

のぞかせていただきました。

 

テーブルオーナーは、

タイ人のIT関連企業経営者である、

シーシンハソングクラーム・チャクリットさん。

 

かなりのスヌーカー愛好家で、

日本(JSA)のスヌーカーの試合にも

出たことがある方です。

 

数年前から東京でオフィスを構えていますが、

この度、近隣にスヌーカーテーブルが

置けるような場所が見付かったため、

オフィスの引っ越しをすることに。

 

先にスヌーカーテーブルを置いてから

デスクやPCなどを移す段取りなので、

設置の日のオフィス内はガランとしていました。

 

チャクリットさんのお話は

作業終了後に聞くことにして、

まずは設置作業の撮影に集中します。

 

…………

 

 

このフォトギャラリーからも

現場の様子が伝わるのではないかと思いますが、

 

日頃見慣れたプール(ポケットビリヤード)

テーブルが9フィートで、

スヌーカーテーブルは12フィート。

 

この3フィート(約90cm)の違いは、

かなり大きいと感じました。

 

脚部・枠組・クッションレールなどの

各パーツが大きく、付属パーツやボルト類も多い。

 

5枚あるイタリア製スレート(石版)は

1枚あたり150kgほどあるそうで、

見るからに厚くて重そうです。

 

オフィスは5Fにあるのですが、

エレベーターでも階段でも運べない

長尺のパーツを、人力で外から

吊り上げる場面もありました。

 

百戦錬磨のNew Artスタッフの

皆さんにとってもスヌーカーテーブルの

設置はそう頻繁にあることではなく、

また今回は、イギリスから取り寄せた

新台ということもあり、

 

事前に綿密なロケハンや打ち合わせを

重ねてきていたとはいえ、

絶えず緊張を強いられている様子が

伝わってきました。

 

設置したテーブルは、

ライリー社の『アリストクラット』。

以前スヌーカーの世界選手権で

使用されていたハイエンドモデルです。

 

チャクリットさんはタイの自宅にも、

同じテーブルを持っていて

これがお気に入りなのだとか。

 

着々とテーブルが組み上がっている様子を、

穏やかな微笑みを浮かべながら

ずっと眺めていたチャクリットさん。

 

「日本の職人の皆さんは、タイの職人よりも

とても丁寧にやってくれていますね。

細かい所や見えない所まで

綺麗に作業してくれているので安心しました」

と語り、

 

仕上げの工程で自らポケットの幅をチェックし、

微調整をしてもらって完成となりました。

 

 

写真には写っていませんが、

このフロアの奥まった所に

オフィススペースがあり、

そこにデスクやパソコンを運び込めば、

新オフィス稼働開始となります。

 

出来上がったテーブルを見ながら、

チャクリットさんにお話をうかがいました。

(※日本語が堪能なチャクリットさんの

お姉さまに通訳していただきました)

 

 

――チャクリットさんは今おいくつですか? そして、スヌーカー歴は?

 

「39歳です。スヌーカーは18歳から始めて当時はかなり真剣にやっていました。ハイエストブレイクは練習で100ぐらい。試合で40~50ぐらいだったと思います。しかし、5年ぐらい経った頃、仕事がかなり忙しくなってしまい、スヌーカーはお休みすることになりました。2年ぐらい前にまた本格的にやろうと思って復帰しました」

 

――トーナメントにも出ているようですね。

 

「はい。日本のJSA主催の試合にも3、4回出ましたし、今年1月に『タイランドオープン』にも出ました。初戦は勝ったんですけど、すぐ仕事に戻らなくてはいけなくなって2戦目はキャンセルしてしまいました(笑)」

 

――タイはアジアのスヌーカー強国として知られていますが、今の国内の状況はどうですか?

 

「もちろん以前から人気はありますが、スポーツという認識はそれほど持たれていないと思います。というのも、ギャンブルのイメージが強いから。そのせいで、スヌーカークラブには小さな子供や学生達が行きづらいという状況があります。メジャーなスポーツとして認知されるにはまだ色々な『壁』があります」

 

――しかし、以前からJ・ワタナなどトップ選手を輩出しています。

 

「そうですね。国内にスヌーカーのアカデミーがあり、ジュニアや成人選手の教育や育成はずっと行われています。私も20年前ですけど、一時期アカデミーに入っていました。そう、ついこないだ、チェプチャイヤ・アンヌーンというタイの選手が、『Shoot-Out』(2月)というスヌーカーのランキングイベントで優勝しました。久しぶりにタイ選手がランキングイベントで勝ったので、タイでも話題になっています」

 

――チャクリットさんは先にタイで事業を立ち上げて、それから日本に進出してきたのですか?

 

「そうです。IT系の会社をタイで始めて、その後、日本に来て同じ業種で別の会社を作りました。最近は日本にいることが多いですが、たまにタイにも戻っています」

 

――タイの家にも同じスヌーカーテーブルがあるそうですね。タイでテーブルを設置する時は、イギリスから専門のテーブル職人を呼ぶと聞いたことがあります。

 

「はい、有名なスヌーカークラブなどでは割と普通にイギリスから職人を呼んでいます。私もそうする予定で、イギリスの職人の飛行機代などを含めて高額な費用を払ったのですが、ちょうどクーデター(2014年)が発生してしまい、イギリスの職人が怖がってしまって来なくなったんです。それでタイの職人だけでやってもらいました」

 

――日本のオフィスにテーブルを入れようと思った理由は?

 

「スヌーカーが大好きですから(笑)。日本ではスヌーカーが出来る所が少なくて、私のいる街にはスヌーカーが出来る場所はありません。今までは離れた所に撞きに行っていましたが、日々繰り返すのは大変だったので、自分のオフィスに置こうと思いました。今回、このテーブルはイギリスから取り寄せてもらったのですが、日本に届くまで3ヶ月ぐらいかかりました。でも、物件は前もって借りておく必要があったので、3ヶ月間家賃だけ払っていました(笑)。やっと今日テーブルが完成して良かったです。これでたくさん練習出来ます」

 

――このテーブルはインテリアではなく、チャクリットさんが本気で練習するためのものだということがよくわかりました。

 

「(笑)私もいい歳ですが、やっぱり試合で勝ちたいし、チャンピオンになりたいという思いは強いです。私が間に合わなかったら、息子にその夢を託します。まだ3歳ですけど(笑)。そして、私はもっと多くの日本の方にスヌーカーの魅力を知ってもらいたいし、プレーしてもらいたいと思っています。そのために何か私にできることがあれば関わらせていただきたいですね。それと、私の父がバンコクでスヌーカークラブを所有しているのですが、そろそろ引退するつもりでいるので、いずれ私が引き継ごうと思っています。場所はバンコクではなくてチェンマイ(タイ北部の都市)で。自分のスヌーカークラブを持つことも以前からの夢でした。私はずっとスヌーカーに関わり続けていきたいと思っています」

 

(了)

 

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