〈BD〉ジャパンオープン3位。北谷好宏に聞く「大会総括」と「10ボールブレイク論」

 

先日の『ジャパンオープン』男子の部で

2年連続の3位。

 

海外選手のようなパワーやキュー切れと、

繊細な技術力を併せ持つ北谷好宏プロ。

 

全日本選手権やジャパンオープンなどの

日本開催の国際オープンでは、

よく外国選手を倒してくれる

頼もしい「海外勢ストッパー」でもあります。

 

今年のジャパンオープンでは、

余豊熙(台湾)をベスト32で、

A・リニング(フィリピン)を

ベスト8で倒しています。

 

余豊熙戦の上がり際。ラスト2球。↓

 

 

今年、最終的には2年連続で

大井直幸プロ(準優勝)に敗れての

3位だったのですが、

昨年よりもさらに締まった内容で

撞いていたのではないかと思います。

 

特筆すべきはブレイクショット。

以前から国内屈指の名ブレイカーとして

知られていますが、

今大会での安定感は抜群。

BD個人的には大会No.1ブレイカーでした。

 

ということで、北谷プロ本人に

今年のジャパンオープンの感想と

ブレイクショットについてお聞きしました。

 

…………

 

――まず、2年連続の3位。

その感想からお願いします。

 

「今年は大会を通して内容も

良かったと思うんですよね。

 

ただ、準決勝(vs 大井直幸)だけは

ちょっと良くなかったかな。

 

去年も準決勝でアイツに負けて、

一昨年はベスト16でアイツに負けて。

……ほんと迷惑です(笑)」

 

――相性というものでしょうか。

 

「それもあるんでしょうね。

出てますよね、試合に。

 

リニング戦(ベスト8。8-0の完勝)では

僕のブレイクの取り出しは毎回見えていたけど、

準決勝はブレイク後の配置が良くなかった。

当たり自体は良かったと思うけど

取り出しがなくて。

 

試合をしながら、

『これはやっぱり相性なんかな……』

とも思ってました。

 

僕が序盤に1回飛ばして(シュートミスをして)、

アイツにシュッと0-5にされた時には、

『またこの展開か』と。

 

『気持ち良く撞きやがって』

とも思ったけど……(笑)。

 

以前ならそこで切れてたかな。

 

でも、これまでの対戦では

僕がグダグダになって負けとったけど、

とりあえず今回はどんな展開になっても

諦めずにやろうと思っていて。

 

今回は『捕まえた』と

思った瞬間もあったんですけどね。

 

『あ、行ける』と思ったところで……、

たしか4-5にするところと

6-6に出来るところの2回、

僕がやっちゃってますからね。

 

そういうのがあるんで、

今年のジャパンオープンは、

今までで一番悔しかったかもしれないです」

 

…………

 

 

――次にブレイクショットについて

お聞きします。Day 2とDay 3

(最終日)を見ていた限りでは、

北谷プロのブレイクは、今大会の

出場選手の中で一番と言っていいぐらい

良かったのではないかと思います。

 

「そうですかね。

たしかによく当たっとったとは思います。

 

でも、BDが撮ってくれた動画(↑)は、

手球のバウンドが合ってない時のですね。

 

これ、ベスト64(vs 正﨑洋行)の

2ラック目ぐらいでしょ?

 

まだバウンドの距離感が掴めてないね。

たぶん手球が2バウンドしてから

1番に当たってます」

 

――そうなんですね。

これは北谷プロ的には良くないもの?

 

「ちょっと失敗してるね。

 

手球が2バウンドしてから1番に当たると、

跳ね戻される場所が理想より

ラック寄りになってしまう。

 

そうすると、当て前(当たり方・厚み)が

狂ったらサイドスクラッチする

危険性が高いんです」

 

――では、理想の当て方とは?

 

「1バウンドで1番の上側に当てたいですね。

 

そうすると、もっと手前側(撞き手側)、

サイドポケット(同士を結んだライン)を

越えた所まで手球が跳ね戻って来てくれる。

 

そうなれば、多少厚みが狂っても

絶対サイドスクラッチはないからね。

 

そして、1番が手前側のコーナーポケットの

穴前まで転がってくれて、

取り出しがあるというのが理想です」

 

――1番への厚みは、やっぱり

真っ直ぐがベターなんですよね?

 

「いや、よっぽど薄く当たらない限りは、

厚みはどこでも良いと思ってます。

 

そうすると、手球は左右どちらかの

長クッションに入るけど、それでまた

テーブルの内側に戻って行けば良い。

 

1番のど真ん中に手球を当てて、

ノークッションでピタッとテーブルの

中央に止めたいとは思ってない。

 

それよりも手球が手前に戻って来る

距離感の方が大事なので、

そのために1番に当たるまでのバウンドを

コントロールしたいと思ってます。

 

この日の池袋『ロサ』は、初めのうち

そのコントロールが少し難しかったんですよ。

 

ラシャが新(さら)っぽかったから、

(ラシャ表面の毛足の状態が)

モサッとしいてたのかもしれない。

 

でも、この前日の渋谷『CUE』は、

僕にとってはバウンドの距離感を

合わせやすい会場でした。

単純に手球を飛ばしやすくてね。

 

僕は試合テーブルで一度ブレイク時の

バウンドの距離感を掴んでしまえば

それを再現出来る自信はあります。

 

テイクバック(キューを引く動作)だけ

気を付ければ」

 

――どういうことですか?

 

「僕の場合、

テイクバックが速くなってしまうと、

バウンドの距離感が上手く

コントロール出来なくなる。

 

だから、キュー出しのイメージをしながら

ゆっくり引くことを心掛けています。

 

この動画の時は

ゆっくり引くのは出来てると思うけど、

まだバウンドの距離感を掴む前ですね」

 

――なるほど。テーブルコンディションや

バウンドの距離感の把握は別として、

北谷プロはもともとブレイクが上手いですし、

打ち方自体は完成しているのではないですか?

 

「今も色々と研究していますよ。

 

ここのところはC・ビアドとJ・イグナシオの

ブレイクを見て、パクってみて。

 

で、やっと昨日、E・カチのブレイク動画を

手に入れたので見てみたら、すごかった。

 

あれはREVOシャフトじゃないと

出来ないようなブレイクにも思えたけど、

かなり良いブレイクなので、

一度は試してみようかなと。

 

最近だと、パクるなら

ビアドのブレイクが一番簡単で

一番採り入れやすそうに見えたんだけど、

練習していて思ったのは、

結局のところ『タイミング次第』だなと。

 

タイミングがズレると、いくら撞き方や

形をパクっても上手く行かないから。

 

他人のタイミング感を

自分なりのタイミング感に

上手く置き換えられるかどうか。

 

そして、手球のバウンドを見極めて、

何度でも再現出来るかどうか。

 

ブレイクはやっぱりそこなのかなと思ってます」

 

(了)

 

Yoshihiro Kitatani

1975年12月19日生

JPBA34期生・福岡県在住

2003年『東海グランプリ優勝

2013年『北陸オープン優勝、

2015年『GPW-1優勝、

2016年『GPW-4優勝

2017年『GPW-5優勝

他、入賞多数

『淡路』(福岡)所属

 

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