〈BD〉「大事なのはタップの『しなり』」――日本3Cトッププレイヤー、界敦康が語る『斬タップ』使用歴と”タップに求めること”

 

日本を始めとして世界各国で

競技プレイヤー層を中心に強い支持を

得ているハイクオリティ積層タップ、

』(ZAN)。

 

今回は、

2017日本スリークッションNo.1であり、

アーティスティックビリヤードでも

国内随一の戦績を誇る

キャロムビリヤードトッププレイヤー、

界敦康(さかい・のぶやす)プロに

ご登場いただき、

 

タップに求める性能・性質や、

斬タップの使用歴などをうかがいました。

 

…………

 

語り手:界敦康プロ

聞き手:BD

取材場所:『MARS』(東京・笹塚)

 

 

――界プロの斬タップ歴は?

 

「4、5年前からです。当初は『H』を使っていて、その後『M』も試しました。品質面は問題なかったですが、性能的には少し『粘り』が足りないかなという印象がありました。ちょっと反発力が足りないというか、『しなり』が少ないというか。自分がキャロムのプレイヤーで、ショットスピードが速い方だから特にそう感じたんだと思います。それを湯山さん(斬タップ代表・湯山功プロ)に伝えたら、『今開発中の新シリーズ(『プレミアムソフト』、『ハイブリッドマックス』、『グリップハード』の3モデル)があるのでそちらを使ってみてください』と」

 

――現在界プロは『グリップハード』を使用中です。

 

「ハイブリッドマックスもすごく良かったんですが、僕のショットスピードだとグリップハードが最適だと感じました。そこは人それぞれだと思います。年配の方などそこまでショットスピードが速くないキャロムプレイヤーの場合は、ハイブリッドマックスやMの方が扱いやすく、グリップハードだと『硬い』と感じるかもしれません」

 

――キャロムとポケットとではタップ選びの基準は異なると思いますか?

 

「僕はそう思います。キャロムのボールは約210gあり、ポケットのボールより約40g重い。この重さの違いは結構大きくて、ポケットプレイヤーに好まれている各メーカーの『S』や『SS』などの柔らかいタップでスリークッション(3C)をプレーすると、インパクト時にタップが負けてしまうことがあります」

 

――「負ける」とは?

 

「タップがただの緩衝材、クッションになってしまって反発力を発揮せず、手球に押し込まれているだけという状態です」

 

――タップが手球にタッチしている時間が長いだけで、弾性力は出てないと。

 

「そうです。『すごく球離れが遅い』状態です。こうなるとトビ(ヒネッた時の横ズレ)の出方も普段とは異なり、手球の軌道がイメージと異なってきますし、左右のスピンの回転率もむしろ下がってしまう。なので、少なくとも3Cではある程度以上硬めのタップの方が『しなり』が期待出来て、パフォーマンスは良いと思います」

 

――しなるタップであるかどうか。

 

「僕にとってタップで一番大事な要素はしなりです。しなりをどう言えば良いかな……、プッチンプリンをお皿に落とすと、すぐぷるぷる揺れるでしょう? あんな感じ(笑)。あの現象が手球に当たった時のタップにも起きています。斬タップのグリップハードはキャロムのボールに当たっても、インパクトの衝撃に負けずよくしなってくれますし、それがグリップ力とスピンの効きを生んでいると思います」

 

――手球にしっかり食い付いて弾き返すイメージですね。

 

「はい。例えばキャロムのフリーゲームでは、細かく引く・押す、細かくマッセで曲げる、というショットをよく使いますが、そんな時、しなりが少なくて『食い』が弱いタップだと、端の方の撞点を撞いた時に手球の表面でツルッと滑ってから捕まえます。そうやって撞き出された手球は、少し前方に飛んでからスピンのアクションを見せます。タイムラグがある。でも、斬タップのようによくしなってくれて『食い』が強いタップなら、手球の表面で滑っている時間が短くてグッと捕まえてくれるので、すぐにスピンのアクションが見られます。細かく撞く球だとそういうタップの『しなりと食い』がわかりやすいので、僕はタップを替えた直後によく撞いています」

 

――『しなり』という言葉はシャフトの紹介でよく使われますが、言われてみればタップも当然しなっていますね。

 

「シャフトのしなりももちろんですが、ボールに接するのはタップだけなので、タップのしなりがとても大事だと僕は思っています。タップのしなりに連動して、先角、シャフト、ジョイント、バット、グリップがしなって手にフィーリングが伝わってきます。タップがしならず、ただの緩衝材になってしまうと何も伝わってきません」

 

――『食い』というのは、いわゆる「グリップ力」のことですね。

 

「はい。手球の端の方を撞いた時、どんなタップであれ大なり小なり手球の表面を滑ってから捕まえています。滑れば滑るほど手球のコースはズレやすくなるし、スピンの効きも悪くなる。プレイヤーは、滑りを見越して手球のコースやスピードを考えて……と読まないといけないことが増えます。一方で斬タップは、もちろん全く滑らない訳ではないですが、滑り幅が少ないので、読まないといけないことが少なくて済む。それは実戦では大きなメリットで、特にマキシマムのヒネリを使うことが多いキャロムでは見逃せない要素です。よく『良いタップは手球の端の方でも撞きやすい』などと言われますが、それはこの『滑りにくさ』が関係していると思います」

 

…………

 

 

――界プロはどのぐらいの頻度でタップを取り替えていますか?

 

「メインシャフトは1~2ヶ月に1回です。僕は育てていって薄い状態で撞くのが好きなので、さすがに旬は短いと思います。最近はスペアシャフトも定期的に使っておこうと思って、合計4本のシャフトをローテーションして使っているので、4本トータルで言えば1ヶ月に2回ぐらいタップを替えている感じです。タップ交換をしていて思うのは、斬タップは『なだらかにきれいにR(天面の丸み)が付く』ところが良いですね。ボンドや接着技術が良いんだなと」

 

――それはどういうことでしょうか。

 

「僕はRを付ける時に、ある程度刃物で切ってから鉄ヤスリと紙ヤスリを使って整えていくんですが、斬タップは鉄ヤスリできれいなRが出来ます。出来の良くないタップはその工程で階段状になることがあります。積層の間のボンドが残り、すぐ上の革の繊維が引きちぎられちゃう感じでガタガタになる。そういうタップで撞くと大抵すぐパンクしたり、ちょうちんになったりします。それにボンドが露出している面積が広いから滑りやすい。そこはもちろん積層タップメーカー各社が日夜研究しているところだと思います。どれだけ良いボンドを薄く少なく塗って、どれだけの熱とショックに耐えられるか」

 

――界プロのタップはだいぶ薄いですね。このぐらいがお好みですか。

 

「はい。でも、付け替えてすぐここまで削る訳じゃないです。タップの側面が締まってない状態で一気に薄くすると型崩れしやすいので、それはやりません。新しいタップに付け替えたら、トップの1~2層だけ落としてあとは『育てて』いきます。撞き締めながらたまに削って、徐々に薄くしていく。その過程で側面は1~2回整える程度。やっぱり自分で撞き締めて育てていくことでより良いタップになると思います」

 

――この写真は、育てきった状態ですか?

 

「そうです。これよりもうちょっと薄くなっても良いぐらい。このぐらいだと右手にダイレクトにフィーリングが伝わってくるので、色々なコントロールがやりやすくなります。斬タップはこのぐらい薄くなってもちゃんと食ってくれるし、しなってくれる。そこがすごく良いところ。良くないタップだと、この薄さになるとだいぶ滑るし、しなりにくくなります」

 

――界プロはタップを付け替えたばかりの厚い状態だと使えないですか?

 

「いや、性能的には問題なく使えます。他のタップはある程度撞き締めないと試合ではどうかなと思うところもありますが、斬タップは即戦力。ただ、個人的にはタップが厚いと遊びが多い気がしてしまうので薄めの方が好きですし、撞き締めれば締めるほどより良いタップに育つと考えています」

 

――前回登場した河原千尋プロも『育てて使う派』でした。

 

「やっぱりある程度以上プレー歴の長い人やプロの方だとそうですよね。最近の若いアマチュア選手だとタップを育てる人は少ないのかなという気はします。付けてすぐ使えて『いい』と思えるタップが大事なんだろうなと。斬タップはそこも満たしているので、人に勧めやすいですね」

 

――ちなみに、斬タップ以前は何を使っていたんですか?

 

「他メーカーの積層タップをいくつか使っていました。さらにさかのぼって、20年ぐらい前のアーティスティックビリヤード時代は、日々タップを替えながら撞いていました。『これはダメだ。替えよう』を繰り返して、1日で20回ぐらい交換したりとか(笑)。当時は一枚革のタップがまだ多くありましたけど、もう外ればっかり(苦笑)。だから、自分でプレス(締め加工)したり、手をかけて使うのが当たり前という感覚でした。革靴のソールを切り出してタップにしたこともあります。踏み締められていたせいか、それが意外と良くて(笑)。でも、今時そんなことは誰もやらないですよね。斬タップみたいな性能と品質の良いタップが普通に売られていますから。本当に良い時代になったなと思います」

 

(了)

 

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