〈BD〉「今やるべきことをやる」――ハウステンボス九州オープン優勝・栗林達の談話

Toru Kuribayashi Photo Courtesy of On the hill !
Toru Kuribayashi Photo Courtesy of On the hill !

 

先週末に行われた、

『ハウステンボス九州オープン』

 

優勝した栗林達プロの談話をお届けします。

 

取材は大会2日後に行いました。

 

…………

 

――優勝のお気持ちを。

 

「意外や意外、

優勝してしまったという感じです」

 

――どういうところが

「意外」だったんですか?

 

「今は店舗の開店準備をしている

真っ最中で(東京都墨田区に

『BILLIARD SPORTS KULICKS』を

近日オープン)、

 

練習はちゃんとしていましたが、

お店のことで色々な問題もあり、

いつもと同じような調整は

出来てなかったですし、

気持ちの余裕はあまりなかったです」

 

――それでも優勝出来たのは?

 

「これまで培ってきたことや

意識してきたことが守ってくれたと思います」

 

――今回も『自分を貫けた』んですか?

 

「逆にそれしか出来ることがなかったです。

 

技術や内容や調子うんぬんを

言ってられない状況だったし、

それを気にすることもなかった。

 

自分が今やるべきことをやる。

そこに意識を持っていくしかなかったです」

 

――決勝戦でも?

 

「心構えは同じでした。

 

でも、決勝戦の頃には、

だいぶ調子が戻っていた実感はあります。

 

そこまで悪いなりにも一生懸命やっていて、

外れそうなイメージがある球は

練習のつもりで撞いたりしていた。

 

その結果、徐々に難しい球も入り始め、

勝ち上がれば上がるほど、

調子を取り戻せている感覚がありました」

 

――9ボールの8ラック先取の

勝者ブレイクというスリリングなフォーマット。

大会中ずっと緊張を強いられたのでは?

 

「このフォーマットは、

勝ち負けについて考え始めると

誰でも怖くなると思います。

 

僕も緊張はしてました。

でも、『怖い』とまで思うことはなく、

他の人よりはプレッシャーがかからずに

プレー出来ていたかもしれません。

 

それは『勝ちたい』という意識に

あまりとらわれてなかったのもありますし、

 

『ワールドカップオブプール』で

上海に行った時の経験が活きていると思います」

 

――具体的にどんな経験をしたんですか?

 

「試合以外の時間に、

現地で色々な人とキューを交えました。

 

名前と顔を知ってるけど撞いたことの

なかった人や、全く何も知らない人など、

初対戦の人を積極的に探して撞きました。

 

自分が上とか下とか五分とか、

そういうデータが全くない、

まっさらな状況で戦いたかったんです」

 

――なぜですか?

 

「データがない人と対戦すると、

内面には『怖れ』の感情が広がり、

それが緊張感を生むと思います。

 

相手の出方が予測出来ない中で、

自分がいかにして最善の手を尽くすか。

 

そこを軸にして海外選手と勝負をすると、

力の差を感じる部分、自分に足りないもの、

そして積むべき経験といったものが、

本当に明確になってくるんです。

 

自分も『あそこ』に到達したい。

それなら『これ』をやらなければいけない。

そういうところが見えてきた。

 

それを今回のハウステンボスで

貫こうと思っていましたし、

そのおかげで、プレッシャーに

潰されることがなかったんだと思います。

 

また、今回のハウステンボスの

テーブルコンディションは、

ポケットサイズが大きくて

新ラシャでとても撞きやすかった。

それは普段の僕の環境にはあまりないもの。

 

『情報がない』という意味では、

知らない海外の人と撞くのと同じでした。

 

でも、上海の経験のおかげで、

怖がらずにプレー出来たと思います」

 

――そのワールドカップオブプールに

ついてですが、

日本チーム(栗林達&大井直幸)は、

初戦のベスト32敗退でした。

 

「大井プロと組むのはこれで3度目

(2015年大会では3位入賞)。

 

僕自身、前回出た時よりも

さらに心が強くなって来てるという

自覚もあったので、良い緊張感の中

試合に臨みました。

 

結果、負けてしまいましたが、

今回の僕らがチームとして

機能していなかったとは思ってません。

 

あの時出せるものは100%、

出し切ったと思います。

 

でも、1試合を通して見ると、

微妙に合ってないまま終わってしまったと

捉えている方もいると思いますし、

僕もそれは頷けるところがあります。

 

バチッと噛み合うまであとちょっとの

ところまで来てたけれど、

ああいう展開だったし、そこに届かなかった。

 

スウェーデンが予想以上に……

いや、もちろん想定はしてましたけど、

相手ペアのメンタル面が序盤から噛み合っていて

チームとしてよく機能していたので、

より一層僕らにとっては厳しい流れでした」

 

――スウェーデンの2人は国際的には

そこまで実績のある選手ではないですが、

日本戦ではしっかりしてましたね。

 

「あの大会はプレッシャーも緊張感も

すごく大きなものになるんですが、

年を追うごとに、どの国も経験値を

高めていて、あの空気感の中で

しっかり撞ける人が増えて来ていると感じます。

 

大会全体で見ると、年々ミスの数が

減っていってるんじゃないかなと。

 

スウェーデンに限らず、

国際的な実績が少なくとも

厳しく撞けるペアが増えていると思いました。

 

そんなチームの一つと戦って、負けた。

それもまた良い経験だったと思います。

 

というか、そう捉えないと

次のステップも踏めないので(笑)。

負けたことはしっかり受け止めて、

今後に活かしたいと思っています」

 

――わかりました。さて、この先、

お店のオープンも控えていますが、

『GPE-3』や『ジャパンオープン』があります。

 

「そうですね。開店準備はありますが、

僕自身の活動のメインは

トーナメントプレイヤーですから、

どんな時も、質の良い練習と

質の良い経験を積んでいきたいです。

 

プレイヤーとしてレベルの上げられる

行動や活動というものを貪欲に求めていきます。

 

来月はジャパンオープンがありますが、

『ジャパンオープンだから』

というものは何もないです。

 

大きな試合も小さな試合も試合は試合。

一つ一つしっかりと戦っていきます」

 

(了)

 

 

Toru Kuribayashi
JPBA39期生
1982年6月26日生
福井県出身・東京都在住
2004年アマ『球聖』『名人』
2010年『ワールドプールマスターズ』準優勝
2011年&2018年『関西オープン』優勝
2011年『関東オープン』優勝
2014年『兵庫オープン』優勝
2015年『ワールドカップオブプール』3位
2016年『ジャパンオープン』準優勝
2017年『東海グランプリ』優勝
2018年『ハウステンボス九州オープン』優勝
他、優勝・上位入賞多数
GPWでは通算4勝
GPEでは通算13勝
所属・スポンサー:(株)TMY、(株)東和サプライ、(株)JUSTDOIT、VOGUE、be lucky SHOTAID、
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